米国…今年初のウエストナイルウイルス感染例を確認

メディカルトリビューン誌
2003年8月7日号
Vol.36 NO.32 P.31

今年初のウエストナイルウイルス感染例を確認

〔米ジョージア州アトランタ〕 米国で今年最初のウエストナイルウイルス(WNV)感染者が,サウスカロライナ州で米疾病管理センター(CDC,アトランタ)により確認された。蚊が媒体の季節性感染症であるWNV感染は,1999年に米国で最初の62例の感染が確認されてから,2002年には284例の死亡を含む4,156例の感染が報告されるまでになった。

蚊に刺されない工夫を

CDCのJulie Gerberding所長は「米国内の公衆衛生従事者は数か月間もこのときに備えていた。今季に何をもたらすかを予測することは不可能であるが,WNVが再燃したことは,疾患予防に個人が備えることの重要性を嫌でも思い出させる」と指摘。また「昨年WNVがどのように急速に広まったかを知っているため,屋外で時間を過ごす人は蚊に刺されないように工夫することが必要である」と述べた。

同所長は「 3 つの簡単な行動が蚊に刺されるのを避け,感染を防ぐことに役立つ。それは,(1)ディート(diethyl toluamide)入りの殺虫剤を使用すること(2)軽い長袖の衣服を着ること(3)水たまりをなくし,網戸を取り付けて屋内に蚊が入らないようにし,鳥の死体があったら地元の衛生当局に報告して近隣地域で助け合うこと−である」と述べた。

WNVは,2002年には 6 州を除く全州に広まり,39州とコロンビア地域ではヒトへの感染が報告された。今日まで蚊や鳥,馬で見られるWNVの活動性は,昨年に観測されたものとほぼ同程度である。

鳥がWNVに感染するとウイルスは数日で全身に回り,蚊はその鳥の血を吸って感染する。その蚊に刺されたときにヒトに感染する。さらに,最近の調査ではWNVは臓器移植や輸血を通じても感染することがわかった。献血に際してWNV検査がルーチン化されたため,輸血を通じてWNVが広まる危険は大幅に減少した。

感染した蚊に刺されたヒトの10例にほぼ 2 例が発病するとされる。通常,WNVが原因となる疾患は軽症であるが,50歳以上の感染者では重症化したり死亡も起こりうる。

2003年8月7日号 / Vol.36 NO.32 / P.31

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