2004年初のウエストナイルウイルス感染患者か 

WebMD Medical News
2004/04/14

[英語原文へ]

オハイオ州の高齢男性が米国における2004年初のウエストナイルウイルス感染患者である可能性

Daniel DeNoon
WebMD Medical News

Reviewed by Michael Smith, MD

4月9日、オハイオ州衛生局はその男性を「ウエストナイルウイルス感染の可能性が高い(probable)症例」と報告した。その他の医学的情報は発表されていない。

「米疾病管理センター(CDC)による確認を待っている」と、オハイオ州衛生局の報道官であるKristopher Weiss氏はWebMDに語っている。

感染が疑われている男性はオハイオ州南部のサイオトー郡に居住している。そこでは暖かい春の陽気で蚊の活動が活発になった、とWeiss氏は述べている。

2003年、のオハイオ州ではウエストナイルウイルス感染の可能性が高い症例が108例あり、ウエストナイル脳炎・髄膜炎84例、ウエストナイル熱24例であった。これら108例中、94例は依然として「可能性が高い症例」である、とWeiss氏は述べている。

ウエストナイルウイルスは蚊を媒介して蔓延

ウエストナイルウイルスは野鳥によって伝染する。感染した鳥の血を吸った蚊がヒトにウイルスをうつす。しかし、蚊の季節のそれほど早い時期にヒトの症例が出現するのはまれである。ウエストナイルウイルスを伝染する蚊は徐々に増大するので、通常「拡大」の期間を要する。

一般に、米国におけるヒトのウエストナイルウイルス感染は夏の終わりから秋の初めにピークに達する。

オハイオ州ほど北部でヒトの症例が出現するにはまだ早すぎるようである、とCDC附属アルボウイルス研究センター(コロラド州、フォートコリンズ)の疫学部門長であるGrant L. Campbell, MD, PhDは述べている。同博士は米国におけるウエストナイルウイルス追跡の責任者である。

「オハイオ州の報告は、今年、ヒトの症例が発生しだしたということを確信させるものではない」と、Campbell博士はWebMDに語っている。

昨年、米国ではウエストナイルウイルス感染症の流行で262例が死亡した。ウエストナイルウイルス感染症の最も重篤な発現症状である脳・神経系のウイルス感染症は2,863例であった。全体でほぼ10,000例のウエストナイルウイルス感染患者が報告された。

しかし、発症者だけがCDCに報告される。ウイルス感染者の10例中8例はまったく症状を発現しないと考えられる。しかし、50歳を超える人ではウエストナイルウイルス感染症の可能性がはるかに高い。

カリフォルニアに広がる可能性

昨年の流行では米国本土48州中46州に広まった。ウエストナイルウイルスは1999年にニューヨークで発生して以来、ウエスト方に広がってはいるものの、ロッキー山脈よりウエスト側の症例は比較的少数である。今年は変化が起こる可能性がある。

カリフォルニアではウエストナイルウイルスの活動はそれほど確認されていないので、CDCはカリフォルニアに注目している、とCampbell博士は述べている。しかし、不吉な前兆が現れている。すでにこの数週間に死亡カラス1羽と生存しているメキシコマシコ(house finch)2羽がウイルス陽性と判明している。

ウエストナイルウイルスは蚊を媒介して蔓延するので、CDCは「Fight the Bite(蚊撲滅)」キャンペーンを継続している。家の付近の蚊が繁殖する可能性のある場所を無くすよう勧告している。これには廃棄タイヤや詰まった雨樋、空の植木鉢など水がたまる容器が含まれる。また、蚊の季節には、蚊から身を守る衣類を身に着け、ジエチルトルアミド(DEET)含有の蚊よけ剤を使用するよう勧めている。

参考文献

Kristopher Weiss, public information officer, Ohio Department of Health. Grant L. Campbell, MD, PhD, chief of epidemiologic activity, Arbovirus Disease Branch, National Center for Infectious Diseases, Ft. Collins, Colo. CDC. News release, Ohio Department of Health. International Society for Infectious Diseases.


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