
医学部全体の研究業績をより客観的に評価するために,前回の自己点検・評価2001年と同様にインパクトファクター(IF)を用いた。
また,データ集約が可能であった最近4年間(法人化以降)については,講座ごとに業績を点検した。
ただし,医学部医学科は,平成14年4月に26講座12学科目を8大講座に改組しているが,的確に状況を分析するため,改組前の講座等の単位でデータ収集を行い,分析した。
平成16〜19年度の4年間に発表された論文等のIFスコアの合計が100以上の講座は5講座あり, 単独でスコアが10以上の論文を持つ講座は8講座,論文数12編である。
スコアが5〜10の論文を発表した講座は17講座,総論文数は46編である。
論文数が5編以上で論文1編当りの平均スコアが高値であった講座は3講座あり,半数の講座では1〜2点台であった。
資料1 論文及び著書等の研究業績数
資料2 4年間に発表された論文等のIFスコアの合計が100以上あった講座とIF
資料3 4年間に単独でスコアが10以上の論文をもつ講座,掲載雑誌IF
資料4 4年間にスコアが5〜10の論文を発表した講座と論文数
資料5 4年間に論文数が5編以上で論文1編当りの平均スコアが高値であった講座とIF

学会での研究発表件数並びに学会における招待講演数,教育講演数,シンポジウムなどのオーガナイザー数は,いずれも徐々に増加している。
資料6 学会での研究発表状

発明届の件数は,ほぼ変わっていないが,最近では2件の特許を取得した。
平成16年度からは,職務発明規程も制定され出願件数は増加している。
資料7 発明届,出願及び取得件数)

科学研究費補助金(厚生労働省の科学研究費補助金及びがん研究助成金を含む),民間財団からの研究助成金獲得額及び奨学寄附金の受入は増加傾向にある。
資料8 科学研究費補助金及び厚生労働科学研究補助金?がん研究助成金獲得状況
資料9 民間財団からの研究助成金獲得状況
資料10 奨学寄附金の受入件数及び受入額
一方,本学で初の寄附講座である創薬育薬医学講座と臨床腫瘍医学講座は, それぞれ1億7千万円と2億5千万円を受け入れており,本学部の研究と診療の活性化、
並びに医学部・医学系研究科の教育に大きく貢献している。
資料11 寄附講座の設置

ほとんどの講座で受賞事例があり,国内の優秀発表賞や若手研究・学術奨励賞, 記念賞・会長賞をはじめ,全米,アジア太平洋管内における最優秀賞等,若手研究から国内外の賞まで
多岐に亘っている。なお,経年に亘り複数の受賞を受けている講座もあり,継続的かつ活発な研究活動が 行われている。
資料12 学術賞等の受賞件数

受入は平成13〜15年度まではなかったが,それ以降,件数・金額ともに増加している。
資料13 産学共同研究の受入件数と受入額
これは奨学寄附金から,明確な研究課題と共同研究契約のもとに実施される産学共同研究への移行を反映している

受託研究は,ほとんどの講座で実績があり,受託研究件数及び受託額ともに増加している。
治験の受託額は,総受託額(672,766千円)の86.5%を占めており,重要な外部資金の1つである。
資料14 受託研究(治験)の受入件数及び受託額
資料15 受託研究(その他)の受入件数及び受託額

平成16年〜19年度の4年間で,P1レベル封じ込め研究が計43件,P2レベル封じ込め研究が計13件,計画され,それぞれ実行された。新しい研究手法によって得られた成果は、高いインパクトを持つ研究論文の報告に貢献している。
詳細資料
動物飼育の延べ日数および匹数に関しては変動ないが,質の面からは大きな改善があった。
平成16年度に感染モニタリングが開始され,その際の施設の消毒の影響で小動物の飼育匹数が減少したが,以後は飼育動物の病原体感染はなく,研究成果向上にも反映されている。
資料16 動物飼育の延べ日数及び動物匹数

取り上げられた件数は,徐々に増加し,平成13年度には11件であったが平成19年度には38件と3倍以上となっている。
日本におけるヒトT細胞白血病T型の人口動態の研究や糖尿病や肥満の管理に関する研究は,全国版の新聞に掲載され,さらに,狂犬病の研究,内視鏡的外科手術による肥満治療法の確立は,新聞,ラジオ,テレビで取り上げられ,研究成果への評価・関心が得られている。
資料17 マスコミで取り上げられた研究事例数

種々の地域社会等との連携・協力,社会サービス等に係る地域活動を行った。
期間内に取り組んだ主な地域活動を表に示す。特に
@ドミニカ共和国,中国,東南アジアの諸国に対する医療技術の支援や啓発活動,諸外国の大学や研究所との共同研究体制確立事業,
A地域社会のニーズに一元的,かつ迅速に対応可能なネットワーク形成事業,
B感染症予防や公衆衛生,社会医学などの疫学研究,対策事業,社会サービス事業などを行った。
平成13年度以降、地域活動の実施件数はほぼ前年度を超える件数を維持し、平成19年度は132件と平成13年度から6年間で約100件も増加するほど,ほとんどの講座で地域活動が実施されるようになった。
資料18 地域活動の実施件数
資料19 取り組んだ主な地域活動内容
平成16年〜19年度の4年間に合計15件の国際シンポジウムを主催した。大部分は大分県下で開催されたが,学術協定校・河北医科大学の所在地である中国・河北省石家荘市及び韓国・釜山市での2回の海外開催も含まれる。
詳細資料

国際研究集会や国際学会への参加は,この期間を通じてほぼ同数である。
また,カンボジアでの皮膚科・形成外科医療の視察,ベトナムでの口唇口蓋裂患者への手術指導や喉頭全摘出者への音声機能再獲得の指導が行われた。
資料20 国際研究集会や国際学会への参加状況
国外からの研究者は,この期間を通じてほぼ同数である。国別では中国が最も多く,他に東南アジアやアフリカ,中南米諸国と,広範囲から研究者を受け入れている。研究内容では感染症関連が多く,医学部の国際的な研究の特徴を反映している。
資料21 国外からの研究者の受入件数
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