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患者様・ご家族の皆様へ


研究紹介


本院で唾液腺腫瘍の治療を受けられた患者さん・ご家族の皆様へ
~手術時(平成7年1月から平成33年3月まで) に摘出された腫瘍組織の医学研究への使用のお願い~








研究課題名

 大分大学医学部附属病院病理部あるいは大分県立病院病理部に提出され,診断が終了した唾液腺腫瘍のホルマリン固定パラフィン包埋検体を対象とした,抗TLE-1抗体を用いた免疫染色の診断病理学的有用性の検討

研究の対象

この研究は以下の方を研究対象としています。
1995年1月~2021年3月に当院で唾液腺腫瘍の手術をうけた患者さん

研究の目的・方法について

 最近,腫瘍は遺伝子の病気だということが明らかになってきています。遺伝子の病気といっても,親から子へ伝わっていく遺伝的な病気ではなく,体細胞の遺伝子(例えば胃の細胞や肺の細胞の遺伝子)が量的あるいは質的に異常を起こし,正常な細胞増殖の制御機構が働かなくなって自律的な増殖をするようになり,腫瘍が出来ると考えられています。近年の分子病理学的・遺伝子学的検査の著しい向上により,腫瘍の種類に応じた特徴的な遺伝子異常がわかるようになりました。
 唾液腺腫瘍においてWnt/β-cateninという細胞増殖に関わる経路の異常が腫瘍形成に重要と言われています。とりわけ基底細胞腺腫(basal cell adenoma,以下BCA)は導管上皮細胞と基底細胞から形成される良性の唾液腺腫瘍ですが,β-cateninの点突然変異が30-75%の症例で認められると言われています。β-cateninは同経路のOnの機能であり,細胞増殖や細胞の分化を決定する重要な因子です。またBCAの悪性カウンターパートとして基底細胞腺癌(basal cell adenocarcinoma,以下BCAC)という腫瘍があり,BCAとBCACを形態的に分類する目安はHE(ヘマトキシリンエオジン染色)標本で腫瘍の浸潤性増殖が認められるか否か,のみで規定されているため,実臨床での診断に難渋することが多く,有用なバイオマーカーの同定が必要とされています。
 ところで, Groucho/TLE familyに属するTLE1というタンパクがあり,免疫染色にて,最近検索可能となった新規抗体です。TLE1はWnt/β-cateninの経路でβ-cateninの代わりに核内のLEFやHDACなどと結合することで同経路のOffの機能を担っているとされています。Wnt/β-catenin経路が重要である唾液腺腫瘍においてOffの機能として働いているTLE1の発現を調べることで,良悪の鑑別あるいは予後を反映するバイオマーカーとして使用できる可能性があると考えています。

研究期間

 倫理委員会承認日~2021年4月1日

使用させていただく試料・情報等について

 本院におきまして,既に摘出手術を受け,診断が終了した唾液腺腫瘍のホルマリン固定パラフィン包埋ブロック(試料)を医学研究へ応用させていただきたいと思います。その際,組織を調べた結果と診療情報(例えば治療効果がどうであったかなど)との関連性を調べるために,患者さんの診療記録(臨床症状,既往歴,治療経過や画像の記録など)を調べさせていただくこともあります。なお,患者さんの試料及び診療記録(情報)を使用させていただきますことは,大分大学医学部倫理委員会において,外部委員も交えて厳正に審査されて承認され,大分大学医学部長の許可を得ています。また,患者さんの試料および診療情報は,国の定めた「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」に従い,匿名化したうえで管理しますので,患者さんのプライバシーは厳密に守られます。当然のことながら,個人情報保護法などの法律を遵守いたします。

使用させていただく試料・情報の保存等について

 ホルマリン固定パラフィン包埋ブロック(試料)および診療情報はそれぞれ,論文発表後5年間,10年間保存します。保存期間終了後は,ホルマリン固定パラフィン包埋ブロックは病院病理部に返却致します。診療情報については,復元できないようにしてパソコンから完全に削除します。ただし,研究の進展によってさらなる研究の必要性が生じた場合はそれぞれの保存期間を超えて保存させていただきます。

研究組織

本学(若しくは本院)における研究組織
 研究責任者 大分大学医学部附属病院病理診断科病理部 医員 小山 雄三
 研究分担者 大分大学医学部診断病理学講座 教授 駄阿  勉
       大分大学医学部診断病理学講座 助教 西田 陽登
       大分大学医学部附属病院病理診断科病理部 病院特任助教 荒金 茂樹
       大分大学医学部附属病院病理診断科病理部 医員 草場 敬浩
       大分大学医学部附属病院病理診断科病理部 医員 門脇 裕子

既存試料・情報の提供のみを行う機関
  大分県立病院 臨床検査科 病理部部長 卜部 省吾

患者さんの費用負担等について

 本研究を実施するに当たって,患者さんの費用負担はありません。また,本研究の成果が将来薬物などの開発につながり,利益が生まれる可能性がありますが,万一,利益が生まれた場合,患者さんにはそれを請求することはできません。

研究資金

 本研究においては,公的な資金である大分大学医学部診断病理学講座の基盤研究費を用いて研究が行われ,患者さんの費用負担はありません。

利益相について

 この研究は,上記の公的な資金を用いて行われ,特定の企業からの資金は一切用いません。「利益相反」とは,研究成果に影響するような利害関係を指し,金銭および個人の関係を含みますが,本研究ではこの「利益相反(資金提供者の意向が研究に影響すること)は発生しません。

研究の参加等について

 研究へ試料および診療情報を提供するかしないかは患者さんご自身の自由です。従いまして,本研究に試料・診療情報を使用してほしくない場合は,遠慮なくお知らせ下さい。その場合は,患者さんの試料・診療情報は研究対象から除外いたします。また,ご協力いただけない場合でも,患者さんの不利益になることは一切ありません。なお,これらの研究成果は学術論文として発表することになりますが,発表後に参加拒否を表明された場合,すでに発表した論文を取り下げることはいたしません。 
 患者さんの試料・診療情報を使用してほしくない場合,その他,本研究に関して質問などがありましたら,主治医または以下の照会先・連絡先までお申し出下さい。

お問い合わせについて

 本研究に関するご質問等がありましたら下記の連絡先までお問い合わせ下さい。ご希望があれば,他の研究対象者の個人情報及び知的財産の保護に支障がない範囲内で,研究計画書及び関連資料を閲覧することが出来ますのでお申出下さい。

照会先および研究への利用を拒否する場合の連絡先
 住 所:〒879-5593 大分県由布市挾間町医大ヶ丘1-1
 電 話:097-586-5683
 研究責任者:大分大学医学部附属病院 病理診断科病理部
       小山 雄三(おやま ゆうぞう)            




Last updated: 02/14/2020