News 2016

 ◆ 神山助教が第7回 癌・炎症と抗酸化研究会(CIA研究会)にて発表


                                                          2016年11月26日
● 第7回癌・炎症と抗酸化研究会(CIA研究会)が、ホテル別府パストラルで行われました。当番世話人は麻酔科学講座の北野敬明教授です。前日25日のイブニングセミナーでは3つの講演があり、皮膚科学講座の波多野豊先生の「脱毛のメカニズム」は、身近な話題である脱毛について興味深いお話が聞けました。加齢による脱毛、ストレスによる脱毛、抗がん剤による脱毛のメカニズムの違いがあることを初めて知りました。26日の研究会の一般演題で、神山助教がマウスを用いた多発性硬化症の最新の研究成果を発表しました。

脳脊髄炎の病態を制御する、Th17細胞のTRAF6シグナルの役割
神山長慶、飛彈野真也、渡辺景、松岡秀和、野口香緒里、尾崎貴士、園田光、玄同淑子、佐知望美、江下優樹、小林隆志

多発性硬化症(MS)は四肢の運動障害などが主症状である難治性の中枢神経性自己免疫疾患である。これまでに、Th17細胞より産生される炎症性サイトカインIL-17がその病態形成に関与することが明らかにされてきた。実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)は多発性硬化症の実験動物モデルであり、MSと同様にIL-17がその増悪因子である。近年、シグナル伝達分子TRAF6を欠損したT細胞ではTh17分化が亢進することが報告された。EAEの増悪因子を産生するTh17細胞の分化が亢進するのなら、その病態は悪化することが予想された。しかし、我々の予想に反して、T細胞特異的TRAF6欠損マウスはEAEに耐性であることが明らかになった。予想に反した表現型の裏にいったいどのような分子メカニズムがあるのか?最新の解析結果が報告された。