2. GM-MCMCと「富岳」を用いた大規模計算

効率的なマルコフ連鎖モンテカルロ法の枠組みを開発し、スーパーコンピュータ「富岳」での計算に応用しています。

研究の背景

生体分子の構造がほどけたり、あるトポロジーから別のトポロジーへ移ったりする現象の多くは、まれにしか起こらない「希少事象」です。分子はほとんどの時間を安定した状態で過ごし、ときどき高い自由エネルギー障壁を越えます。通常の分子動力学シミュレーションは原子の実際の運動を一歩ずつ追うため、障壁を一度越えるまでに非常に長い計算が必要になることがあります。マルコフ連鎖モンテカルロ(MCMC)法は、物理的な運動そのものを追う代わりに、平衡分布に統計的に対応する配置の列を生成し、大きな移動も提案できる方法です。

自由エネルギー障壁を越えるGM-MCMCの提案、サンプル間の相関の比較、富岳での計算の流れを示す模式図
(A)自由エネルギー地形の模式図。通常の分子動力学では一つの谷にとどまる一方、GM-MCMCの提案は障壁を越えることができます。(B)積分自己相関時間の重要性。同じ状態に長くとどまる系列では、独立なサンプルの数が少なくなります。(C)「富岳」を用いたG4トポロジー転移の大規模サンプリングの流れ。概念図であり、実測データではありません。

研究内容

研究の意義

効率的なサンプリングにより、G4の各トポロジーの存在割合や相互転移速度の推定など、直接シミュレーションでは扱いにくい問題を、統計誤差を評価しながら解析することを目指します。この手法は核酸に限らず、広く応用できるものです。

主な関連論文

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