3. 老化と寿命の進化ゲノミクス
動物門をまたいだ老化関連タンパク質の比較と、ベットヘッジング・老化の理論モデルを研究しています。
研究の背景
動物の寿命は数週間から100年以上まで大きく異なります。老化は単なる「摩耗」ではなく、自然選択によって形づくられてきた性質であり、系統ごとに異なる老化速度が進化してきました。当研究室では、寿命の異なる生物種のゲノム比較と、老化が進化する仕組みを考える数理モデルという、相補的な二つの方法で研究しています。
研究内容
- 老化関連タンパク質への純化選択。複数の動物門で老化に関わるタンパク質の配列を比較し、長寿の系統では短寿の系統よりも有害な変異が強く取り除かれるか(純化選択)を調べています。各動物門で独立した比較を行うことで、一つの集団だけで見られる傾向よりも、複数の動物門で繰り返される傾向を重視します。
- ベットヘッジングと老化の進化。環境が予測できない形で変動するとき、子孫の性質を多様化することで、平均的な適応度が下がっても長期的には集団が有利になることがあります。老化速度のばらつきも含めたベットヘッジングが、どのような環境変動の下で有利になるかを数理モデルで調べています。
研究手法
タンパク質コード配列の系統比較解析、自然選択の様式の推定、確率的な個体群モデルを用い、解析的な方法とシミュレーションの両方で研究しています。
両テーマの論文は現在査読中です。採択後に出版情報を追加する予定です。