4. 臨床データのベイズ統計と因果推論
臨床講座と連携し、ベイジアンネットワークと因果推論を臨床データベースに応用しています。
研究の背景
臨床データベースには、患者の年齢、生活習慣、投薬、検査値、診断、転帰など多くの変数が記録され、それらは複雑に関連しています。二つの変数に相関があっても、一方が他方の原因とは限りません。第三の変数(交絡因子)が両方に影響している可能性もあります。分析を医療上の判断に役立てるには、関連と因果を区別することが重要です。
研究内容
- ベイジアンネットワークによる構造学習。ベイジアンネットワークは、変数間の条件付き依存関係を有向非巡回グラフで表します。臨床データからこうしたグラフを推定し、危険因子、バイオマーカー、転帰のつながりを解釈しやすい形で捉えます。
- 因果推論。グラフをもとに、ある変数が別の変数に及ぼす効果の推定が交絡によって歪まないよう、調整すべき変数を検討します。臨床の共同研究者が提起する課題に、こうした方法を応用しています。
- 臨床講座との共同研究。医学部の基礎系講座として、大分大学の臨床講座と連携し、大規模な医療データベースを用いる研究に取り組んでいます。
物理学の講座が取り組む理由
ベイズ統計、グラフィカルモデル、モンテカルロ法は、分子シミュレーションでも使う数学的な道具です。これらを臨床データに応用することは、当講座の専門性を生かした研究の広がりです。