肝疾患相談センターについて

 拠点病院を中心として、地域における専門医療機関・かかりつけ医間の診療ネットワークのさらなる充実を図る必要があります。その中心的な役割を担うのが肝疾患相談センターです。
 平成20年度から厚生労働省では、「肝炎治療7ヵ年戦略」に基づき、肝炎の早期発見・早期治療を進めるため、肝炎のインターフェロン治療に対する医療費助成、検査の促進、研究の推進など、肝炎総合対策を実施しています。平成22年1月、「肝炎対策基本法」が施行され、同年5月「肝炎対策に関する基本的な指針」が告示され、肝炎に関する基礎、臨床および疫学研究を総合的に推進しています。さらに、肝炎治療戦略会議で「肝炎研究7ヵ年戦略」の中間年である平成23年度には、平成24年度を初年度とする新たな「肝炎研究10ヵ年戦略」として、肝炎研究の方向性が提示されました。
 この間、C型肝炎の治療は著しく進歩し、平成26年9月からいよいよインターフェロンフリーの治療が導入され、高齢者や代償性肝硬変の患者さんに対象が一気に広がりました。C型肝炎はほぼ治癒が期待できる状況が目前になりました。
 しかし、感染していることを自覚されていない患者さん、治療の副作用が怖いと治療を回避される患者さん、治療費が高いという理由で治療を受けられていない患者さん、仕事が忙しくて治療が受けられない患者さん、どこに受診していいかわからない、治療が必要であるにも関わらず受けていない患者さんが多数残されていると考えられています。
 治療法は、毎年進歩しています。また、治療の選択肢が広がっています。肝疾患相談センターでは肝臓専門医、看護師、相談員が丁寧にお答えし、肝疾患の正確な情報提供を行い安心して治療ができるようにサポートします。また、県内で行っている市民公開講座、肝臓病教室、肝炎ネットセミナーなどの情報も提供します。平成15年から行っている「日本肝臓学会主催市民公開講座」に加え、「肝炎治療コーディネータ教育セミナー」「肝炎ネットin稙田」「医療従事者セミナー」「相談例」など平成20年から行なってきた活動報告も併せて紹介します。ご参照いただければ幸いです。

                                    
                                    (文責 清家正隆)