本院で同種造血細胞移植を受けられた患者さん・ご家族の皆様へ2013年4月~2020年6月に本院で同種造血細胞移植を受けられた患者さんの医療記録情報の医学研究への使用のお願い

【研究課題名】
同種造血細胞移植後HHV-6再活性化と脳炎以外の移植後合併症、原疾患の再発との関連性に関する後方視的観察研究*1
*1後方視的観察研究・・・・過去のデータを収集して研究すること。

【研究の対象】
この研究は以下の方を研究対象としています。
2013年4月~2020年6月に本院で同種造血細胞移植を受けられた患者さん

【研究の目的・方法について】
 Human(ヒューマン) herpesvirus(ヘルペスウイルス) 6 (HHV-6) はヒトヘルペスウイルスの一種であり, HHV6A,HHV-6Bの2つの種に分類されます。HHV-6Bは乳児期の突発性発疹の原因ウイルスであり、成人のほぼ100%で潜伏感染をきたしていますが, 免疫機能が正常な状態でHHV-6Bが再活性化することはほとんどありません。
しかし、同種造血細胞移植後には高度免疫不全を背景に、約半数の患者さんにHHV-6Bの再活性化が認められます。血漿HHV-6の再活性化は、 移植後生着時期である2〜6週目に現れることが多く、移植を受けた患者さんの約半数に観察されます。このHHV-6再活性化はHHV-6脳炎と呼ばれる予後不良な脳炎の発症と関連することが明らかとなっており、その他にもHHV-6再活性化は、肝炎、肺炎、 脊髄炎、認知機能障害、感染症、原疾患の再発の増加など様々な症状と関連する可能性が示唆されています。しかし現時点では、これらの因果関係性 は十分に明らかとなっていません。
稀な合併症との因果関係性を証明するには最終的には多数の患者さんを対象とした詳細な検討が必要となります。これまで本院血液内科で行ってきた研究によりHHV-6再活性化と脳炎発症との関連性が明らかになりました。この研究で副次的にHHV-6が移植後認知機能障害の関係している可能性が示唆され、その後HHV-6再活性化とせん妄、認知機能障害と関連性を明らかとするための研究を行いました。しかし、それ以外の合併症については大規模な研究を行うには根拠に乏しい現状があります。移植後に行ったHHV-6再活性化の観察結果と観察期間中に発生した関連疾患の情報と照合することによりその関連性が示唆されれば、より大規模な研究に移ることも可能となります。
本研究では、移植後に診療で行なったHHV-6再活性化の観察データと観察期間中に発生した関連疾患の情報を照合することにより、移植後合併症、特に移植片対宿主病(GVHD)の発症との関連性や原疾患の再発との関連性について、検討を行います。

研究期間:(医学部長実施許可日)~ 2025 年 3 月 31 日

【使用させていただく情報について】
 本院におきまして、既に造血細胞移植を受けられた患者さんについて以下の診療情報をカルテより調べさせて頂きます。
年齢、性別、疾患、移植時病期、移植細胞の種類など

なお、本研究に患者さんの診療記録(情報)を使用させていただくことについては、大分大学医学部倫理委員会において外部委員も交えて厳正に審査・承認され、大分大学医学部長の許可を得て実施しています。また、患者さんの診療情報は、国の定めた「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」に従い、匿名化したうえで管理しますので、患者さんのプライバシーは厳密に守られます。当然のことながら、個人情報保護法などの法律を遵守いたします。

【使用させていただく情報の保存等について】
本研究で収集した診療情報については論文発表後10年間の保存を基本としており、保存期間終了後は、診療情報については、シュレッダーにて廃棄し、パソコンなどに保存している電子データは復元できないように完全に削除します。
ただし、研究の進展によってさらなる研究の必要性が生じた場合は、当初の保存期間を超えて保存させていただきます。

【情報の匿名化および保管】
研究対象者である患者さん個人が特定できないよう、氏名の代わりに記号などへ置き換えますが、この記号から患者さんの氏名が分かる対応表は、本研究の研究責任者が保管・管理します。なお、取得した情報を提供する際は、記録を作成し、大分大学医学部 腫瘍・血液内科学講座で保管します。

情報の管理について責任を有する者の氏名又は名称
大分大学医学部附属病院   輸血部(血液内科)  高野 久仁子

【患者さんの費用負担等について】
本研究を実施するに当たって、患者さんの費用負担はありません。また、本研究の成果が将来医薬品などの開発につながり、利益が生まれる可能性がありますが、万一、利益が生まれた場合、患者さんにはそれを請求することはできません。
 
【研究資金】
 本研究は研究資金を特に必要としませんが、費用が発生した場合は大分大学医学部腫瘍・血液内科学講座の寄附金を使用いたします。

【利益相反について】
 この研究は、特定の企業からの資金は一切用いません。「利益相反」とは,研究成果に影響するような利害関係を指し,金銭および個人の関係を含みますが,本研究ではこの「利益相反(資金提供者の意向が研究に影響すること)」は発生しません。

【研究の参加等について】
本研究へ診療情報を提供するかしないかは患者さんご自身の自由です。従いまして、本研究に診療情報を使用してほしくない場合は、遠慮なくお知らせ下さい。その場合は、患者さんの診療情報は研究対象から除外いたします。また、ご協力いただけない場合でも、患者さんの不利益になることは一切ありません。なお、これらの研究成果は学術論文として発表することになりますが、発表後に参加拒否を表明された場合、すでに発表した論文を取り下げることはいたしません。

患者さんの診療情報を使用してほしくない場合、その他、本研究に関して質問などがありましたら、主治医または以下の照会先・連絡先までお申し出下さい。
                   
【研究組織】
             所属     職名     氏名
研究責任者
大分大学医学部附属病院 輸血部     講師   高野 久仁子

研究分担者
大分大学医学部 腫瘍・血液内科学講座  教授   緒方 正男
大分大学医学部附属病院 血液内科    助教   井谷 和人
大分大学医学部附属病院 血液内科  病院特任助教 河野 利恵
大分大学医学部附属病院 血液内科  病院特任助教 奥廣 和樹
大分大学医学部附属病院 血液内科    医員   諸鹿 柚衣
大分大学医学部附属病院 血液内科    医員   柳井 優花
大分大学医学部附属病院 血液内科    医員   春山 誉実
大分大学医学部附属病院 血液内科    医員   吉田 匡貴
大分大学医学部附属病院 血液内科    医員   丸山 莉果
大分大学医学部医学科          学生   小杉 優紀菜

【お問い合わせについて】
本研究に関するご質問等がありましたら下記の連絡先までお問い合わせ下さい。ご希望があれば、他の研究対象者の個人情報及び知的財産の保護に支障がない範囲内で、研究計画書及び関連資料を閲覧することが出来ますのでお申し出下さい。

照会先および研究への利用を拒否する場合の連絡先:
住 所:〒879-5593 大分県由布市挾間町医大ヶ丘1-1
       大分大学医学部 腫瘍・血液内科学講座
電 話:097-586-6275
担当者:大分大学医学部附属病院 輸血部 講師 高野久仁子(たかのくにこ)

2022年06月30日