臨床研究へのご協力のお願い 「HBs抗原陽性およびHBV既往感染のT細胞リンパ腫に対するモガムリズマブ治療後のB型肝炎ウイルス再活性化に関する多機関共同後方視的観察研究」

がんの治療は、様々な進歩により薬物療法も大きく変わって参りました。抗がん剤での治療だけではなく、抗体薬や免疫賦活剤など多様になってきております。その中で治療に行う上で、合併症や副作用に対しても十分注意する必要がございます。その中の一つとして、ごく一部の方々にB型肝炎ウイルスが再び活性化を起こし、肝炎を起こすことが知られております。そのため、ウイルスの量などがモニタリングすることが早期発見や予防に重要であることが言われており、日本肝臓学会からは、免疫抑制・化学療法、あるいは終了後に、HBs抗原陽性あるいはHBs抗原陰性であってもHBs抗体あるいはHBc抗体陽性の症例の一部にB型肝炎ウイルスが再活性化を起こし、B型肝炎を発症し、劇症化する症例もあり致死的になることもあることからモニタリングなどの注意を要することが記されております。特に、CD20モノクローナル抗体を含む薬物療法を行うB細胞系腫瘍や造血幹細胞移植においては、HBV再活性化リスクが高いことが報告されてきております。前述のように、最近の治療開発により様々な分子標的薬や免疫関連治療薬の使用も行われるようになっており、治療も多岐に渡るようなって参りました。しかしながら、免疫賦活作用を有する可能性がある薬剤投与後のHBV再活性化のリスクや肝炎の発症などについては明らかではありません。本研究では、T細胞リンパ腫(成人T細胞白血病リンパ腫および皮膚T細胞リンパ腫を含む)を対象とし、CCR4モノクローナル抗体であるモガムリズマブ治療後のHBVの再活性化、HBV関連肝炎発生頻度、劇症化の頻度などを後方視的に収集し、HBV再活性化の対策について検討することを目的といたします。
 研究について
各研究機関において保有している既存情報のみを用いて実施する研究(人体から取得された試料を用いない研究)であり「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」の対象となります。
 研究の対象患者:
HBs抗原陽性群及びHBV既往感染群における登録適格患者
2012年5月から2021年3月の間に、各参加機関においてモガムリズマブ治療が開始されたT細胞リンパ腫のうち、以下の適格規準を全て満たし、かつ除外規準のいずれにも該当しない患者を“HBs抗原陽性群”、“HBV既往感染群”と定義し、これらの患者を登録適格患者といたします。
 研究手順
各参加機関の担当者は、対象患者が適格規準を全て満たし、除外規準のいずれにも該当しないことを確認した上で、症例報告書を記入し研究事務局に送付します。データのやり取りには研究事務局から割り振られた機関番号と、各参加機関の研究責任者が患者に割り当てる患者識別番号とを組み合わせた“匿名化番号”を用います。匿名化番号と病歴番号(ID:カルテ番号)の対照表は、研究期間終了まで各機関の研究責任者が保管します。各機関よりデータが収集された後に、研究事務局が評価項目に関する解析を行います。
 評価項目
HBs抗原陽性群
主要評価項目:
 HBV再活性化割合

副次的評価項目
 肝障害発症割合とその重症度(全身性ステロイド投与の有無)
 HBV再活性化関連肝障害発症割合
 HBV再活性化関連劇症肝炎発症割合
 HBV再活性化関連死亡割合
 非代償性肝硬変発症割合
 肝細胞癌発症割合
 肝細胞癌による死亡割合
 核酸アナログ予防投与割合(予防投与の内容、期間)
 全生存期間
HBV既往感染群
主要評価項目
 HBV再活性化割合

副次的評価項目
 肝障害発症割合とその重症度(全身性ステロイド投与の有無)
 HBV再活性化関連肝障害
 HBV再活性化関連劇症肝炎割合
 HBV再活性化関連劇症肝炎割合
 HBV再活性化関連死亡割合
 核酸アナログ治療(予防投与および先制治療の有無、投与内容、期間)
 全生存期間
 研究実施期間
登録期間:2022年3月〜2023年12月(9ヶ月)
研究実施期間:2022年3月〜2024年3月(2年)
本研究は日常診療で得られた臨床データを集計する研究であり、これにより患者さんに新たな検査や費用の負担が生じることはありません。また、研究に扱う情報は個人情報を切り離して、個人が特定されない形で、厳重に扱います。
本研究は熊本大学病院の熊本大学大学院生命科学研究部等人を対象とする生命科学・医学系研究疫学・一般部門倫理委員会にて承認を得ています。
皆様の貴重な臨床データを使用させていただくことにご理解とご協力を何卒お願いいたします。
ご自身のデータを研究に使わないでほしいと希望されている方は、各医療機関研究担当者もしくは下記の連絡先までご連絡ください。何卒よろしくお願い申し上げます。

 研究の資金源
本研究は、日本医療研究開発機構研究費(研究課題名:B型肝炎再活性化に対する、費用対効果に優れた予防および治療法の開発、研究代表者:溝上雅史、所属:国立国際医療研究センター)を資金源として実施します。
 利益相反状況
このほかに特定の団体からの資金提供や薬剤等の無償提供などは受けず、研究組織全体に関して起こりうる利益相反はありません。各研究者の利益相反状況につきましては各参加機関で管理いたします。
 情報の管理責任者
熊本大学病院 がんセンター 野坂 生郷

 研究実施体制(共同研究施設)
尼崎総合医療センター
安城更生病院
いづろ今村病院
今村総合病院
大分大学医学部附属病院
大阪国際がんセンター
大阪大学医学部附属病院
岡山大学病院
鹿児島大学病院
がん研究会有明病院
岐阜大学医学部附属病院
九州大学病院
九州がんセンター
九州医療センター
京都第一赤十字病院
京都大学医学部附属病院
京都府立医科大学附属病院
熊本医療センター
くまもと森都総合病院
熊本総合病院
熊本大学病院
倉敷中央病院
県立宮崎病院
高知大学医学部附属病院
神戸大学医学部附属病院
神戸中央病院
国立がん研究センター中央病院
国立がん研究センター東病院
埼玉医科大学国際医療センター
佐世保市総合医療センター
産業医科大学病院
JR大阪鉄道病院
四国がんセンター
島根大学医学部附属病院
順天堂大学医学部附属練馬病院
昭和大学病院
市立豊中病院
第二大阪警察病院
千葉大学医学部附属病院
天使病院
東京大学医科学研究所附属病院
東北大学病院
鳥取大学医学部附属病院
中頭病院
長崎医療センター
長崎大学病院
名古屋市立大学病院
広島赤十字・原爆病院
兵庫県立がんセンター
福岡大学病院
宮崎大学医学部附属病院
和歌山県立医科大学附属病院

 連絡先
熊本大学病院 がんセンター
野坂 生郷
電話:096-373-5799(代表)

 当院連絡先
大分大学医学部附属病院 血液内科
緒方 正男
電話:097-549-4411(代表)

2022年07月08日