本文へスキップ

アジアのウイルス性疾患制圧へ U.S. - Japan Cooperative Medical Science Program Viral Diseases Panel

ウイルス性疾患専門部会viral diseases panel

活動の概要

ウイルス性疾患の中で、狂犬病、アルボウイルス感染症、ウイルス性出血熱、ウイルス性下痢症および新興ウイルス感染症には、地球規模で対策が求められている重度な感染症が多数含まれている。特に、アジア諸国においては、経済的、公衆衛生的環境が感染制御にとって必ずしも十分ではなく、これらのウイルス性疾患の拡大が大きな問題となっている。また、地球規模で人と物が行き来する現代社会においては、アジアでの流行が短時間で世界的に拡大する可能性もあり、地球規模での感染制御が望まれている。

本研究開発計画では、日米医学協力計画を基軸として、アジアに蔓延するウイルス性疾患のうち、狂犬病、アルボウイルス感染症、ウイルス性出血熱、ウイルス性下痢症および新興ウイルス感染症を対象とし、それらの感染制御を推進するため、それらの疾患や原因ウイルスについての研究を研究開発協力者の協力のもと実施する。また、米国研究者およびアジア流行国の研究者間で研究発表、相互討論、情報交換等を行う。

活動の目的および内容

日米医学協力計画を基軸として、アジアに蔓延するウイルス性疾患制圧の推進を目的とする。このため、本研究開発では、狂犬病、アルボウイルス感染症、ウイルス性出血熱、ウイルス性下痢症および新興ウイルス感染症を対象とし、研究を行う。また、ウイルス学的、分子生物学的、免疫学的また疫学的研究の発展、アジア研究者との研究協力体制構築および若手研究者育成に努める。

研究対象とするウイルスおよび疾患など

1) ウイルス性出血熱

腎症候性出血熱は、中国やロシアを中心とするアジア地域で流行しているハンタウイルスを原因とするウイルス性出血熱である。本疾患の診断法、血清疫学的研究およびウイルスの病原性メカニズムについて研究を進める。

2) 狂犬病

不治のウイルス感染症である狂犬病の発症後治療への応用を念頭に、ハイスループットな抗ウイルス薬のスクリーニングを行う。

3) アルボウイルス感染症

アジアにおいて公衆衛生上重要なデング熱とジカ熱、日本脳炎などの蚊媒介性ウイルス感染症とダニ媒介性ウイルス感染症について、アジア諸国での流行状況を明らかにすると共に、デング熱重症化メカニズムの解明、ジカ熱の小頭症発生状況とその要因の解明、日本脳炎とダニ媒介性脳炎の神経毒性解明に資する研究を実施する。

4) 新興ウイルス感染症

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)はダニによって媒介される新興ウイルス感染症である。昨年、WHOのブループリント重要疾患リストに加えられ、一類感染症のウイルス性出血熱、ジカ熱などと共に重要な感染症に指定された。SFTSウイルスおよび近縁ウイルスの血清診断法を改良し疫学的研究に応用する。また、アジア諸国でのウイルス分布を把握する。さらに、SFTSウイルスおよび近縁ウイルスに対する抗ウイルス薬を評価し、抗ウイルス化合物の探索と、同定後に作用機序の解明を行う。

5) ウイルス性下痢症

下痢症を引き起こすノロウイルス、ロタウイルスなどについて、CRISPR/Cas9、オルガノイド、リバースジェネティクスといった最新の研究手法を取り入れ、複製増殖機構、病原性発現機構の研究、免疫学的研究などの基礎的研究を実施し、ワクチン開発、抗ウイルス薬開発など、国内外でのウイルス性下痢症の疾病制御を推進する。

日米医学協力計画ウイルス性疾患専門部会

H30年度 ウイルス性疾患専門部会長
〒879-5593
大分県由布市挾間町医大ケ丘1-1大分大学 医学部 微生物学講座 教授 西園晃

TEL 097-586-5712
Mail biseibut@oita-u.ac.jp