曽我 泰裕 Yasuhiro Soga
|  | 曽我 泰裕 Yasuhiro Soga 大分大学医学部感染予防医学講座 大学院生 Biochem Biophys Res Commun. 2025 Jan:743:151085 | 研究テーマ(博士課程) 脂質メディエーター:パルミトイルエタノールアミド(PEA)はin vitroおよびin vivoにおいて病原性T細胞の分化を抑制する 脂質メディエーターであるパルミトイルエタノールアミド(PEA)は、様々な炎症性自己免疫疾患に対する潜在的な治療選択肢として近年注目を集めている。PEAは、特に骨髄系抗原提示細胞に発現するToll様受容体(TLR)に起因する炎症に対して抑制効果を発揮することが報告されている。しかし、PEAがT細胞の分化と機能に果たす正確な役割は未だ解明されていない。本研究では、PEAが自己免疫疾患の原因となることが知られているTh1細胞およびTh17細胞、ならびにアレルギー疾患に関連するTh2細胞の分化を抑制することを発見した。この抑制は、in vitroにおける分化に不可欠な主要転写因子の発現を阻害することで生じる。特筆すべきは、自己免疫疾患の発症防止に重要な役割を果たす制御性T細胞の分化過程にはPEAが影響を与えなかった点である。PEAの効果をさらにin vivoで確認するため、Toxoplasma gondii感染モデルおよびオボアルブミン誘発アレルギー性鼻炎モデルにPEAを投与した。病原体排除にTh1応答が重要なトキソプラズマ感染マウスでは感受性が増強された。一方、Th2応答が症状悪化に寄与するアレルギー性鼻炎マウスでは症状が軽減された。これらの知見を総合すると、PEAは過剰な炎症反応に基づく自己免疫疾患およびアレルギー性疾患に対する新規治療薬としての応用可能性を示唆している。 | 
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| 炎症シグナルを可視化するアッセイ系の確立と シグナル調節因子の探索に関する研究  マウスマクロファージ細胞株RAW264.7に NF-kB-GFPレポーター遺伝子を導入し、 安定発現株を樹立した。LPS刺激により NF-kBが活性化すると細胞はGFP陽性になる。 研究のキーワード 炎症、TRAF6、シグナル伝達、フローサイトメーター | 研究テーマ(修士課程) 炎症シグナルを可視化するアッセイ系の確立とシグナル調節因子の探索に関する研究 シグナル伝達分子 TRAF6は Toll-like receptor(TLR)、 IL-1R、 RANK、 CD40などの下流で炎症性シグナルを伝達します。 TRAF6の下流では転写因子 NF-kBの活性化や MAP kinaseを介した転写因子 AP-1の活性化がおこり、炎症性サイトカ インの転写が開始されます。 この時、複数の転写因子が相乗的に働くと考えられています。炎症性疾患の増悪化を抑えるには、炎症シグナルを阻害することが重要ですが、TRAF6はすべての TLRを始め、様々な受容体の下流で炎症の惹起に寄与するため、 TRAF6を阻害することで多数の経路および 転写因子による炎症反応を抑制できると考えられます。 TRAF6を介した炎症シグナルを抑制することができる新規分子の探索を目指し、まず、有用なツールの作製から始めました。代表的な炎症性転写因子である NF-kBおよびAP-1に着目し、これらの活性を同時に定量化できるレポーターアッセイ系を樹立するため、 NF-kBおよび AP-1が活性化されるとそれぞれ異なる蛍光タンパク質(EGFPおよび RFP)が発現するレポーター遺伝子を構築しています。このレポーター遺伝子を恒常的に発現させた細胞株を樹立し、フローサイトメーターで評価できるか検討しています。 LPSや CpG-DNAなどの刺激で TRAF6シグナルを活性化させ、そこに抗炎症性の候補物質を添加する予定です。 | 
学会活動
 1. 日本臨床衛生検査技師会
 2. 日本検査血液学会
 3. 日本血液学会 
	 4. 日本輸血細胞治療学会 
経歴
   2007年 大分臨床検査技師専門学校卒業
   2007年 大分県厚生連鶴見病院 中央検査部臨床検査科
   2019年 大分大学医学部感染予防医学講座大学院修士課程  
 2021年 大分大学医学部感染予防医学講座大学院博士課程 
 2025年 大分大学医学部生化学・分子遺伝学講座助教 
研究業績
   
   学会発表:第42回日本分子生物学会(2019年12月) 
     TRAF6を介した炎症シグナルを定量化するレポーターアッセイ系の樹立と炎症を抑制する新規分子の探索
  
  コメント
   仕事と研究を両立して頑張ります。
  
  
  
    
 
  
       
    
       
  
2021年6月撮影 
    




