大分大学(医学部微生物学講座西園研究室)は、狂犬病迅速封じ込め策パッケージ(Rabies rapid response kit)開発の契約をWHOと結びました

狂犬病はウイルスを保有するイヌやネコに咬まれることで感染し、発症するとほぼ100%死亡する恐ろしい感染症です。フィリピンは世界的にみても、もっとも狂犬病が蔓延している国のひとつです。いまだに狂犬病が流行しているひとつの要因が、狂犬病動物が発生してもすばやい封じ込め策を実施できていないことです。これは簡便でわかりやすいマニュアルが存在しないため、人々がどのような封じ込め策を行えばいいのか理解できていないためと考えられました。

今回、WHO(世界保健機関)から依頼を受け、微生物学講座は狂犬病迅速封じ込め策パッケージ (Rabies rapid response kit)の開発を行うこととなりました。このパッケージには、狂犬病対策活動従事者が、狂犬病発生時に何をすべきか簡便にわかりやすく示したマニュアルや、必要な情報にすばやくアクセスできるようにモバイルフォンアプリも含まれます。また、自己学習ツールも開発予定です。

微生物学講座はフィリピンで狂犬病対策(地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS))を実施中で、それらの知見を活かしてこのパッケージの開発を行います。また、世界最大規模の狂犬病対策活動団体であるGARC (Global Alliance for Rabies Control)と契約を結び共同で開発活動を行っていきます。

今後はこの成果を活用し、フィリピンだけでなく世界中の狂犬病蔓延地域で幅広く活用される対策パッケージの開発を行っていきたいと思います。

(開発目標2021年11月)