挨拶

大分大学医学部長
大分大学医学部長 猪股 雅史

INOMATA Masafumi

大分大学医学部の前身である大分医科大学は、1976年(昭和51年)10月に開学し、1978年4月に第一期生を迎えました。1984年に大学院医学研究科を設置、1994年に看護学科を設置し、2003年(平成15年)10月に大分大学と統合し大分大学医学部になり、今春、29年ぶりの新学科として、先進医療科学科を開設しました。附属病院は、1981年(昭和56年)10月に開院し、2021年に開院40周年を迎えています。

これまで、医学部では、医学科3905名、看護学科1700名を、大学院では、博士課程医学専攻の、課程博士701名、論文博士382名、修士課程看護学専攻171名、医科学専攻136名という優秀な医療人・研究者を、大分県下をはじめ国内、さらには海外に輩出してきました。

大分は歴史上、日本に西洋医学が初めて導入された地です。豊後を統治した大友宗麟の庇護のもと、ポルトガルの宣教師で医師でもあったルイス・デ・アルメイダが、1557年に豊後府内(現在の大分市)に日本で最初の洋式病院を建て、日本初の西洋式外科手術を実施しました。また、医学校も併設され、西洋医学教育が行われました。

このような医学歴史に深い大分の地に創立された大分大学医学部および医学系研究科の使命は、豊かな人間性と高い倫理観を備え、それを支える豊かな教養を身に付けた医療人および研究者を育成することであり、さらに地域および国際社会の福祉に貢献することです。

医学科の卒前教育においては、世界医学教育連盟が示す国際基準を満たしたカリキュラム改訂を行い、日本医学教育評価機構(JACME)による医学教育分野別評価を受審した結果、本年2月、医学教育分野別評価の認定を獲得しました。これに基づき今後さらに、臨床実習を強化し、卒前卒後教育をシームレスに連動させていく学修成果基盤型教育への改革と、国際的視野を有した医療人の育成を推進します。また、看護学科では看護師教育と保健師教育との統合カリキュラムをさらに改訂し、看護学を基盤に看護実践を展開できる看護師および保健師の育成を目指しています。

卒後教育においては、2021年度から「ORPhDプログラム」、2022年度から「基礎研究医プログラム」をスタートさせています。研修医・博士課程コース(ORPhD)は、初期研修期間中から大学院博士課程に進学できる制度です。基礎研究医プログラムは、初期臨床研修の必修科目修了後の選択科目研修期間中に基礎医学教室での研修が認められている制度です。いずれも研修医の多様化したニーズに応えるために、基礎研究を早い段階から始める制度です。

また、海外からの留学生の受け入れをはじめとする国際交流を推進しています。国際的な観点からは、ASEAN諸国をはじめ、欧米など多くの海外の大学との協定を結び、人材育成、医療協力を行うとともに、医学生及び専攻医の人事交流を行っています。 研究面においては、本学の強みと特色を踏まえた戦略的な研究や地域貢献につながる研究を推し進めています。世界的高評価の、低侵襲医療、AIおよびロボット技術による医療開発、ピロリ菌研究などに加え、大学直轄の「グローカル感染症研究センター」の設立により、この感染症分野の研究を一層推進してゆきます。

大分大学医学部は、地域に根差した大学であると同時に、世界を目指す大学として、高い使命感を持つ学生諸君を歓迎し、未来の医療・医学を担う人材を育成したいと考えています。