挨拶
INOMATA Masafumi
大分は歴史上、日本に西洋医学が初めて導入された地です。豊後を統治した大友宗麟の庇護のもと、ポルトガルの宣教師で医師でもあったルイス・デ・アルメイダ(1525-1583) が、1557年に豊後府内(現在の大分市) に日本で西洋医学を初めて導入した外科、内科、ハンセン氏病科を備えた総合病院を建て、また、医学校も併設され、西洋医学教育が行われました。また、福沢諭吉(学問のすすめ、慶應義塾大学創立)や前野良沢(解体新書)は、大分県中津市の出身です。
このような医学歴史に深い大分の地に、大分大学医学部の前身である大分医科大学は1976年(昭和51年)10月に開学しました。1978年4月に第一期生が入学し、1984年に卒業と同時に、1984年に大学院医学研究科を設置しています。1994年には看護学科を設置し、同時に第一期生が入学しています。2003年(平成15年) に大分大学と統合し大分大学医学部になり、そしてこの2023年(令和5年) 4月、29年ぶりとなる新学科である先進医療科学科を設置し、医学部は3学科体制となりました。 附属病院は、1981年(昭和56年)10月に開院し、2021年に開院40周年となりました。そして2026年には、大分大学医学部は創立50-周年を迎えます。
大分大学医学部は、講座再編などにより、現在、医学科は基礎医学系16講座、臨床医学系30講座、寄附講座9講座、看護学科は2講座、先進医療科学科は2 コース、医学部附属センター7施設となっています。これまでに、医学科4,218名、看護学科1,888名を、大学院では、博士課程医学専攻の課程博士767名、論文博士408名、修士課程看護学専攻184名、医科学専攻138名という優秀な医療人・研究者を、大分県下をはじめ国内、さらには海外に輩出してきました。
大分大学医学部および医学系研究科の理念は、「最新の学術を教授・研究し、高度の医学及び看護学、先進医療科学の知識と技術並びにそれらの本義を見失わない道徳観と、それを支える豊かな教養を身に付けた医療人及び研究者を育成すること」実際には、大分県内の医療に携わり地域医療を担う医師・看護師などの医療人を育成すること、一方、国際感覚を有し最先端の医療を提供する医学者を輩出すること、これらが使命と考えています。医学科カリキュラムの特徴としては、1年次の早期体験実習や1年から6年まで通年での医学英語・医療英会話、また臨床実習時の地域医療実習があります。
入学試験制度では、地域医療の向上に関して、総合型選抜35名のうち地域枠を13名に設定しており、2021年度から一般選抜65名のうち地元出身者枠10名を設定いたしました。最新の先進医療を身につけつつ地域医療に貢献できることが期待されています。
卒前教育においては、医学科では、世界医学教育連盟が示す国際基準を満たしたカリキュラム改訂を行い、日本医学教育評価機構(JACME)に基づく医学教育分野別評価受審にて、2023年2月に国際基準を満たした医学部として認定されています。すなわち臨床実習を強化し、卒前卒後教育をシームレスに連動させていく学修成果基盤型教育への改革に取り組むとともに、国際的視野を有した医療人を育成します。看護学科においては、看護師教育と保健師教育との統合カリキュラムをさらに改訂し、看護学を基盤に看護実践を展開できる看護師および保健師の育成を目指しています。2026年3月に日本看護学教育評価機構(JABNE)による看護学専門分野別評価において、認定されています。先進医療科学科では、医学・医療の基盤を支え、自然科学と社会科学の融合による「総合知」を創造し、イノベーション創出に発展させることのできる融合人材の育成を目指します。
卒後教育・大学院教育では、2021年度から「ORPhD プログラム」、2022年度から「基礎研究医プログラム」を開始しました。研修医・博士課程コース(ORPhD)は、初期研修期間中から大学院博士課程に進学できる制度です。基礎研究医プログラムは、初期臨床研修の必修科目修了後の選択科目研修期間中に基礎医学教室での研修が認められている制度です。いずれも研修医の多様化したニーズに応えるために、基礎研究を早い段階から始める制度です。また、海外からの留学生の受け入れをはじめとする国際交流を推進しています。国際的な観点からは、ASEAN 諸国、ロシア、サウジアラビアなど多くの海外の大学との協定を結び、人材育成、医療協力を行うとともに、医学生及び専攻医の人事交流を行っています。さらにアイルランガ大学(インドネシア)、モンゴル国立医科大学と大学院ダブルディグリー制度を開始しています。
研究面においては、本学の強みと特色を踏まえた戦略的な研究や国際的に、あるいは地域貢献につながる研究を推し進めています。ピロリ菌や狂犬病ウイルスなど感染症研究、AI データサイエンスと低侵襲医療を融合した革新的医療技術の開発研究は、国際的な研究拠点として高い評価を受けています。また認知症における早期診断治療研究や種々の病気におけるゲノム研究も推進しています。大学直轄の「グローカル感染症研究センター」が2021年10月に設立され、感染症分野の研究が一層、 推進されています。
今後も知(地) の拠点として、社会の変化への対応力と医学に対する高い使命感と倫理観を持ち、未来の医療・医学を担う人材を育成したいと考えています。

