[発行] 大分大学医学部附属病院広報誌発行委員会

栄養管理室

〜野菜を食べよう!A〜

  トマトのおいしい季節がやってきました。『トマトが赤くなると医者が青くなる』とは、ヨーロッパのことわざ。昔から赤いトマトは毎日の健康に欠かせない野菜だったようですね。現在は世界で一番多く作られている野菜だそうです。ご存知でしたか?

 トマトには、ビタミンA・C・E・B・カリウム・食物繊維などの栄養素が含まれています。中でも、最近注目を浴びているのが、トマトの鮮やかな「赤い色」に含まれる、カロテノイドのひとつであるリコピンという色素。活性酸素を除去する抗酸化作用があると報告されています。

 活性酸素は、炎症が起きているとき、激しいスポーツの後、偏った食生活や飲酒、ストレスなどによって、体内に多量に発生します。また、排気ガスやタバコの煙などにも含まれ、これらの活性酸素が細胞の遺伝子や膜を傷つけ、発がんや動脈硬化を促進させるなど生活習慣病の原因となることが明らかになってきました。それにともない、活性酸素の働きを抑える物質としてリコピンなどカロテノイドの抗酸化作用が注目されてきたのです。

 カロテノイドは、紫外線の刺激で発生する活性酸素から身を守るために野菜や果物が蓄えた成分なので、同じトマトでもよく日に当たって育ったもの・完熟のものほど多くのリコピンを含んでいます。夏の陽射しをいっぱい浴びたトマトが手に入る今の時期こそ、積極的に食事に取り入れたい食品ですね。

 日本では生で食べることが多いトマトですが、リコピンには油に溶けやすい性質があり、油を使った調理法によって吸収がぐんと高まります。また、トマトには旨味成分であるグルタミン酸が含まれており、肉や魚のイノシン酸と合わさると、コクと旨味を引き出してくれます。時には、炒め物や煮込み料理に使ってみてはいかがでしょう。ジュースやピューレ、ケチャップなどの加工品を利用するのもよい方法です。

トマトおいしいトマトの選び方

・皮につやがあり、丸みがあるもの。
・肉質が硬くずっしりと重いもの。
・へたがみずみずしい緑色で、ピンとはりがあるもの。
・濃く鮮やかに赤いもの。裏返しても色ムラの少ないもの。

旬の野菜を上手に献立に取り入れて、この夏も元気に乗り越えたいですね。

(文責 栄養管理室 廣田優子)

最終更新日時: 大分大学医学・病院事務部管理課作成