[発行] 大分大学医学部附属病院広報誌発行委員会

病院前救護−医療チーム派遣−

 

 
【はじめに】
 本院救命救急センターは、大分県内全域の緊急度・重症度の高い患者さんの診療に重点を置いた診療を使命としています。また、重要な役割として、大分県内の救急医療体制の整備・充実を推し進めています。
【病院前救護】
  一般医療が、医療機関到着から始まるのに対して、救急医療は、患者さんが発生した現場から始まります。重症で緊急度の高い病態の患者さんにおいては、診断・治療は一刻を争います。病院に到着するのを待っていたのでは間に合わないことも多く、病院到着までが生死を左右する極めて重要な領域と言えます。この病院前救護が、救急医療の際立った特徴です。近年、救急医療体制における病院前救護の重要性がより一層高まっており、医療スタッフによる、病院前から病院内への一貫した救護・医療体制の構築が望まれています。
【医療チーム派遣(デリバリーシステム)】
  救命救急センターでは、2年前より積極的に病院前救護への医療チーム派遣を行っています。出動回数は、すでに120回を超えました。医療スタッフのデリバリーシステムにより、患者さんに一分一秒でも早く接し、早期診断・治療を開始します。これにより、以前は助からなかった患者さんが、救命され社会復帰することも可能となりました。医療チーム派遣の手段として、主に、救急車とヘリコプターがあります。患者さんのおられる場所や状況に応じた最適な手段を選択しています。事故・災害現場などで複数の傷病者がいる場合を除き、通常、医療スタッフ2〜3名を派遣し、病院内のスタッフと連携しながら対応しています。
【最後に】
  近年、医療スタッフの偏在,救急・地域医療崩壊が取り沙汰されています。しかしながら、医療に地域格差があってはなりません。大分県内にお住まいの皆さまが、どこにいても安心して暮らせる救急医療体制の構築が熱望されます。本院では、一人でも多くの尊い命が救われるために献身しています。

 

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(文責 救命救急センター 石井 圭亮)


最終更新日時: 大分大学医学・病院事務部管理課作成