肝疾患

肝臓疾患の診療内容

1.急性肝炎の診断・治療
  ウイルス性肝炎、自己免疫性肝炎、薬剤性肝障害など
2.慢性ウイルス性肝炎の診断・治療
  B型慢性肝炎、C型慢性肝炎
3.肝硬変症の合併症に対する治療
  腹水、肝性脳症、胃食道静脈瘤など
4.肝腫瘍の診断・治療
  肝細胞癌、胆管細胞癌、転移性肝腫瘍など
5.自己免疫性肝疾患の診断・治療
  自己免疫性肝炎、原発性胆汁性胆管炎など
6.代謝性肝疾患の診断・治療
  アルコール性肝疾患、脂肪肝、非アルコール性脂肪性肝炎など
7.薬剤性肝障害

当院でのC型慢性肝炎治療

C型慢性肝炎は放置すると肝硬変や肝臓がんへと進展する疾患であり、進展を抑えるためにはウイルスを排除する必要があります。1992年からインターフェロンという注射薬で治療が行われていましたが、2014年より内服薬で治療するようになりました。最新の治療薬は、8~12週間の内服治療で、99-100%の患者さんのウイルスを排除することができます。しかも、副作用はほとんどありません。当院ではこれまでに約300名の患者さんに対し内服抗ウイルス薬による治療を行い、ほとんどの患者さんはウイルスが排除されました。

当院での肝硬変治療

慢性肝炎が長期間持続すると、肝臓は徐々に硬くなり、肝硬変の状態となります。そのため、その原因となっている疾患に対する治療を行い、肝硬変への進展を阻止することが重要となります。B型肝炎やC型肝炎は、近年、抗ウイルス薬の進歩により、慢性肝炎から肝硬変に進展する患者さんはほとんどいなくなりました。最近問題となっているのは、お酒の飲みすぎによるアルコール性肝障害や過食や運動不足などが原因で生じる非アルコール性脂肪性肝炎です。検査を行っても診断が困難な患者さんの中には免疫異常によって肝炎が生じている場合があります(自己免疫性肝炎や原発性胆汁性胆管炎)。肝硬変を予防するためには、まず、慢性肝炎の原因を診断して、適切な治療を行うことが重要です。しかし、すでに肝硬変まで進行してしまった患者さんも多く、肝硬変が進行した患者さんでは難治性腹水、肝性脳症、胃食道静脈瘤などさまざまな合併症が生じてきます。当院ではこれらの肝硬変症に伴う合併症に対し、さまざまな薬剤や治療法を用いて治療を行っています。

当院での肝細胞癌治療

最近では、肝細胞がんの原因の40-45%はC型肝炎、10-15%がB型肝炎であり、B型やC型でない、非B非C肝がんが増加し、40-45%ほどを占めるようになっています。非B非C肝がんの約半数はアルコール性肝障害で10%ほどが非アルコール性脂肪性肝炎です。肝がんの治療法には肝動脈塞栓術、ラジオ波焼灼療法、外科的切除、抗がん剤治療(分子標的薬)、放射線治療などがあり、癌の進行度、部位、肝機能などを考慮して治療法を選択しています。進行がんの患者さんに対しては、これまでソラフェニブという内服抗がん剤(分子標的薬)やリザーバー動注(肝臓にカテーテルという管を留置して抗がん剤を肝臓内に注入する方法)を行ってきましたが、最近はレゴラフェニブやレンバチニブという新規治療薬(分子標的薬)も保険適用となり、進行がんに対する治療法も増えてきています。