胆・膵疾患

当科では、胆石、胆嚢炎、急性膵炎、慢性膵炎、膵石症などの良性疾患から、胆管癌、膵臓癌などの悪性疾患まで、幅広く扱っております。ERCP(内視鏡的逆行性膵胆管造影)、EUS(超音波内視鏡検査)、EUS-FNA(超音波内視鏡下穿刺吸引術)、IDUS(胆管内超音波検査)、胆管ファイバー等を行い精度の高い診断と適切な治療を行っております。他科及び、地域医療施設との連帯も密接で、緊急時から慢性期まで万全の対応を心がけております。また、当科の特徴の一つとして、消化管疾患と胆膵系疾患を専門分野別に分けていないという点があります。これにより、消化管の治療を行える医師が、胆膵系疾患の検査、治療にも対応することができ、専門性が高くかつalmightyな消化器内科医の育成が可能となっております。当科で扱っている主な疾患を以下に示します。

胆管結石

結石が胆管を閉塞し、胆管炎、閉塞性黄疸、急性膵炎などを発症します。緊急の処置が必要な場合が多く、放置すると命に係わる場合があります。通常バスケットカテーテルを用いて、結石を取り除きますが、石が大きい場合はESWL(体外衝撃波結石破砕術)を併用し排石する場合もあります。
ercp1.jpg ercp2.jpg ercp3.jpglarge balloonによる拡張中 ercp4.jpg ercp5.jpg ercp6.jpg
ESWLとEST後large balloonによる乳頭拡張術を併用し完全排石に成功した巨大総胆管結石の一例

胆管癌

検診などで、採血異常から指摘されたり、黄疸で発見されたりする疾患です。正確に診断をつけるため、胆道造影を行い、病変から直接細胞や組織をとり治療方針を決定していきます。胆管ファイバーやIDUSなども必要に応じ施行しております。閉塞性黄疸をきたしている場合は胆管ドレナージを行います。

急性胆嚢炎

胆嚢結石や胆泥により発症する疾患で、急激な右季肋部痛や背部痛を伴います。経皮的に胆嚢を穿刺しドレナージを要する場合があり、放射線科、外科と連帯し、対応しております。

急性膵炎

飲酒、胆石、高脂血症などで発症し、強力な膵酵素により膵臓の自己消化をきたす疾患です。重症化すると命に係わります。胆石が原因の場合は内視鏡的に緊急排石を行ったりドレナージ術を行ったりします。厳重な全身管理が必要となりますので、場合によってはICU(集中治療室)に入院していただき治療する場合もあります。

慢性膵炎、膵石症

慢性膵炎で、膵石により膵液の通過障害を来し、膵管内圧が上昇して、疼痛、膵炎発作を繰り返しているような場合は、内視鏡的に切石をすることで病態を改善することが期待されます。当科では結石が大きい場合はESWLを併用し、膵石の治療を行っております。

膵仮性嚢胞

急性膵炎により膵外に炎症が波及すると、急性仮性嚢胞を形成する場合があります。6週間以上経過しても、60mm以上の嚢胞がある場合や、有症状、嚢胞感染を来した場合は、ドレナージ術の適応となります。当科では、経消化管的にEUS-FNAの手技を用いドレナージ治療をおこなっております。

膵臓癌、膵腫瘤

CT,MRI、PETなどを用い画像的診断を行います。必要な場合は、EUS-FNAで病理診断まで行います。癌の増大により閉塞性黄疸を来した場合は、胆管ステントを留置します。