本院腫瘍内科で抗がん剤治療を受けられた患者さん・ご家族の皆様へ

【研究課題名】
糖尿病合併癌患者の化学療法に伴う悪心(おしん)*・嘔吐(Chemotherapy Induced Nausea and Vomiting: CINV)に対する制吐療法の検討
*悪心とは胃の中のものを吐き出したいという切迫した要求のことで、嘔気、吐き気ともいう

【研究の対象】
 この研究は以下の方を研究対象としています。
2022年9月1日~2023年8月31日に本院腫瘍内科で抗がん剤治療を受けられ、かつ治療開始時に糖尿病を合併しておられた方

【研究の目的・方法について】
 化学療法(抗がん剤を用いた治療)を行う際に、副作用としての悪心(おしん)・嘔吐がしばしば問題となります。抗がん剤によって誘導される悪心(おしん)・嘔吐はChemotherapy Induced Nausea and Vomiting (CINV)として広く認識されており、治療内容や薬剤ごとに、悪心(おしん)や嘔吐をきたす頻度(催吐リスク)が、ある程度示されています。現在は各国において悪心(おしん)・嘔吐に対するガイドラインが作成されており、化学療法の日常診療において広く普及しています。
 抗がん剤によって誘導される悪心(おしん)・嘔吐の制吐療法に用いる薬剤には、いくつかの薬剤がありますが、重要な役割を担う薬剤としてステロイド剤が使用されています。このステロイド剤には血糖値を上昇させる副作用が知られています。
がん患者さんの中には糖尿病を合併している患者さんも一定数いらっしゃいます。ステロイド剤の使用により糖尿病悪化をきたすこともあります。このため糖尿病を合併されている患者さんの場合、悪心(おしん)・嘔吐の対策としてステロイド剤の減量が検討されることがあります。一方でステロイド剤の減量により悪心(おしん)・嘔吐のコントロールが不十分となる可能性もあります。この場合、化学療法の治療の強度が低下し、抗がん治療の効果に影響が出る可能性があります。
このように、糖尿病を合併された患者さんにおかれましては、糖尿病の悪化を避けつつ化学療法の治療強度を保つことを求められます。
 今回、私たちは、大分大学医学部附属病院腫瘍内科で経験した糖尿病を合併された患者さんの悪心(おしん)・嘔吐に対する制吐療法の内容を診療録(カルテ)から情報収集し、制吐療法の調整内容、糖尿病コントロール状況、化学療法の効果との関連を検討することといたしました。このことにより、糖尿病を合併された患者さんに抗がん剤治療を行う場合の適切な制吐療法の構築を目指します。
 本研究で得た患者さんの診療情報は、大分大学医学部腫瘍・血液内科学講座にて解析を行います。

研究期間:(医学部長実施許可日)~2025年3月31日

【使用させていただく情報について】
 本院腫瘍内科におきまして、抗がん剤治療を受けた糖尿病合併の患者さんの診療情報(情報:性別、年齢、血液データ、病歴、既往症、治療経過、有害事象等の発生状況等)を調べさせていただきます。なお患者さんの診療記録(情報)を使用させていただきますことは大分大学医学部倫理委員会において外部委員も交えて厳正に審査・承認され、大分大学医学部長の許可を得ています。また、患者さんの診療情報は、国の定めた「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」に従い、特定の個人を識別できないよう加工したうえで管理しますので、患者さんのプライバシーは厳密に守られます。当然のことながら、個人情報保護法などの法律を遵守いたします。

【使用させていただく情報の保存等について】
診療情報については論文発表後10年間の保存を基本としており、保存期間終了後は、診療情報については、シュレッダーにて廃棄したり、パソコンなどに保存している電子データは復元できないように完全に削除します。ただし、研究の進展によってさらなる研究の必要性が生じた場合はそれぞれの保存期間を超えて保存させていただきます。

【外部への情報の提供】
本研究で収集した情報を他の機関へ提供することはありません。

【患者さんの費用負担等について】
本研究を実施するに当たって、患者さんの費用負担はありません。また、本研究の成果が将来医薬品などの開発につながり、利益が生まれる可能性がありますが、万一、利益が生まれた場合、患者さんにはそれを請求することはできません。
 
【研究資金】
 本研究においては,公的な資金である大分大学医学部附属病院腫瘍内科の医師が所属する大分大学医学部腫瘍・血液内科学講座の寄付金を使用します。

【利益相(りえきそう)反(はん)について】
 この研究は,上記の公的な資金を用いて行われ,特定の企業からの資金は一切用いません。「利益相反」とは,研究成果に影響するような利害関係を指し,金銭および個人の関係を含みますが,本研究ではこの「利益相反(資金提供者の意向が研究に影響すること)」は発生しません。

【研究の参加等について】
本研究へ診療情報を提供するかしないかは患者さんご自身の自由です。従いまして、本研究に診療情報を使用してほしくない場合は、遠慮なくお知らせ下さい。その場合は、患者さんの診療情報は研究対象から除外いたします。また、ご協力いただけない場合でも、患者さんの不利益になることは一切ありません。なお、これらの研究成果は学術論文として発表することになりますが、発表後に参加拒否を表明された場合、すでに発表した論文を取り下げることはいたしません。
患者さんの診療情報を使用してほしくない場合、その他、本研究に関して質問などがありましたら、主治医または以下の照会先・連絡先までお申し出下さい。
                   
【お問い合わせについて】
本研究に関するご質問等がありましたら下記の連絡先までお問い合わせ下さい。ご希望があれば、他の研究対象者の個人情報及び知的財産の保護に支障がない範囲内で、研究計画書及び関連資料を閲覧することが出来ますのでお申し出下さい。

照会先および研究への利用を拒否する場合の連絡先:
住 所:〒879-5593 大分県由布市挾間町医大ヶ丘1-1
電 話:097-586-6275
担当者:大分大学医学部腫瘍・血液内科学講座 大津 智

2024年06月21日