切除不能進行・再発大腸癌におけるEMT関連病理組織学的因子と予後・治療耐性の関連についての探索的コホート研究

切除不能進行・再発大腸癌におけるEMT関連病理組織学的因子と予後・治療耐性の関連についての探索的コホート研究
1.研究の対象
2013年1月1日から2016年12月31日までの間に、当院または下記の共同研究機関で再発または切除不能な大腸がんに対する抗がん剤治療を開始された方のうち、大腸癌研究会プロジェクト研究『RAS遺伝子野生型の治癒切除不能進行・再発大腸癌に対する一次治療での抗VEGF抗体薬または抗EGFR抗体薬併用療法の有効性を腫瘍占拠部位別に比較する観察研究』(International Journal of Clinical Oncology (2022) 27:1450–1458, https://doi.org/10.1007/s10147-022-02208-7)に登録されている患者さん
(参照:https://jsccr.jp/achievement/Committee/ kagakuryouhou.html)
2.研究期間
2025年8月12日 ~ 2029年12月31日
3.試料・情報の利用及び提供を開始する予定日
当院で試料・情報の利用を開始する予定日及び外部への提供を開始する予定日は以下の通りです。
利用開始予定日:2025年 7月 1日
提供開始予定日:該当なし
4.研究目的
この研究は、大腸癌研究会の化学療法委員会における検討の一環として行われます。再発や高度な進行によって根治が難しい大腸がんでは抗がん剤治療を行うことが標準治療となっています。抗がん剤治療に使用する薬剤(特に分子標的治療薬)は、がん細胞におけるRAS遺伝子の変異の有無や腫瘍の局在によって決定することが推奨されています。RAS遺伝子の変異がない場合には、抗VEGF(vascular endothelial growth factor:血管内皮細胞増殖因子)抗体薬であるベバシズマブ(VEB)、または抗EGFR(epidermal growth factor receptor:上皮成長因子受容体)抗体薬であるセツキシマブ(CET)やパニツムマブ(PANI)といった分子標的薬がいずれも使用可能です。これまでの当委員会の研究「RAS遺伝子野生型の治癒切除不能進行・再発大腸癌に対する一次治療での抗VEGF抗体薬または抗EGFR抗体薬併用療法の有効性を腫瘍占拠部位別に比較する観察研究」(以下、本体研究)では、左側大腸がんでは両者に効果の差を認めませんでしたが、右側大腸がんではVEBを使用した方が効果的と考えられました。しかしながら、個々の患者さんにとって最善な選択が行うという観点から、さらに検討の余地があると考えられます。
私たちはこれまでの研究により、手術で切除した大腸がんの組織で簇出、低分化胞巣、線維性がん間質反応といった新たな病理学的因子を評価することで、治療効果の予測ができるのではないかと期待しています。そこで、本研究では、新たな病理学的
因子が治療法の選択に役立つかどうか明らかにすることを目的として、上記の本体研究で登録された患者さんのうち、大腸がんの切除手術が行われた約430名の方の病理組織標本をお借りして病理学的因子を評価して治療効果との関係を調べます。
5.研究方法
各共同研究施設から手術時に作製され保管されている病理組織標本をお借りして、防衛医科大学校外科学講座で新しい病理学的因子の評価を行います。既に本体研究で収集されているデータを用いて各病理因子と治療効果の関連があるか評価します。
なお、この研究でご自身の病理組織標本が評価されたとしても、医療費などの免除などの直接的な利益は得られません。また、評価を受けることで新たな検査や投薬などの経済負担が増えるということもありません。この研究で得られた結果は、将来の患者さんに有益な情報となることが期待されます。
6.研究に用いる試料・情報の種類
情報:性別、年齢、血液検査などの検査データ,腫瘍の進行度や発生部位など病理学的所見、腫瘍の遺伝子検査所見(RAS遺伝子型/BRAF遺伝子型)、抗がん剤療法に関する治療歴、予後 等
試料:各施設において手術で摘出した組織標本のプレパラート
(プレパラートが提出困難な場合には、パラフィンブロック等)
なお、氏名、生年月日などの情報は使用しません。
7.外部への試料・情報の提供
研究事務局への標本の提供は、マスキングテープなどで個人を特定できないよう加工した状態で行います。提供の記録は当校、それぞれの機関の研究責任者が保管・管理します。また、その他の臨床情報は本体研究で既に加工済みのデータを使用します。
8.研究組織
研究責任者:防衛医科大学校外科学講座 上野秀樹
研究事務局:防衛医科大学校外科学講座 梶原由規
【共同研究機関(各機関での研究責任者)】
国立がん研究センター中央病院消化管内科(高島淳生)
東京科学大学病院消化管外科学分野(絹笠祐介)
山形県立中央病院外科がん研究部(須藤剛)
群馬県立がんセンター消化器外科(尾嶋仁)
新潟県立がんセンター新潟病院消化器外科(瀧井康公)
神戸市立医療センター中央市民病院腫瘍内科(安井久晃)
九州がんセンター臨床研究センター(江崎泰斗)
高知医療センター腫瘍内科部長(根来裕二)
香川大学医学部附属病院臨床腫瘍学講座(辻晃仁)
大阪医科薬科大学病院化学療法センター(山口敏史)
県立広島病院臨床腫瘍科(篠﨑勝則)
大分大学医学部附属病院腫瘍内科(大津智)
岡山大学病院消化管外科(藤原俊義)
九州大学病院血液・腫瘍・心血管内科(馬場英司)
近畿大学奈良病院腫瘍内科(田村孝雄)
神奈川県立がんセンター消化器外科(大腸)(塩澤学)
千葉県立がんセンター消化器内科(傅田忠道)
9.研究費・利益相反(企業等との利害関係)について
当院では、研究責任者のグループが公正性を保つことを目的に、情報公開文書において企業等との利害関係の開示を行っています。
使用する研究費は講座研究費です。
外部との経済的な利益関係等によって、研究で必要とされる公正かつ適正な判断が損なわれる、または損なわれるのではないかと第三者から懸念が表明されかねない事態を「利益相反」と言います。
本研究は、研究責任者のグループにより公正に行われます。本研究の利害関係については、現在のところありません。今後生じた場合には、所属機関において利益相反の管理を受けたうえで研究を継続し、本研究の企業等との利害関係について公正性を保ちます。
この研究の結果により特許権等が生じた場合は、その帰属先は研究機関及び研究者等になります。あなたには帰属しません。
10.お問い合わせ先
本研究に関するご質問等がありましたら下記の連絡先までお問い合わせください。
ご希望があれば、他の研究対象者の個人情報及び知的財産の保護に支障がない範囲内で、研究計画書及び関連資料を閲覧することが出来ますのでお申出ください。
また、試料・情報が当該研究に用いられることについて患者さんもしくは患者さんの代理人の方にご了承いただけない場合には研究対象としませんので、下記の連絡先までお申出ください。その場合でも患者さんに不利益が生じることはありません。
当院における照会先および研究への利用を拒否する場合の連絡先:
担当者の所属・氏名:防衛医科大学校外科学講座 梶原由規
住所 :〒359-8513 埼玉県所沢市並木3-2
連絡先:04-2995-1511(内線2357)電話対応時間 平日の9時から17時
ykaji@ndmc.ac.jp
当院の研究責任者:防衛医科大学校外科学講座 上野秀樹
研究代表者:防衛医科大学校外科学講座 上野秀樹

大分大学医学部附属病院における問合せ先
担当者の所属・氏名:大分大学医学部附属病院腫瘍内科 大津 智
住所 :〒879-5593 大分県由布市挾間町医大ケ丘1-1
連絡先:097-586-6275(内線6275)電話対応時間 平日の9時から17時

2025年08月13日