Doctoral Program

 ◆ interim report 2016


   
平成28年度大学院中間発表会が開かれました。
感染予防医学講座からは、大学院3年生の尾崎くん、
園田くん、広瀬さんが発表しました。

 日時:平成28年9月7日(水) 9:00-14:00
 場所:実習棟3階 305講義室





氏名:尾崎 貴士
所属:感染予防医学講座,内分泌代謝・膠原病・腎臓内科学講座
修学指導教員氏名:小林 隆志、研究指導教員氏名:柴田 洋孝
演題目:LC-MSを用いた膠原病病態と関連する脂質メディエーターの解析
座長:木村 俊秀(薬理学講座)・松尾 哲孝(マトリックス医学講座)

 ヒト膠原病に類似した炎症を呈するマウスを用いて、血液中や炎症臓器中の脂質メディエーターやその関連物質を液体クロマトグラフ・質量分析計(LC-MS)により網羅的に解析する。炎症臓器の局所で有意に変化する脂質メディエーターの炎症病態への関与や、血中で変動する物質のバイオマーカーとしての有用性について検討した。ループス腎炎を起こしたMRL/lprマウスと炎症を起こしていないマウス(コントロール群;MRL/MpJマウス)において、脂質メディエーターや関連代謝物(計158成分)を測定対象としたLC-MSのメソッドプログラムを利用して解析を行った。

 

氏名:園田 光
所属:消化器内科学講座,感染予防医学講座
修学指導教員氏名:村上 和成、研究指導教員氏名:小林 隆志 教授
演題目:腸内細菌が誘導するSLPIの腸炎保護作用の検討 
座長:宮原 弘明(小児科学講座)・飛彈野 真也(感染予防医学講座)

 炎症性腸疾患の病態は不明な点が多いが、近年腸内細菌と腸炎の関連が盛んに研究されており、これをターゲットとした治療法も開発されている。我々は、大腸癌細胞株CMT93細胞をグラム陰性菌の成分であるLPSで刺激したときに発現が上昇する遺伝子をマイクロアレイ法によって網羅的に解析したところ、Secretory leukocyte protease inhibitor (SLPI)が数時間で数十倍に上昇することを見出した。SLPIは、肺、涙腺、性腺、皮膚等において分泌され、プロテアーゼを阻害する事によって組織損傷に対して保護作用を示すと考えられている低分子量タンパク質である。マクロファージにおいて、SLPIはグラム陰性菌の構成成分であるLPS刺激によって誘導され、TLRから始まる一連の自然免疫の活性化調節に関与している可能性が示唆されているが、腸管における作用は不明な点が多い。本研究では、SLPIを誘導する細菌、その誘導経路、腸炎保護作用を検討する。

 

氏名:広瀬 晴奈
所 属: 皮膚科学講座
修学指導教員氏名:波多野 豊、研究指導教員氏名:波多野 豊
演題目:黄色ブドウ球菌体成分に対するヒト角化細胞のToll-like receptor(TLR)を介した 抗菌ペプチドの発現 
座長:宮原 弘明(小児科学講座)・飛彈野 真也(感染予防医学講座)

 アトピー性皮膚炎では、病変皮膚の黄色ブドウ球菌数が多く病態への関連が示唆されている。黄色ブドウ球菌由来成分は皮膚においてhuman-beta-defensin(hBD)などの抗菌ペプチドを誘導するが、一方でアトピー性皮膚炎の病変皮膚では抗菌ペプチドが減少していることが知られており、抗菌ペプチドの誘導機構の解明がアトピー性皮膚炎の制御につながることが期待される。黄色ブドウ球菌はペプチドグリカン、リポタイコ酸、およびリポタンパク質などのTLR2リガンドを産生する。本研究は、TLRのシグナル伝達分子であるTRAF6の抗菌ペプチド誘導における役割を明らかにし、黄色ブドウ球菌やその成分によって誘導される皮膚炎においてそのシグナルが如何に病態形成に関与するのかを明らかにすることを目的とする。まず、ケラチノサイトにおける抗菌ペプチド誘導メカニズムを明らかにするため、培養細胞を各種刺激後抗菌ペプチドの遺伝子発現を解析した。