News 2016

 ◆ 光るアニサキスの共同研究開始!

   
                   美しい!蒼く輝くアニサキス  

                                             2016年10月06日
● (株)イシダと光るアニサキスの共同研究を開始

 感染予防医学講座では、これまでアニサキスに関する調査・研究を行っています。(詳細は研究室配属:伊藤くん白神くんのページを参照)この度、(株)イシダとアニサキスの蛍光特性に関する共同研究を開始しました。

 我が国には、お魚を刺身でいただく食文化があります。それが故に、鮮魚などによるアニサキスに起因した食中毒の問題は多く発生しており、それを未然に防ぐことは魚の加工現場などから強く要望されています。アニサキスはクジラやイルカなどの海棲哺乳類を終宿主とする寄生虫(線虫)で、人へはサバやアジ、イカなどの様々な魚介類を生食することで感染します。アニサキスが胃や腸に穿入すると激しい腹痛に襲われ、胃アニサキス症や腸アニサキス症を発症します。我が国では年間7000件以上のアニサキス症が発生していると推計されています(NIID)。アニサキス症には有効な治療薬はなく、内視鏡的に摘出するしかありません。アニサキス症を防ぐには、感染している魚介類を生食しないことが一番ですが、日本人からお刺身を奪い取るわけにもいきません。

 2012年に食品衛生法の改正により、アニサキスが食中毒の病因物質として追加され、医師は届け出が必要になりました。また、刺身を提供する飲食店や食品加工業は細心の注意を払って調理する必要があります。しかし、アニサキスは体長2〜3cmくらいの細い糸状の線虫なので、寄生していても見落としかねません。(株)イシダは、計量機器の老舗で様々な食品加工関連機器を製造していますが、面白いことにi-Spectorというアニサキス検査装置も作っています。さまざまな魚種に潜むアニサキスを光らせ、目視での発見や排除をサポートする装置です(詳しくはイシダのHP →こちら)。この度、感染予防医学講座はイシダと共同で光るアニサキスの仕組みを明らかにしようと共同研究を始めました。今日は、(株)イシダから中谷さん、近藤さんがi-Spectorを研究室に持ってきて実験をしにきてくれました。早速、アニサキスをi-Spectorで観察すると青白く光っていました。なんか美しい。
 
 

 
       アニサキス検査装置 i-Spector         (株)イシダの中谷さんと近藤さん