研究室配属 Research Training

 ◆2016年の研究室配属


 8月22日より、研究室配属が始まりました。今年は、4名の配属学生が研究に取り組みます。相馬君と伊藤君はすでに1年前より先行配属して、自分の研究テーマをコツコツと進めてきました。相馬君はアルボウイルス感染の研究、伊藤君はアニサキス感染の研究に取り組みます。また、新たに配属した石田君は大学院生で消化器内科医の園田君に指導してもらい、炎症性腸疾患の研究に取り組みます。もう一人の仲山君は大学院生で膠原病内科医の尾崎君に指導してもらい、炎症疾患と脂質メディエーターの関連を研究します。頑張れ! ヽ(‘ ∇‘ )ノ
配属学生 氏名 研究テーマ コメント

 1241051 相馬 颯介
● アルボウイルス感染に対する有効な治療薬の検討
  指導教員:神山、小林

 ブラジルでの新生児の小頭症患者の激増と、妊婦のジカウイルス感染との関連が強く示唆されている。また、2014年夏には代々木公園で70年ぶりのデング熱国内感染者が確認され多くの感染者を出した。これら蚊が媒介するアルボウイルスによる感染症には有効な治療薬はなく対症療法しかない。そこで、各種抗ウイルス薬やサイトカインが培養細胞中のアルボウイルスの増殖を抑制できるか検証する。抑制可能なものについては、ウイルス感染マウスでも検証する予定である。

技術:培養細胞やマウスへのウイルス感染実験、RT-PCR法



【一言】いつもは竹刀を握っていますが、今回はピペットに持ち替えて頑張ります!
【感想】先行配属で、長期間に渡り研究、実験をさせて頂きました。この間に実験手技だけでなく、多くの知識や基礎研究とは何たるかを研究室にいる多くの先生方から教わることが出来ました。また、本研究において特許にも関わらせて頂き、本当に良い経験が出来ました。将来的に基礎研究の道へと進むのも良いなとも考えるようになりました。ありがとうございました。
【教授コメント】相馬君は 昨年留年してしまいましたが、その期間当講座で研究に没頭しました。そして、大学院生顔負けの本当にいい仕事をしてくれて、結果は学術論文、特許申請へと結びつきました。塞翁が馬。

 1341015 伊藤 秀幸
● 胃アニサキス症の病態形成機構の解明
  指導教員:飛彈野、小林

 アニサキスは海産魚介類に寄生する線虫で、人が誤って生食すると激しい胃痛を伴う胃アニサキス症を発症する。一方、健康診断等で胃痛を伴わないアニサキスの寄生も知られている。これら病態の違いが寄生したアニサキス種の違いによるものかどうか明らかにするために、大分県ならびに長崎県の病院を受診したアニサキス症患者から摘出されたアニサキスの種を分子分類学的に同定する。また、アニサキスによるアレルギー反応の促進効果があるのかについてもマウス免疫実験により解明する。劇症型あるいは無症候型アニサキス症との病態形成機構を明らかにする。

技術:PCR−RFLP法、マウス免疫実験、ELISA法
【一言】アニサキスのことは、俺に聞け!
【感想】今回の研究室配属では、普段講座でしか勉強しないような実験、作業を実際に行い、結果をもとに考察するなど、研究とはどのようなものかを学ぶ良い機会だったと実感しています。これまでは研究にはあまり関心がなかったのですが、研究することの面白さにも気づくことができました。今後の進路を考える上でも参考にしていきたいと考えています。最後になりましたが、小林教授と飛彈野先生、そしてお世話になった感染予防医学講座の先生、スタッフの皆様に心からお礼を申し上げます。
【教授コメント】 先行配属でアニサキスの研究に取り組んで、大変興味深い結果が得られました。成果を寄生虫学会南日本支部大会で発表できたのはすごい! →続きを読む

  1241008 石田 俊介
● 腸炎モデルマウスに対するATM療法の有効性の検討
  指導教員:園田、小林

 近年、腸内細菌叢と腸のホメオスタシスの関係が再び注目されている。潰瘍性大腸炎(UC)に対してアモキシシリン、テトラサイクリン、メトロニダゾールの3剤の抗生物質を投与するATM療法の効果が確認されているが、その機序は不明である。そこで、抗生物質と腸炎の病態との関係を便潜血検査、体重変化、病理学的解析等で評価する。 さらに抗生物質投与により腸内で変動する低分子を同定するため、GC-MSで網羅的に解析する。

技術:動物実験(マウス病態モデル)、病理学的解析、RT-PCR法
【抱負】熱くかつクールにがんばります!以上!
【感想】今回の研究室配属の期間を迎えるまで、実習の授業も少しはありますが、ほとんどを座学に費やしてきました。そのため、授業をしてくださる先生方が普段どのような実験をどのように行なっているか知ることができたこと、実験というものがどういうものか体感することができたこと、少しでも実験の技術・手法が身についたことなどは我々学生にとって非常に貴重な体験となったと思います。私は今回の研究室配属実習に対して楽しかったという印象を持ちました。感染予防医学講座はとても雰囲気がよく、先生方が我々学生に丁寧に接してくれたので、行なっている実験の内容もよく理解でき、何より楽しく実験を行うことができたと思います。当然、うまくいかないことのほうが多い仕事ではありますが、その過程での試行錯誤や、上手くいったときの達成感など実験の魅力を知ることができたのは大きな収穫だと思います。将来は当然臨床に進むものと思って今まで勉強してきましたが、基礎医学にも興味が持てたので、結果的に自分の将来の選択肢が広がったと思います。今回の経験を医師になった時に生かせるように精進していきたいと思います。
【教授コメント】 物静かに、淡々と実験する姿が印象的でした。園田先生とも波長があっていたようで、IBDには興味が持てたと思います。将来の長い医療人としてのキャリアの中に大学院への進学も是非考えてください。

  1241067 仲山 達也
● 炎症性疾患に関与する脂質メディエーターの解析
  指導教員:尾崎、小林

 近年、炎症の惹起・収束に関与する生理活性を有する脂質(脂質メディエーター)の多彩な機能が注目されている。今回、炎症性疾患モデルマウスの血中や臓器における脂質メディエーターについて158成分の脂質メディエーター関連物質の測定を可能にするメソッドパッケージを組み合わせたLC/MS(液体クロマトグラフ質量分析計)を用いて解析し、炎症病態との関連を検証する。 

技術:LC/MS(液体クロマトグラフ質量分析計)、動物実験(マウス病態モデル)
【感想】私は昨年、別の研究室である分子病理学で実験をさせていただくとともに、様々なことを学ばせていただき、大変お世話になった。今年は感染予防医学講座に受け入れていただき、昨年と異なった新たな実験の形や手法、またその背景知識を学ばせていただいた。マウスを用いた実験は私にとって初めてであり、戸惑うこともありつつもまた一つ大きな経験を得ることができたように思われる。私の実験過程で犠牲になった動物に追悼の意を捧げるとともに、私を受け入れてくださった感染予防医学講座と指導をしてくださった指導教官の先生方に深く感謝したい。
【教授コメント】 朝弱い仲山くん、ラボに出て来ないというハプニングもあって、尾崎先生が本当に心配していましたが、最終的には尾崎先生の根気強い指導に頑張ってついていきました。仲山くんはプレゼンがとっても上手で、堂々と話すのが印象的でした。

   
     2016年10月13日 研究室配属発表会