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 ◆ Education

                                             2018年05月06日
● 研修報告書

   

呼吸器・感染症内科 海外医療機関(フィリピン国立サン・ラザロ病院)研修レポート
研修期間:成30年5月6日〜5月12日
提出日:平成30年5月17日
1341064蜂木麻璃奈

本レポートでは、本研修で経験した破傷風の一例について報告し、最後に研修の感想を述べる。
症例:79歳男性 主訴:開口障害
現病歴:X-9日、開口障害のため近医受診。X-3日、近医総合病院へ紹介され、破傷風として3日間入院・加療された。ただし、外傷は先行していなかったが、口腔内にう歯があった。2018年5月X日、破傷風のさらなる管理目的にサン・ラザロ病院へ入院。 既往歴:特記事項なし。
入院時現症:体温37.6°C、脈拍89回/分、呼吸数22回/分、血圧130/88、Sp02 99%、開口障害、う歯、Spatula test (+)、 腹部けいれん
診断:破傷風Ablett classification of tetanus severity Grade II (moderate)
入院後経過:ジアゼパムを4時間かけて60mg静注、40mg急速静注し、抗破傷風血清およびメトロニダゾール投与した。呼吸困難が増悪すれば気管切開を検討する予定であった。ただし、我々が研修した時点ではその必要はないものと判断され、前述の治療のみを行っていた。

考察:破傷風のグレード分類には様々なものがあるが、本症例では、破傷風のグレード分類としてAblett classification of tetanus severity (表1)を用いた。本症例は破傷風発症に先行する外傷がなく、評価項目に発症様式を含むグレード分類は用いることができない。その点、このAblett classification of tetanus severityは症状のみで分類が可能であり、これを用いた。今回、日本では珍しい破傷風症例を初めて経験した。その臨床症状と治療法および分類方法について学ぶことができた。海外との多方面での交流が盛んになる中、輸入感染症のリスクは増していると考える。海外の感染症について本研修で学ぶことができ、非常に有意義であったと考える。

 

手山

長山 蜂木 丸山