News 2025

 ◆科研費

2025年2月28日
科研費の採択内定が発表されました

 2025年2月28日、日本学術振興会より令和7年度科研費の採択内定について発表がありました。当講座からは、申請した3名が全員採択されました。これを励みにさらなる飛躍を目指しましょう。

小林隆志(基盤研究C) 研究課題:乾癬の病態とγδT細胞の遊走を司るケモカイン受容体の解明と予後診断マーカーの探索
 乾癬は免疫系の活性化を伴う炎症性皮膚疾患でIL-17を産生するγδT細胞の浸潤により重症化するが、その細胞遊走を司るケモカインと受容体の全容は不明である。本研究の目的は、乾癬におけるγδT細胞の遊走を制御するケモカイン受容体を解明すると同時に、乾癬の疾患進行の予後診断バイオマーカーとなるケモカインを同定することである。 そこで、γδT細胞に発現する種々のケモカイン受容体欠損マウスに実験的乾癬を誘導してγδT細胞の浸潤と皮膚病態を解析し、病態発症に重要なケモカイン受容体を解明する。更に、乾癬誘導時におけるケモカインの経時的な発現変化と病勢との関連を解析しバイオマーカーとなりうる候補分子を選別する。

佐知望美(若手研究) 研究課題:遺伝子欠損疾患モデルマウスを用いたケモカインCCL9の炎症抑制分子機構の解明
 CCL9はアストロサイト、腸、肝臓に発現する機能未知のケモカインである。申請者らは、CCL9の生理的機能を解明するためCRISPR/Cas9システムを用いてCCL9欠損マウスを作製し、実験的に多発性硬化症と炎症性腸疾患を誘導したところ、CCL9欠損マウスの病態が悪化することを見出した。これはCCL9が炎症を抑制する内在性因子であり、多発性硬化症や炎症性腸疾患の治療標的になることを示唆する。一方、CCL9は肝臓での発現が極めて高いが、その機能は不明である。そこで、CCL9欠損により炎症性疾患が悪化する機構を解明すると同時に、CCL9欠損マウスに実験的肝炎を誘導し肝臓での機能を明らかにする。

鹿子嶋洋明(基盤研究C) 研究課題:消化器疾患モデルマウスにおけるケモカインMIP1-γの新たな免疫抑制機構の解明
 潰瘍性大腸炎や非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は、腸や肝臓に慢性炎症を引き起こす病気で、発症の仕組みはまだ十分にわかっていない。我々はこれまでの実験結果をもとに、MIP1-γという物質は、腸や肝臓に多く存在し、炎症を抑える働きがあると考えている。本研究では、このMIP1-γが炎症の悪化をどう防いでいるのかをマウスや細胞実験を使って明らかにし、新しい治療の手がかりを得ることを目的とする。

KAKENHI

 On February 28, 2025, the Japan Society for the Promotion of Science (JSPS) announced the provisional results of the Grants-in-Aid for Scientific Research (KAKENHI) for FY2025. We are pleased to report that all three applicants from our department have been successfully selected for funding. Let us take this achievement as motivation to strive for even greater progress in our future research endeavors.

Takashi Kobayashi − Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
Nozomi Sachi − Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
Yomei Kagoshima − Grant-in-Aid for Scientific Research (C)