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当科の特徴

肥厚性瘢痕・ケロイド

傷あとについて

外科治療や外傷後の傷あとは必ず残ります。どんな名医が治療しても、傷跡は程度の差はあれ必ず残ります。しかし、傷跡を最小限にする管理工夫は可能です

なぜ傷跡が残るの?

傷は治る際に、「再生」「修復」の二つの機序で治癒します。

再生:細胞分裂で細胞コピーを増やして、傷を治します。「再生」した場合は組織が元通りになり、傷跡は残りません。
修復:結合組織や毛細血管からつくられるセメントのような「瘢痕組織」で傷を埋めて治します。

人間は再生能力が極めて低く、傷のほとんどは修復にて治癒します。治癒後は、セメントの役割をした瘢痕組織が残ります。瘢痕組織は時と共に減少しますが、完全に消えることはありません。そのため、瘢痕=傷跡が残ります。

再生修復

傷跡の経過

傷が治癒した後も、しばらく瘢痕組織は作り続けられます。下図のように平均1-2か月は増え続けます。そのため、最初の1-3か月は、傷跡が赤く目立ったり、硬かったり、少し痛かったりします。
1-3か月を過ぎると、少しずつ過剰に作られた結合組織と血管が減少します。個人差がありますが、1年くらいかけて正常な量まで減少します。傷跡がなじむのに1年近くかかるのはそのためです。

しかし、まれにいつまでも傷跡の赤みが消えなかったり、硬さや盛り上がりが改善しない場合があります。
時には傷跡がどんどん増大し、赤みが強くなる場合があります。こういう状況を肥厚性瘢痕・ケロイドと呼びます。
こうなる原因は様々あります。体質、糖尿病・アトピーなどの基礎疾患、傷の重症度、傷の部位、傷にかかる物理的な力、不十分なアフターケアなどです。

傷跡の経過傷跡の経過 肥厚性瘢痕・ケロイド

傷跡と部位の関係

体の部位によって傷跡の残り方が変わります。肥厚性瘢痕ケロイドは、胸部下腹部などに好発するといわれています。この部位では、上手に傷の治療ができても、ケロイド肥厚性瘢痕が発生することがあります。

傷跡と物理的刺激の関係

常に傷跡に緊張が加わる部位、常に動き刺激がある部位などには、肥厚性瘢痕ケロイドができやすいいわれています。

傷跡と紫外線の関係

よく傷跡に日の光をあてない方が良いと聞いたことがあるかもしれません。傷あとがなじむまでの期間に紫外線を多く浴びると、同部位のメラニン色素沈着が増えて「しみ」が傷跡として残る可能性があるからです。

傷あとアフターケア

治癒後から傷跡がなじむまでの期間(半年~1年)はアフターケアが必要です

遮光: 顔や手背などの日光が当たる部位は「シミ予防」のために遮光します。医療用のテープによる保護や日焼け止め(SPF30以上)などを用います。
サプリメント(ビタミンCなど)接種:前述のシミ予防に有効です。
傷あとのテープ保護:前述のとおり傷跡への物理的な力から傷跡を守ります。
下図のような、傷跡を保護する専用のテープ類があります。テープかぶれに注意が必要となります。

ニチバンニチバン


カバーメイク:前述のとおり、必ず受傷後1-3か月は傷跡が赤く目立ちます。その期間はカバーメイクなどで傷跡を目立ちにくくすることで日常生活の支障が減少します。

カバーメイクカバーメイク

(MARSH FIELD ホームページhttps://www.marsh-field.jp/より)

保湿:傷跡は乾燥しやすく、乾燥も物理刺激となりますので、保湿が必要です。
サポーターなど:よく動き部位ではサポーターなどにて圧迫・安静とすることで傷跡への物理刺激を減らします。

しっかりアフターケアしても、瘢痕は残りますので、傷跡は残ります。残った傷跡が生活に支障になる場合は、医療機関を受診して治療を受けることができます。

傷あとの治療

内服治療:傷跡に有効といわれる内服薬を摂取します。トラニラストという薬が主に用いられます。漢方薬なども用いることがあります。
外用療法:塗り薬や張り薬を用います。主にステロイド成分が入った薬を外用します。張り薬の方が効果が高いため、テープかぶれなど問題がなければテープの外用薬を使用します。

ステロイド

注射療法:肥厚性瘢痕やケロイドに対してステロイド剤を局注します。これで盛り上がりを改善させます。
レーザー治療:赤みのある傷跡に、Vビームを使用したり、1年近く経過した成熟した傷あとに対してフラクショナルCO2レーザー治療、茶色い色素沈着に対してQスイッチルビーレーザーなどを症状に応じて使用する場合があります。
手術療法:目立つ傷跡を切除して、形成外科的方法いて傷を縫合閉鎖します。傷あと(瘢痕)の量を一気に減少させる効果があります。さらに、Z形成やW形成などで傷跡をジグザグの形にすることで傷にかかる物理的緊張を分散することができます。

手術療法手術療法

放射線治療:重症ケロイドの場合は、手術と組み合わせて行う場合があります。これによりケロイドの再発率が大きく低下します。
これら治療を患者さんの傷あとの状態に応じて組み合わせてオーダーメイドで治療します。大まかな当科での治療アルゴリズムを示します。

治療アルゴリズム

実際の症例

直接ご相談希望の場合は、下記のアドレスに電子メールいただくか、形成外科を受診ください。

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傷あとに関するご相談先
大分傷あと相談室 email:

大分大学附属病院形成外科受診希望の方
Tel 097-586-6880 (6881) 電話対応14:00-16:30
毎週月火水午前中 (2020年11月より当院完全予約制となりました。)

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