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当科の特徴

顔面神経麻痺

陳旧性神経麻痺とは

額にしわを寄せられない、眼が閉じられない、口がうまく動かせない、笑えない、食べ物がこぼれる、といった症状は顔面神経麻痺(まひ)の症状のひとつです。
原因は様々で、治療法も様々ありますが、時に後遺症として顔面神経麻痺が残ることもあります。このような状態を陳旧性(ちんきゅうせい)顔面神経麻痺と呼びます。

大分大学医学部附属病院形成外科陳旧性顔面神経麻痺外来では、陳旧性顔面神経麻痺に対する治療を行っています。 主に行っている治療は手術療法と、後遺症を少しでも軽減させるためのリハビリテーションです。

当科で行っている手術療法には大きく分けて2通りの方法があります。
ひとつは顔の形を整える静的再建法という方法です。もうひとつは表情を作る動きを取り戻す動的再建法という方法です。

それぞれ症状が出現した部位に応じた治療法があります。
それらの治療法を組み合わせて、患者さん一人一人の状態に合わせた治療プランを立てて、治療にあたっています。

陳旧性神経麻痺の症状と治療法

各症状に合わせた、当院で行っている治療法をいくつか紹介します。
実際はこれらの治療をいくつか組み合わせて、新しい顔貌を作ります。

眉毛下垂

眉毛が上げられないため、左右の眉毛の高さが違い、瞼が持ち上げにくくなり、物が見えにくくなります。額のしわがなくなり、左右差がでます。

● 治療法

眉毛の上の皮膚を切除し、左右差をなくします。 それでも瞼が下がっている場合には、瞼の皮膚を切除したり、瞼を持ち上げる筋肉を短縮する手術を加えます。必要に応じて健側の瞼も手術することもあります。

閉眼障害

麻痺側の眼が閉じられないため、眼球が乾燥する、入浴時や洗顔時にシャンプー、石鹸が目に染みます。

● 治療法

目を閉じることができるように目を開ける筋肉(挙筋)を緩めたり、頭の側面の筋肉を移動させて眼が閉じられるようにします。

兎眼

下眼瞼(まぶた)が外反(ひっくり返っている状態)して眼が閉じられない状態です。

● 治療法

下瞼のふちを少し切りとって眼に沿うような形にし、眼が乾かないようにする方法があります。
重度の場合は下まぶたの皮膚の下に耳から採った軟骨を移植することもあります。瞼のきわを切りますので傷あとは目立ちません。

口角下制障害

下唇の見た目が左右非対称になります。

● 治療法

口輪筋、口唇下制筋の麻痺によります。
筋肉の動きをつけるため、太ももの筋膜を移植したり、正常側の筋肉をあえて弱めたりします。ボトックスの注射を行うこともあります。

口角下垂

笑うときなど口を動かす動作のときに顔が曲がります(麻痺側と反対にひきつれる)。

● 治療法

動かなくなった表情筋のかわりに顔面に別の筋肉を移植して、表情を作る機能を再建する遊離筋弁移植術という手術法があります。
本院では薄筋という太ももの筋肉を使った表情の再建手術をおこなっています。

この治療法は2回の全身麻酔での手術が必要となります。
それぞれ手術後1週間程度の入院が必要となり、それ以外は月1回外来で経過観察します。
通常筋肉移植から半年で、移植筋の動きがみられるようになり、徐々に表情が作れるようになります。
本治療では全体で約1年間の治療期間を必要とします。
最近では、一回目から筋肉移植をして、手術を一回で終わらせる方法も取り入れています。
また短時間の治療を希望される方は、筋肉の代わりに太ももから筋膜を採取して頬に移植して、下がった口角をつり上げる方法も行っています。

これまで述べてきた方法以外にも様々な方法があります。
症状に応じてこれらを組み合わせて治療しています。

陳旧性の顔面神経麻痺による顔面の変形を改善したい方は、遠慮なく大分大学附属病院形成外科外来を受診してください。
陳旧性顔面神経麻痺の専門外来は毎月第4水曜日です。

しかし、初診は毎週の形成外科外来にて随時受け付けています。
外来日は月、水、金の午前中です。

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