1.施設整備全般

◆現状
(1)施設の整備状況
   敷地面積, 建物面積表, 棟別建物面積

(2)施設の有効活用
 院生棟等の施設・設備の活用が非効率であることが研究力向上の阻害要因となっていることから、医学部全体の共同利用施設の配置を行い、研究スペースの充実を図るため、平成18年3月8日に院生棟全室に立ち入り利用状況調査を行い、4段階評価(A・B・B−・C)の結果、12講座17室がC評価となった。
  C評価(12講座17室)を共同研究スペースとして利用するために、ワーキンググループを立ち上げ、平成18年7月から平成19年1月の間に4回の会議と1回のヒアリング調査を実施した。
  ワーキング会議の結果、挾間キャンパスにおける施設の有効活用に関する規程、挾間キャンパスにおける施設の有効活用に関する細則及び院生研究棟の有効活用に関する内規を定めた。
  院生棟の63室(C評価13室を含む)を課金対象とし、平成19年度から各講座に対し課金を行っている。
  C評価17室については公募を行い、7室を研究スペースとして貸与、6室を新講座(寄附講座)に貸与した。

評価・点検
  院生研究棟の有効利用について、規程等を整備し、スペースチャージ(施設利用料)を徴収している。
 学部内評価によるC評価の部屋を有効に利用することができた。

将来の改善に向けた方策
  大学本部の施設環境整備部門会議により、平成19年12月有効利用点検立入調査が実施され、医学部の施設について評価を受けた。
C評価を受けた室は、看護学科棟1室、臨床研究棟2室、院生研究棟4室、基礎臨床研究棟1室であった。
  医学部内で有効利用について整備した院生研究棟についても、C判定を受けたことから 再度、ワーキンググループを立ち上げ、平成20年8月8日に第1回目の会議を開催した。
ワーキンググループでは次のことについて協議し、学部長に諮問することとした。

@施設環境整備部門会議からC判定を受けた部屋の有効活用について。
A院生研究棟のさらなる有効活用の方法と共用化の可能性について。
BRI施設のnonRI化について。
Cその他の組織(本部組織、県の受託事業等)との調整に関すること。


2.医学情報センター
現状の点検
(1)医学情報センターシステム(設備)
  平成19年4月に,旦野原キャンパスの総合情報処理センターの予算と一体にして,基盤情報システムとして,レンタル契約の更新を行った。

1) 情報通信基盤
a.センターと次の幹線スイッチ間は光ファイバー2本(2GB)で接続している。
  研究棟(4台),校舎講義棟(2台),看護学科棟(2台),図書館(1台),管理棟(1台)
b.各講座等にギガスイッチ140台を設置している。
c.無線ステーションを45台設置している。
d.旦野原地区とのキャンパス間ネットワークは,10GBで接続している。
e.インターネット回線は,旦野原キャンパス経由の SINET と挟間キャンパスから直接出て行く OCT の2回線を利用している。

2) ネットワークセキュリティ
・ファイアウォール,ウイルスチェックアプライアンスサーバ,不正侵入防止装置を設置している。
・ワクチンソフトを無償で提供している(校費購入パソコンのみ)

3) サーバ
a.従来はグループウエアのメール機能を使用していたが,平成19年4月からメールサーバ機能を 分離し,標準的な imap サーバを使用するようにした。
b.重要なサーバを二重化し,負荷分散及び障害発生時のサービス停止が回避できるようにした。
c.オンライン教材サーバ,ビデオ配信サーバを設置している。
d.学内専用のWebサーバを設置している。

4) 学生用パソコン
a.学生の自習用のパソコンを,情報処理実習室(50台)、看護学科自己学習室(36台)、大学院生室(10台),臨床講議棟学生ホール(10台)、看護学科実習室(PC16台),チュートリアル教室(24台)に設置している。

5) 建物は,臨床研究棟3Fに 46u があり,そのほかに医療情報部棟1Fに幹線通信機器が設置され,教員の研究室と事務職員の執務室を間借りしている。

(2)医学情報センターシステムの利用状況

1) ユーザ登録
a.学生は入学時にIDを発行している。
b.ほぼすべての教職員がIDを取得している。
c.旦野原地区を含めて,職名ID,組織名IDを発行している。
d.旦野原地区を含めて,1ユーザ1アカウント,統合認証がを実現した。

2) 端末等
a.パソコン,ネットワークプリンタ,無線ステーションなどの登録台数は1025台である。

( 3)その他
・平成15年10月の大学統合により,総合情報センターの挟間分室(医学情報センター)となり,平成20年4月には,学術情報拠点(医学情報センター)となった。
・医学情報センターの職員は,併任の教員2名と事務職員1名,非常勤事務職員1名であったが,平成18年度に常勤職員はゼロになった。平成20年4月には,併任の教員が廃止され,平成20年7月から専任教員(1名,教授)が配置された。
・平成14年度より業務委託により利用相談員を配置し,現在もユーザサポートを継続している。
・オンライン教材やホームページ作成支援の非常勤職員1名は,平成19年度から業務委託に変わったが,継続してホームページ作成支援を続けている。
・新入生には,情報システムの利用のしかたや注意事項などのオリエンテーションを行っている。
・職員に対して,学内周知メールやセンターのホームページにより,随時ウイルス感染情報やシステム停止情報,システムの変更の情報を流している。
・情報セキュリティポリシーに基づく実施基準を公表し,遵守を求めている。

現状の評価
(1)医学情報センターシステム(設備)
  情報基盤としての情報ネットワーク,サーバ,セキュリティ対策,学生用パソコンなどの設備の整備の目標は,一部を除いてほぼ達成されている。

(2)問題点
1) レンタル契約のシステムの一部が,想定した性能を発揮していない状況が続いている。
2) 従来,病院では,病院情報システムの端末でインターネットを利用していたが,セキュリティ対策のために,インターネット接続が原則禁止となった.そのため,病院棟で,情報基盤としてのネットワークや職員用のパソコンが十分ではない状態に陥っている。
3) 大学統合および学術情報拠点の設置の2回の組織改革の際に,医学情報センターの組織運営を規定した学内規定が廃止され,新規の規定が作成されない空白の時期があった。存立基盤が不安定な時期があった.平成20年8月に,ようやく細則が制定された。
4) ウイルスに感染するパソコンが続出している。
5) 無届でLANに接続するパソコンが多数存在する。
6) 医学情報センターの職員は,平成20年7月時点で,教員1名と非常勤職員2名,派遣職員2名であり,マンパワーが不足している.また,後継者の育成ができる状態にない。

将来の改善改革に向けた方策
(1)情報基盤が安定して24時間365日停止することなく利用できるようにするために,
   サーバへの電源供給経路の二重化
   サーバの運転管理および保守のアウトソーシング が望まれる。

(2)パソコンのトラブル対応,ウイルス対応は,一般ユーザにとっては時間の浪費であり,学内に専門のトラブル対応組織がいて,依頼を受けて即座に対応する体制をとる方が,大学全体として効率的であると考えられる。そのためのユーザサポート要員を,技術職員あるいは専門知識を有する人材派遣で確保することが必要である。

(3)建物が,臨床研究棟3Fと医療情報部棟1Fに分かれているが,これを1か所に集中させる方がセンターの運用管理が効率的である。

(4)情報セキュリティのユーザ教育がなかなか浸透できずに,ウイルスに感染する事例が後を絶たない。この状況を打破するためには,サーバで一括管理できるワクチンソフトを強制的にインストールさせることが必要である。

(5)サーバや通信制御などの技術的な対応をすることができる能力が不足している。
   技術担当職員の確保あるいは専門家へのアウトソーシングが望まれる。

(6)病院棟への学内LANの配線,幹線通信機器の設置が必要である。


3.医学教育センター
 医学教育センターは、医学部における医学教育及び看護学教育並びに入学者選抜方法に関する総合的な研究・開発を行い、医学部の医学・医療教育の発展・向上を図ることにより医学教育システムを統括的に管理し、学生および教員がより良い教育環境で学習・教育が行えることを目的として平成17年4月に設置された。
資料2-1

現状の点検
(1)職員配置
センター長(併任:医学部教務委員長)、専任教授1名

(2)主な業務内容
1.教育課程に関する事項
2.共用試験(OSCE・CBT)に関する事項
3.臨床実習及び臨地実習に関する事項
4.授業評価に関する事項
5.入学者選抜方法に関する事項
6.Faculty Development(FD)に関する事項
7.その他センターの目的達成に関する事項

注)OSCE(Objective Structured Clinical Examination:客観的臨床能力試験、CBT(Computer Based Testing)、 共に従来の知識のみを評価していた筆記試験だけでなく、臨床実習で実際の患者さんに接する前に技能・態度の評価を行い、臨床医学実習が行える資質を備えるかを全国統一共用試験で審査・認可する試験、社団法人医療系大学間共用試験実施評価機構(CATO)により平成17年度より正式実施される)

(3)稼動状況
 平成17年4月設置の後、7月に専任教授が着任しセンターが本格的に稼働した。学生教育・学生生活に関連した学部内委員会や卒後臨床研修センターの協力の下、医学部の医学・医療教育の発展・向上、学部教育と卒後教育の一貫した教育システム実現と卒後教育の充実を図っている。

注)専任教授が委員として参画している学部内委員会:医学部教務委員会(下部組織として:教養教育部会、基礎医学部会、臨床医学部会、看護教育部会、OSCE専門部会、CBT専門部会)、医学部医師国家試験対策委員会、教育評価専門委員会、医学部入試委員会、医学部入学者選抜方法研究委員会、医学部学生生活委員会、医学部オンライン教育システム運営委員会、大学院医学系研究科委員会

1.教育課程に関する事項
 平成19年4月に発表された「看護基礎教育の充実に関する検討会」報告書を受けて教務委員会看護教育部会の主導の下にカリキュラムの改訂に着手し、平成20年7月に教育課程変更承認申請を文部科学省に行った(承認書交付は10月末の予定)

2.共用試験(OSCE・CBT)に関する事項
 平成18年度にはセンター長及び専任教授がCBT問題ブラッシュアップ委員に就任した。また、専任教授はCBTモニターとして宮崎大学にCATOから派遣された。平成19年度にはセンター長がCBTモニターとして産業医科大学に派遣された。OSCEは平成14年度から18年度まで2日間かけて実施していたがCATOから一日で行うよう要請があった。このため、教務委員会OSCE専門部会に依頼して平成19年度からは一日で行うこととした。

3.臨床実習及び臨地実習に関する事項
 平成17年度に教務委員会臨床医学部会主導の下にクリニカル・クラークシップを見直し、平成18年度の実習から実習時間数を40週から医学教育モデル・コア・カリキュラムに沿った57週に増加し、終了後にAdvanced OSCEを開始した。平成19年度からはPart 2 実習科目を一部改善して実行している。

4.授業評価に関する事項
平成18年度及び19年度の6年次生にクリニカル・クラークシップのアンケートを行った(回収率100%)。結果は集計し教授会で報告すると共に、各科の実習責任者に知らせるとともに,平成20年7月には本調査を基に教職員・学生(計49名)が参加した「大分大学医学部医学科臨床実習討論会」を開催した。

5.入学者選抜方法に関する事項
  平成19年10月の緊急医師確保対策を受けて入学定員5人増に向けて入試委員会、入学者選抜方法検討委員会で協議すると共に、両委員会での検討資料(高等学校別年次入学者数・合格率、入学試験種別成績動向等)の作成を行った。

6.FDに関する事項
  医学教育センター発足以来別表に示すFDを計画して実施した
資料2-2

7.その他センターの目的達成に関する事項
1) 平成16年7月1日から一般市民による自動体外式除細動器(AED)の使用が認められた。このため、平成18年度から「大分大学挾間キャンパス心肺蘇生処置(CPR)+AED講習会」を開始すると共に、新入生全員を対象にCPR+AED講習会を実施し、研修修了者に人工呼吸に必要なFace shieldを配布している。
2) 医師・看護師・保健師の未公開国家試験の問題と解答が平成17年10月に厚生労働省から公表された。このため、問題と回答を収集し、国家資格試験出題基準と共に医学部ホームページの「在学生向け」のページに「国家試験の問題と解答 医学部専用」として載せた。

現状の評価
1.教育課程に関する事項
看護基礎教育の充実に関する検討会から要請された看護学科カリキュラム改訂は平成20年7月に教育課程変更承認申請を文部科学省に行った。医学科チュートリアル教育の見直しは平成21年度からの実施を目指し基礎医学部会と共に検討中である。また、臨床実習でのクリニカル・クラークシップ実施時間の見直しも行っている。
医学教育モデル・コア・カリキュラムで求められている漢方医学教育では、漢方医学の教育を担当する教員の育成・確保のために「大分漢方医学指導者養成講座」を開催すると共に「大分東洋医学会教育研究会」を組織し講習会を20回(平成20年8月まで)開講し東洋医学指導者養成に努めている。また、熊本大学、宮崎大学、鹿児島大学と共に「南九州地区・大学漢方医学教育研修会」を組織して指導者の養成や指導者の派遣等を図ることにより漢方教育充実に努めている。

2.共用試験(OSCE・CBT)に関する事項
 CBTは臨床中講義室に設置した100台のコンピュータを使用して行っているが、CATOからの改善指示はなく順調に行われている。OSCEは2日間かけて実施していたがCATOからの要請で平成19年度からは一日で行うこととした。また、OSCE実施前には「OSCE評価法講習会」を開催して評価の妥当性、均一性を目指している。

3.臨床実習及び臨地実習に関する事項
 平成18年度の臨床実習から実習時間数を57週に増加し医学教育モデル・コア・カリキュラムに準拠した内容とした。また、クリニカル・クラークシップ終了後にAdvanced OSCEを行っている。さらに平成19年度からは実習科目を一部見直すなど実習の改善に努めている。

4.授業評価に関する事項
 平成18年度及び19年度の6年次生に行ったクリニカル・クラークシップのアンケートを基に「大分大学医学部医学科臨床実習討論会」を開催し臨床実習の内容向上に努めている。

5.入学者選抜方法に関する事項
  平成18年度に第一期学士入学生が卒業したことに伴い入学試験種別成績動向を調査し、教授会、入試委員会、入学者選抜方法検討委員会等に報告した。この結果は緊急医師確保対策を受けての入学定員見直しや地域枠設定の基礎資料として活用された。

6.FDに関する事項
  センター発足以来別表に示すFDを実施した(資料2)。特に卒後初期臨床研修の指導医を養成する厚生労働省認定「大分県医師臨床研修指導医講習会」は大分県では初の開催である。 

7.その他センターの目的達成に関する事項
1) 「大分大学挾間キャンパス心肺蘇生処置(CPR)+AED講習会」を開始すると共に、新入生全員を対象にCPR+AED講習会を実施し、研修修了者に人工呼吸に必要なFace shieldを配布している。また、旦野原キャンパス職員や医学部祭でもCPR+AED講習会実施のための協力をしている。これらにより適切な救命処置が出来るby Standerを新たに約800名養成した。
2) 医学部HPの「在学生向け」のページに「国家試験の問題と解答 医学部専用」として載せた医師・看護師・保健師の国家資格試験の問題と解答、国家資格試験出題基準は国家資格試験のために活用されている。
3) 厚生労働省認定「大分県医師臨床研修指導医講習会」は平成20年度末までに4回の開催を目指しているが、講習会の開催資格を持つ者は医学教育センター長、センター専任教員を含め大分県内に3名しかいない。優秀な指導医の養成は卒後初期臨床研修充実のためばかりでなく大分県内医師数の増加のためにも重要であるため、県医務課、医師会からも全面的協力を要請されている。

将来の改善改革に向けた方策
1) 専任職員の増員
 技術進歩と社会的要請から、医学・看護学教育方法に大きな変革が求められている。このため、医学教育センターには効率良く体系化された教育を実施するための理論、方法、資源を提供する必要がある。また、大学入学者選抜、国家資格試験対策、さらには卒後初期・後期臨床研修生の教育システムの改善や運営にも関与するため、医学教育センターの業務は多岐にわたっており、現状の構成員で全ての業務を完全に行うことは困難である。この為、医学教育センター事務職員の新規採用と専任教員の増員が必要である。

2) スキルスラボの充実
  学生、研修医、新任看護士等の臨床技能習得のためのスキルスラボの整備は急務である。このため設置場所の確保とトレーナー・管理兼任の専任職員の配置が必要である。

3) CBT用コンピュータの整備
 CBTの実施に関しては現在使用可能なコンピュータは100台であるが、平成21年度からの入学定員増により105名となるため試験室の整備、ハブやコンピュータの増備が必要である。また、CBTはインターネットから切り離された閉鎖ネットワーク環境で行うため、ネットワークを構成するためのホスト・コンピュータを更新する必要がある。

4) 運営委員会委員の見直し。
  医学教育センターの主な業務内容の一つに「入学者選抜方法に関する事項」があるが、運営委員会委員に入試委員会からの代表が含まれていない。このため入試委員会長を運営委員に迎える必要がある。

  


  医学部の理念と目的
  施設設備
     1.施設設備全般
     2.医学情報センター

     3.医学教育センター

  国際交流
  社会的貢献
  管理運営・財政
  自己点検・評価体制