当院において、CAR-T細胞療法を受けられた悪性リンパ腫の方およびそのご家族の方へ

―「CAR-T細胞療法抵抗性・耐性に関わる分子病理学的メカニズムの解明研究」
へご協力のお願い―

研究機関名およびその長の氏名 大分大学医学部長 猪股雅史
研究責任者          大分大学医学部附属病院 奥廣和樹

1) 研究の背景および目的
CAR-T細胞療法は悪性リンパ腫をはじめとしたリンパ系腫瘍の新たな治療として広く行われるようになっています。しかし最近、CAR-T細胞療法で十分な治療効果が得られない(治療抵抗性)患者さんや、CAR-T細胞療法後、早期に再発してしまう(治療耐性)患者さんが一部おられることが明らかになってきました。しかし今のところ、治療抵抗性や治療耐性が生じるメカニズムはわかっていません。この研究の目的はこのようなCAR-T細胞療法後の治療抵抗性や治療耐性に関わる因子を解明することです。

2) 研究対象者
2021年1月1日以降に岡山大学病院および共同研究機関でCAR-T細胞療法として「イエスカルタ」という医薬品の投与を受けられた方300名を研究対象とします。当院は共同研究機関としてこの研究に参画しています。

3) 研究期間
  研究機関の長の許可日~2029年12月31日
  試料・情報の利用または提供開始予定日:研究機関の長の許可日から1週間後

4) 研究方法
岡山大学病院および共同研究機関においてCAR-T細胞療法を受けられた悪性リンパ腫の方の、通常診療で得られた臨床情報や、診断時(再発時含む)の検査で採取した組織の残りを用いて、遺伝子やタンパク質の異常に関する分析を行い、CAR-T細胞療法の再発が起こる仕組みについて調べます。
今回の研究では、がん細胞の遺伝子が測定対象となり、親から受け継いだ遺伝子は測定しません。

5) 使用する試料
この研究に使用する試料として、すでに保存されている腫瘍組織の余りを使用させていただきますが、氏名、生年月日などのあなたを直ちに特定できる情報は削除し使用します。また、あなたの情報が漏洩しないようプライバシーの保護には細心の注意を払います。

6) 使用する情報
この研究に使用する情報として、年齢、性別、治療薬などの治療に関する情報、治療効果や予後に関する情報、病理検査結果、画像検査結果、生存情報を抽出し使用させていただきますが、氏名などのあなたを直ちに特定できる情報は削除し、この研究用のコード番号を使用します。また、あなたの情報などが漏洩しないようプライバシーの保護には細心の注意を払います。

7) 外部への試料・情報の提供・共同利用の方法
この研究に使用する試料・情報は、東京大学大学院新領域創成科学研究科を除く共同研究機関(別紙1「共同研究機関リスト」参照)から郵送、記録媒体、クラウドストレージ等により主幹機関である岡山大学病院へ提供されます。提供の際、氏名などのあなたを直ちに特定できる情報は削除されます。
この研究に使用する試料・情報は、主幹機関である岡山大学病院から、CAR-T治療抵抗性メカニズムの解析を目的に、共同研究機関の一つである東京大学大学院新領域創成科学研究科(別紙1「共同研究機関リスト」参照)および外部解析機関(別紙3「外部解析機関リスト」参照)に郵送、記録媒体、クラウドストレージ等により提供させていただきます。提供する試料・情報の項目は、腫瘍組織の残余検体、もしくはそれらから抽出した核酸、タンパク質、解析結果、カルテから抽出した臨床情報(年齢、性別、悪性リンパ腫の診断日、再発が確認された日)です。提供の際、氏名などのあなたを直ちに特定できる情報は削除し、提供させていただきます。
また、本研究で得られた情報や解析結果を、遺伝子解析結果を公開するための以下のデータベースに登録する可能性があります。提供先には、英国および米国が含まれます。英国のデータベースは、日本の法律と同等の個人情報保護体制をとっています。米国のデータベースは、米国の行政機関であるThe Office of Management and Budget(アメリカ合衆国行政管理予算局), Department of Health and Human Services(アメリカ合衆国保健福祉省), The National Institutes of Health (国立衛生学研究所)の個人情報保護規制を遵守して運用されており、十分な個人情報保護体制が取られていることを確認しています。
• European Genome-phenome Archive:英国
• Database of Genotypes and Phenotypes:米国
• Gene Expression Omnibus:米国
• Medical Genomics Japan Variant Database(MGeND):日本
• 科学技術振興機構バイオサイエンスデータベースセンター(NBDC):日本

8) 試料・情報の保存
この研究に使用した試料・情報は、研究の中止または研究終了後5年間、岡山大学病院血液・腫瘍・呼吸器 内科学医局、またはゲノム医療総合推進センター内及び共同研究機関で保存させていただきます。電子情報の場合はパスワード等で制御されたコンピューターに保存し、その他の試料・情報は施錠可能な保管庫に保存します。保存期間が終了した後は、適切な方法で廃棄します。

9) 研究資金と利益相反
この研究は、岡山大学の運営費交付金、科学研究費助成事業、日本医療研究開発機構(AMED)から得られた資金などの公的資金を用いて実施します。この研究の研究責任者と研究分担者は、当院の利益相反マネジメント委員会の審査を受けており、関連する企業や団体などと研究の信頼性を損ねるような利害関係を有していないことが確認されております。
私たちはこの研究によって特許を得る可能性があります。ただし、その権利は岡山大学に帰属します。研究対象者の方には帰属しません。

10)研究計画書および個人情報の開示
あなたのご希望があれば、個人情報の保護や研究の独創性の確保に支障がない範囲内で、この研究計画の資料等を閲覧または入手することができますので、お申し出ください。
また、この研究における個人情報の開示は、あなたが希望される場合にのみ行います。あなたの同意により、ご家族等(父母(親権者)、配偶者、成人の子又は兄弟姉妹等、後見人、保佐人)を交えてお知らせすることもできます。内容についておわかりになりにくい点がありましたら、遠慮なく担当者にお尋ねください。
この研究は氏名、生年月日などのあなたを直ちに特定できるデータをわからない形にして、学会や論文、岡山大学病院および共同研究機関のホームページなどで発表・紹介しますので、ご了解ください。

この研究にご質問等がありましたら下記の連絡先までお問い合わせください。
また、あなたの試料・情報が研究に使用されることについて、あなたもしくは代理人の方(ご家族の方等も拒否を申し出ることが出来る場合があります。詳細については下記の連絡先にお問い合わせください。)にご了承いただけない場合には研究対象としませんので、下記の連絡先までお申し出ください。ただし、すでにデータが解析され、個人を特定できない場合は情報を削除できない場合がありますので、ご了承ください。この場合も診療など病院サービスにおいて患者さんに不利益が生じることはありません。

<問い合わせ・研究への利用を拒否する場合の連絡先>
 大分大学医学部附属病院 血液内科
 氏名:奥廣 和樹
 電話:097-586-6275

<研究組織>
主管機関名  岡山大学病院
研究代表者  岡山大学病院 ゲノム医療総合推進センター  遠西 大輔

2025年04月07日