[発行] 大分大学医学部附属病院広報誌発行委員会

「小児科クリスマス会」について

野菜を食べよう!5

 

 秋は実りの季節。「食欲の秋」と言われるように食べ物がおいしい季節になりました。秋に旬をむかえる野菜や果物はたくさんありますが、意外に知られていない、本来なら秋から初冬が旬の“人参”を今回は取り上げてみたいと思います。“人参”と言えば、子供たちが嫌いな野菜の代表選手のひとつですが、昔に比べ、臭みが少ない品種が主流になり、最近ではジュースにも多く使われていますね。また、いろいろな料理にも使われている万能な野菜です。
 人参は、セリ科ニンジン属の野菜で、ふるさとはアフガニスタン。そこからインドを経て中国方面に伝わったものが「アジア系ニンジン」、北側から西に向かってヨーロッパに伝わったものが「ヨーロッパ系ニンジン」。日本に伝わったのは16〜17世紀と言われています。日本で古くから薬用として知られていた「朝鮮人参(=ウコギ科に属し、全く別の植物!)」と根の形が似ており、葉の形がセリに似ていることから「芹せり人にん参じん」と呼ばれていたようです。当時は主流だった「アジア系ニンジン」ですが、栽培しにくいことなどから、近年では“金時人参(京にんじん)”が晩秋から冬にかけて出回る程度で、一般的には見かけなくなりました。対して江戸時代末期に日本に入ってきた「ヨーロッパ系ニンジン」は改良がすすみ、品種も多いことから全国の気候にあったものが栽培されるようになり、一年を通して食べられる身近な野菜になりました。
 人参と言えば、あのだいだい色をイメージしますよね。あの色はカロチンの色で、緑黄色野菜の王様と言われるほどカロチンを多く含んでいます。また、カロチンの名は、人参の学名「Daucus carota」及び英語の「carrot」に由来しているとのこと。(ちなみに“金時人参”の赤い色はトマトなどに含まれるリコピンによるもので、カロチンは含みません!)
 カロチンにはいくつかの種類がありますが、特に人参にはβカロチンが豊富で、抗酸化作用を発揮して活性酸素による害を防ぐだけでなく、体内で必要な分だけビタミンAに変わって、皮膚や粘膜を健康に保つ働きがあります。ビタミンAは目の角膜を正常に保つ働きや、肌のかさつきや風邪の予防効果もあるため、これからの季節しっかり食べたいですね!

≪選び方≫
☆色が鮮やかで、赤みが強いものほどカロチンが豊富です。
☆表面はツルンとしてハリがあり、ひげ根が少ないものを!
☆形は太めで先端が丸くつまっており、切り落とした茎は細めのものを!

≪調理法≫
☆炒め物やきんぴら、煮物・なますなど毎日約50g(1/2本)を目安に!
☆栄養も甘みも皮に近い部分に多く含まれます。皮を捨てるのはもったいないかも…。また人参の葉も新鮮なものは炒めたりして食べましょう!
☆生の人参にはビタミンCを壊す酵素が含まれます。その酵素は酢に弱いので手作り人参ジュースにはレモン汁や酢を加えましょう!

(文責 栄養管理室 利根哲子)

最終更新日時: 大分大学医学・病院事務部管理課作成