[発行] 大分大学医学部附属病院広報誌発行委員会

教授に就任して

循環病態制御講座(心臓血管外科学)教授  
心臓血管外科長 宮本 伸二

 

 葉玉前教授(前医学部長)の後任として、この度大分大学医学部循環病態制御講座(心臓血管外科学)教授に就任いたしました宮本です。私は県南佐伯市で生まれ育ち、設立間もない大分医科大学で学び、その後も留学以外は県外に出ることなく働いてきた生粋の大分っ子です。30代半ばの井の中の蛙が大海を飛び越え米国に渡り持ち帰ったのは「海外から見ると日本の地方大学、有名大学の区別などない。」「大分の心臓外科は決して米国にひけをとっていない。」という自信でした。その思いは今もかわりませんが、現代は受診する医療施設を全国の中から選ぶ時代です。日本中を見渡してなお、「よし、大分大学心臓血管外科に行こう!」と言っていただけるだけの診療力の維持向上に更なる努力をしていかねばなりません。救急患者さんが多いのも当科の特徴で、これまで急患は絶対に断らないという信念を貫いてきた結果、緊急手術の数は全国で常にトップ5に入っています。いやおうなしに教室員の私生活は制約をうけますが、それをむしろやりがいと思ってくれるたのもしい仲間に囲まれている喜びを今改めて感じています。団塊の世代が60歳を迎え高齢者の人口はどんどん増加していきます。心臓血管外科としても今後は体力の衰えた患者さんに対する配慮が重要となってきます。昨年放射線科とチームを組んではじめたステントグラフト治療(かけはし 第31号で紹介)はその第1歩であり、これまで高齢のため治療不可能といわれていた方々が短期間で治療を終え退院なさっていく姿はまさに新しい時代の到来を感じさせるものです。井の中の蛙でどこが悪い!と居直ってやってきた私ですが歳を経るにつけ「医」の中の蛙ではいけないと感じるようになりました。そんなことでは患者さんを治せても癒すことはできないと。ですが、さあ人間力をつけるにはどうすればいいのでしょう。これはもう皆さんから叱咤激励をいただくしかありません。私個人も教室もこれからです。まだまだ伸びていきます。何卒よろしくお願い申し上げます。

 

 

 

最終更新日時: 大分大学医学・病院事務部管理課作成