[発行] 大分大学医学部附属病院広報誌発行委員会
腹腔鏡下肝切除術と腹腔鏡下膵切除術

 

 肝胆膵外科では、腹腔鏡下肝切除術と腹腔鏡下膵切除術を行っていますので紹介いたします。腹腔鏡下手術を含めた内視鏡外科手術は、傷の小さい患者さんに優しい手術として、わが国では現在、年間6万例以上に行われています。胃癌や大腸癌の手術を含め、そのほとんどの手術は保険診療として行われていますが、肝切除術や膵切除術はより高度な技術を必要とするため、保険診療の医療水準を超えた先進医療として一部の施設で行われています。両術式ともに厚生労働省の厳しい施設基準(日本消化器外科学会専門医、5年以上の経験、10例以上の症例を実施など)があり、現在までに本院を含め、全国で腹腔鏡下肝切除術10施設、腹腔鏡下膵切除術5施設のみが承認されています。
 当科では現在までに両術式共に20例以上施行しており、全例で良好な結果が得られています。その手術には超音波凝固切開装置や自動縫合器のような特殊な腹腔鏡用の器具を用いて安全に行います(図1)。また通常の開腹手術に比べると傷が小さくなるだけでなく(図2)、痛みが少なく、腸の運動が早く回復し、術後の入院期間が1/2〜2/3に短くなる結果も得られています。ただし高度な技術を安全に行うため、希望するすべての患者さんが受けられる治療とはなっていません。現在、腹腔鏡下肝切除術は大きさが5cm以内で、肝臓の左端や表面に位置する腫瘍に限定しており、また腹腔鏡下膵切除術は内分泌腫瘍や嚢胞性腫瘍に限って行っています。
 両術式を希望される患者さんは水曜日に肝胆膵外科にご相談下さい。ただしその手術費用につきましては他の先進医療と同様に患者さんに全額負担していただくことになります。入院料などその他の費用は一般の保険診療と同様に扱われます。

 

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(文責 肝胆膵外科 太田 正之)

 

 

最終更新日時: 大分大学医学・病院事務部管理課作成