講座紹介

概要

ウイルス感染時の免疫応答と病態との解明、治療法の研究をメインに行なっており、狂犬病ウイルスがその主な対象です。当教室は国内にある大学医学部において狂犬病研究を行う唯一の講座としてその独自性を生かし、ウイルス学的側面からばかりでなく、疫学的重要性さらには予防・治療へ向けた臨床的側面までも包含した総合的研究を展開しています。また、狂犬病以外にもSFTSやCOVID-19といった新興・再興微生物感染症の感染病態に関する研究をフィールドとベンチから行なっています。

主な研究内容

(1) 狂犬病ウイルス感染の総合的研究

日本国内で数少ない狂犬病研究施設として、狂犬病の感染と発症に関わるウイルス側と宿主側応答の解明を目指しています。特に中枢神経系における病原性発現機構の解析、さらにこれにもとづく生物製剤、特に有効なワクチン戦略の評価やヒト型抗体製剤の開発を目指しています。また、我々はこれまでに狂犬病ウイルスの末梢感染に対するファビピラビル(商品名: アビガン)の有効性を示しましたが、中枢神経への侵入後でも十分な効果が発揮されるように、薬剤送達による治療可能性を探っています。

(2) 新型コロナウイルス感染症に関する診断と研究

臨床研究を、本学倫理委員会の許可を得て行っております。臨床研究についてはこちらをご覧ください。
新型コロナウイルス感染症に関する取り組みはこちらにまとめております

(3) 抗体医薬の研究と開発

感染症、特に狂犬病ウイルスやC型肝炎ウイルス、ピロリ菌感染をモデルに、モノクローナル抗体を利用した診断系開発に向けた研究と、臨床での応用開発、特に予防・治療を目指したヒト型抗体の試験管内作成を行っております。

(4) 新興感染症の分子疫学的研究

各種感染症(狂犬病ウイルス、新型コロナウイルス、デングウイルスなど)を対象とした世界規模でのウイルス感染の分子疫学的研究を行なっております。また、感染症の広がり方やワクチンの効果を検討する臨床研究を、本学倫理委員会の許可を得て行っております。臨床研究についてはこちらをご覧ください。

(5) フィリピンでの狂犬病撲滅への取り組み

地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)感染症分野において研究課題が採択され、フィリピンにおいて狂犬病撲滅へのプロジェクトを展開しています。こちらをご覧ください。

(6) 成人T細胞性白血病ウイルス(HTLV-1)の病原性の解析

特にNF-κBを介した発癌機構解明とその治療戦略