[発行] 大分大学医学部附属病院広報誌発行委員会

患者満足度調査結果について

1) 肺線維症とは?
  肺は柔らかい小さな袋(肺胞)の集まりで、その中に空気を含んでいます。「間質性肺炎」は、何らかの原因で肺胞の壁や周辺に「傷」ができ、その修復のため細胞やコラーゲンが増加して壁が厚くなる病気です。そのため咳が出たり、酸素がうまく取り込めずに息苦しくなります。特発性肺線維症は「特発性(=原因不明の)間質性肺炎」の一種で、次第に肺が固く膨らみにくくなり、進行すると呼吸が維持できなくなる場合があります。治療が困難な進行性疾患として国の難病(特定疾患)に指定されており、一定の条件を満たせば、医療費の補助が受けられます。

2) 新薬情報
 「ピレスパ錠」は肺の線維化を抑制する作用があり、特発性肺線維症の治療薬として世界で初めて認可され、本院では平成21年3月より使用可能となりました。症状の改善には至らないまでも、肺機能の悪化を抑えるとされています。しかしながら薬である以上、副作用は避けられないものです。国内での臨床試験において、半数以上の方に光線過敏症が認められました。日光に対して皮膚が過敏に反応し、赤みや炎症が起こる症状です。可能な限り日光に当たらず、日光を防御することが重要な予防法となります。

3) 血液浄化療法
 間質性肺炎では、風邪などを契機に悪化する「急性増悪」と呼ばれる病態があり、ステロイド大量療法などを施しても救命が困難なほど急速な経過をたどることがあります。当科では平成19年12月より、このような病態に対して「PMX-DHP」という吸着療法を試みています。もともとある種の敗血症(細菌が血液から検出される)に対する治療法ですが、近年、間質性肺炎の急性増悪における酸素化能の改善が注目されています。しかしながらその作用機序や、どのような症例に有効なのか不明な点もあり、現在全国的な臨床調査が行われています。
 現在のところ、ピレスパ錠、PMX-DHP、いずれの治療法も大学病院のような限られた専門施設でしか受けられません。ご不明な点があればお気軽にお尋ねください。

 

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(文責:呼吸器内科(総合内科学第二) 石井 寛、門田 淳一)

 

最終更新日時: 大分大学医学・病院事務部管理課作成