今年度は以下のテーマについて分析を行いました。
・思春期におけるヘモグロビン低値とピロリ菌判定の関連
・大洲コホートを用いた脳心血管疾患発症に関するリスク予測モデルの評価と大洲モデルの作成
思春期の鉄欠乏性貧血は、ピロリ菌感染との関連が示唆されているが、それらの関係性については明らかにされていない。そこで、2016年から2019年に、別府市において実施された児童・生徒の生活習慣予防検診において、ヘリコバクターピロリIgG抗体検査を受診した中学二年生1960人を対象に、ヘモグロビン低値とピロリ菌感染陽性について、体格、生化学データ、生活習慣の中から検討した。ピロリ菌判定陽性は、抗IgG抗体試験と尿素呼気試験ともに陽性の場合とした。ヘモグロビン低値は、男子13.0g/dl以下、女子12.0g/dl以下とした。
ピロリ菌感染陽性と関連がみられたのは、t検定とχ2検定にて、ヘモグロビン低値のみであった。ヘモグロビン低値は、男子では体格が小さい、血圧が低い、LDL-コレステロールが低い、HDL-コレステロールが高い、尿酸値が低いことと関連がみられた。女子では、血圧が低い、HbA1cが高い、尿酸値が低い、生理があることと関連がみられた。ヘモグロビン低値を従属変数とした男女別の多変量解析において、ピロリ菌感染陽性は、ヘモグロビン低値関連因子を調整した場合も、へモグロビン低値と有意な関連が認められた。
代表的な脳心血管疾患発症のリスク予測モデルは、一地域のコホートにおいても、有用であるか。また、既存の予測モデルを利用し、大洲コホートに当てはまる予測モデルを作成した場合の適合度はどうか。
・大洲コホートを国内3研究の脳心血管疾患リスク予測モデルに当てはめ、ROC曲線、Hosmer-Lemeshow 検定を行った(表1)。AUCはいずれも0.73以上となった。判別能の観点からは、3研究のリスク予測モデルに大差はなく、有用であることが示唆された。
・大洲コホートを久山町研究の多変量モデルと3つの予測モデルを作成し、比較した(表2)。3つのリスク予測モデルに大差はみられなかった。大洲コホートに対して、より適合するリスク予測モデルを作成するためには、大洲コホート独自の危険因子を用いる必要があると考える。
期日 | 項目 | 内容 |
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(5/6~5/16の期間は、covid-19流行に伴い、自宅待機となりました。 そのため、5/6までに、各自のパソコンにSASをインストールしました。) |
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5/6(木) | 研究室配属開始 | オリエンテーション(ZOOMにて。研究テーマ・データ・進め方・ミーティングなどについて) |
5/6~5/21(自宅学習) ・『SASによるデータ解析入門』をテキストとして、SASの使い方を習得する。 ・紹介された参考文献を読む。 |
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5/24(月) | ミーティング | 説明(データの解析方法やまとめ方について)
新規の研究テーマの場合、この後データ解析に取り掛かる。 |
5/31(月) | ミーティング | 進捗発表会
背景・目的・実施した解析方法および結果について ※研究の背景(目的・対象)は、先行研究を20~30本読んで、新規性のある目的を書くこと。 (END NOTEを用いて文献整理を行う。) |
6/7(月) | ミーティング | 進捗発表会 教授の助言を得て進め、修正と解析を繰り返す。 |
〈以降、毎週月曜日にミーティング(進捗報告・検討会)〉 | ||
7/9頃 | 抄録締め切り | |
7/20(火) | 研究室配属発表会 | 発表。研究室配属報告のまとめ。 |
7/21(水) | 配属期間終了 | 研究室配属報告提出。 |