大分大学医学部生物物理学講座
大分大学医学部生物物理学講座
当講座では、物理学の考え方と計算科学の手法を用いて、生命現象を分子・ゲノム・個体集団の各階層で定量的に理解することを目指しています。核酸の構造ダイナミクスの研究を出発点として、現在は以下の研究を進めています。
DNA・RNAが多価イオンやタンパク質との相互作用によって構造を変化させる過程を、分子動力学シミュレーションと統計力学的手法により解析しています。特に、グアニンに富む配列が形成する非標準構造「G-quadruplex(G4)」について、対イオン(K⁺)との結合過程や、chair型・basket型・hybrid型といったトポロジー間の転移機構を研究しています。また、ゲノム上でG4形成配列がどのように維持・排除されているか(G4パラドックス)を、ウイルスから真核生物まで横断的に比較解析しています。
生体分子の希少事象(構造転移など)を効率的にサンプリングするため、マルコフ連鎖モンテカルロ法の新しい枠組み(GM-MCMC)を開発しています。スーパーコンピュータ「富岳」を用いた大規模計算により、従来法では到達困難な時間スケールの現象の解析を進めています。
老化関連タンパク質の配列を複数の動物門にわたって比較し、寿命の進化を支える自然選択(純化選択)の様式や、変動環境下での生存戦略(bet-hedging)の理論的解析を行っています。
医学部の講座として、ベイジアンネットワークや因果推論の手法を臨床データベースに適用し、疾患要因の構造を統計的に明らかにする共同研究を学内の臨床講座と進めています。
グラフニューラルネットワーク(GNN)を用いたスコアベースMCMCの開発や、生物学的配列に対する基盤モデル表現の有効性の評価など、機械学習と物理シミュレーションを融合した研究を行っています。
医学科1年生を対象に「数学と物理Ⅰ〜Ⅲ」および「物理学実験」を、医学科・看護学科・先進医療科学科の1年生を対象に医療情報・情報科学系の科目を担当しています。医学の基礎となる数学・物理の考え方、実験データの取り扱い、統計の基礎と情報セキュリティを指導しています。
Department of Biophysics, Faculty of Medicine, Oita University