病院の玄関ホールを通り抜け、病棟へ続く大きな廊下の中ほどの左側、全体の占有面積の割合には小さな窓口があります。そこが放射線部の受付です。
「放射線部」という名称は患者さんには馴染みが薄いようで、初めて窓口にみえる方の多くが不安げに 「レントゲンはこちらですか。」と尋ねられます。間違いありません。放射線部はレントゲン写真を撮るところです(専門的にはX線写真と言います)。けれど普通のレントゲン写真(X線写真)だけではありません。体の内部の様子を映し出す「画像診断」つまり、CT検査、MR1検査、超音波検査、R1検査、消化管造影検査、血管造影検査や、放射線治療、その他多くの検査や治療を行っているのが放射線部なのです。受付の後方にはそれらの撮影室・検査室が控えており、その中で多くの医師、診療放射線技師、看護婦、その他の職員が忙しく働いています。
それぞれの撮影・検査は、それぞれの装置を必要とし、それぞれの部屋を有しているため、放射線部内はとても広く、特にMR1室などは途中で不安になるであろうほど奥にあります。おそらく患者さんも溜息つきつつ放射線部内の検査室を目指されているのではな いかと思いますが、職員にとってもとても動線の長い部署だと言えます。
放射線部の受付では、撮影室・検査室への案内、検査の予約を行っていますが、最も大きな仕事が画像フィルムの管理です。放射線部で撮影や検査をされますと、黄色の大きなフィルム袋が作成され、以後撮影や検査をされる度にその袋のなかに画像フィルムが保存されていきます。診断に必要な画像情報が詰まった1人1人の画像情報袋となるわけです。開院以来当院を一度でも受診したことがあるという人が20万人を越えましたが、そのうちのかなりの割合の方の画像フィルムを保管していることになります。診察・撮影・検査などの必要に応じ迅速に整理棚から取りだし準備することが要求される上、1枚1枚は軽いフィルムも数多くなりますとかなりの重量になることもあり、フィルム管理には実に体力を要します。また、増え続けるフィルムの保管場所の確保も頭の痛い問題となっており、日々フィルムと格闘しているというのが実感です。
でも時代は進んでいます。そんなに遠くない将来に、患者さんが重いフィルム袋を抱えて長い廊下を歩かなくてもいいように、撮影した写真がそのままコンピュータで各診療科の医師の元に送られるようになる日が来ると思います。画像は電子保存され、フィルムが無くなり、それで空いてしまったフィルム倉庫の有効利用を考える日が来るのではないかと皮算用しています。それまでは、「あ一重い」とフィルム袋を抱え診療科に戻っていかれる患者さんの背中を見送りながらフィルムの整理に追われる日が続きそうです。しかし、その時はその時で、今度は体カの代わりにコンピュータでの画像情報管理の熟達が必要となり頭を悩ませなければいけないのかもしれません。
今回は受付からの話をさせていただきました。放射線部の撮影や検査等についての詳しい説明は、随時放射線科医師や診療放射線技師、看護婦にお願いしたいと思います。
(文責 和田 弘子)