日本では、糖尿病をもった方は急増し、現在は約 700万人と言われています。糖尿病を放置し、きちんと治療を受けていない方では数年から十数年を経過すると合併症として神経、眼や腎臓に障害が起こり、また動脈硬化すなわち心筋梗塞や脳卒中を来たしやすくなります。毎年、約3干人の方が失明し、また約一万人の方が腎不全となり新たに人工透析を受けるようになっています。
しかし、糖尿病になってもその初期から、生活習慣を見直し、負事療法と運動療法を行い、さらに十分に血糖が下がらない場合は薬物療法を行い、糖尿病をよくコントロールした場合は合併症を起こすこともなく健康な生活を送ることができます。また、長年にわたり糖尿病がありすでに合併症がある場合でもその進展を防止、あるいは遅らせることができます。このためにはまず糖尿病の治療について十分な正しい知識を得て、そして実行できることが不可欠です。すなわち、糖尿病を持っておられる方自身が主治医となり治療をするのをお手伝いするのが医療スタッフです。
大分医科大学では7階東病棟で糖尿病教育入院のシステムを設けています。木曜日から始まる3週間のコースで以下のことについて糖尿病専門の医療スタッフによる講義や指導があります。
医師、看護婦による講義とビデオ 1.糖尿病とはどんな病気 2.糖尿病の合併症について 3.治療とコントロール目標 4.運動療法について 5.日常生活での注意点
栄養士 1.食事療法の基本 2.献立の立て方 3.塩分や嗜好品について 4.外食の上手な取り方 入院中は個別に専任の栄養士が担当して指導します。
歯科衛生士 1.口の中の上手な手入れについて
また、糖尿病の合併症の有無とその程度について精密検査を行い、また糖尿病で来たしやすい心臓病などについても調べます。合併症がある場合にはその程度に応じた食事や運動療法の指導も行っています。入院中の土日には試験外泊を行い、自宅での糖尿病療養を実践し、その評価を行っています。退院時には、各検査の結果と今後の糖尿病治療や日常生活での注意 などについて説明しています。
以上のようにこの3週間は、糖尿病を良くコントロールして健康な生活を送るために大変有意義な入院となります。諸事情で入院ができない方には糖尿病教室だけの参加も受け付けています。詳しくは7階東病棟 (TEL097-586-6792)にお尋ね下さい。 その他、日本糖尿病協会大分医科大学支部"豊の会"に入会されますと、患者さん向けの小冊子(さかえ)、新聞(弥生)が毎日送られてきます。糖尿病に関する大変有意義な情報が得られます。入会を希望される方は内科外来でお尋ね下さい。
(文責 葛城 功)