[発行] 大分大学医学部附属病院広報誌発行委員会

 

 

 6階東病棟は耳鼻咽喉科と歯科口腔外科の病棟です。

 人間が外界の刺激を感じる、聴覚、臭覚、味覚を障害されている患者様が多くいます。私達は、人が生活をする中で音を聞く、においを嗅ぐ、話す、呼吸をする、食事をするなど、ほとんどの人が日常生活の中で意識することのない部分に関わっています。手術や他の治療で機能障害をきたす中、充実したリハビリを提供し、一緒に克服できる看護を提供しています。

 例えば、食事をする時に、人は口を閉じて歯や舌で食物を噛み砕きながら飲み込みやすい形にしています。そして、舌が飲み込みやすい形になった食物を、鼻に漏れないようにウェーブしながら喉に送り込みます。同時に喉頭(のどぼとけ)が動き、食物を食道へ送ります。しかし、喉は空気の通り道でもあり、誤って空気の通り道に食物が入らないように食道と気道の分かれ道で自動的に蓋が閉まります。このように、食事をするという一連の何気ない動作の中で、口や喉はとても複雑な動きをしています。これらの働きを病気の為障害された患者様に、私達は舌や口唇の運動や、飲み込み方の練習を行なったり、刻み食やミキサー食など食べやすい形態を探して援助しています。最初は、なかなか飲み込めなかったり、むせることがありますが、訓練することで少しずつ食べることが出来るようになります。患者様からの「おいしかった。食べることがこんなに有難いとは思わなかった。」という言葉に、私達は患者様と一緒に喜びを味わうことができます。

 また、機能障害だけでなく、手術や病気自体によって、顔の外観が変化する事があります。外観の変化によって、精神的ショックを強く受ける患者様も多くいらっしゃいます。患者様が自分の姿を受け入れ、新たな生活が始められるように支えていく事も私達看護師の役目です。患者様の気持ちに耳を傾け、生活上の留意点を指導して患者様やご家族が安心して退院後の生活が送れるように日々看護を続けています。

 私達の病棟では、患者様が「その人らしく生活できる」ように援助をしています。

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(文責 6階東病棟 田中和代)

最終更新日時: 大分大学医学・病院事務部管理課作成