[発行] 大分大学医学部附属病院広報誌発行委員会

救命は “あなた” から
― AED、院内BLSミニコース ―

 

<はじめに>
 目の前に人が倒れています。心臓が止まっています。あなたは何ができますか?『医療の専門家ではなく知識もないので何もできません。』多くの人はこう答えるでしょう。しかしながら、ちょっと待ってください。いいえ、あなたにもこの人を助けられますし、最初に目撃したあなたにしか助けられないことも多いのです。

AED 写真<突然死、除細動:AED>
 突然死の死因のほとんどは心臓疾患で、心臓突然死のほとんどは心室細動が原因です。心室細動とは、心臓がけいれんしたように小刻みに震えた状態になり、脳やからだに血液を送り出すことができなくなる非常に危険な不整脈です。これが生じると1分経過するごとに約10%ずつ救命率が低下し、10分後にはほとんどの人が死に到ります。とにかく治療は急ぎます。心室細動を正常な状態に戻す唯一の方法は除細動(心臓への電気ショック)です。そこで活躍するのがAED(自動体外式除細動器)(Automated External Defibrillator)で、昨年7月より一般市民による使用が認められました。小型軽量で安全の上、操作法も簡単です。心電図を自動的に解析し、除細動を含めた救命行為の手順を音声にて指示してくれるため、医学的専門知識は一切不要です。AEDは、自宅、学校、病院、職場、役所、公民館、空港、航空機、スポーツ施設、コンサートホール等多くの場所に設置され始めています。愛知万博の会場には、100台のAEDが設置され、大活躍したのは記憶に新しいところです。当院でも各階にAEDを設置し、すでに多くの方が救命されています。

<院内BLSミニコース>
 当院では、医療従事者だけではなくすべての病院職員を対象として、AEDによる除細動を含めた心肺蘇生法の講習会〔院内BLS(一次救命処置)(Basic Life Support)ミニコース〕を行っています。単に知識の習得のみならず、マネキン人形を用いた実技演習を繰り返すことによりAEDの使用を含めた心肺蘇生法を体得します。急変患者さんに対する院内体制の整備・充実と同時に、全職員をあげてよりよいチーム医療に向け邁進しています。

<最後に>
 目の前に人が倒れています。心臓が止まっています。あなたは何ができますか?冒頭の質問です。救命できる時間は限られています。尊い命を救うための重要な鍵は“あなた”です。

(文責 救急部 石井圭亮)

 

最終更新日時: 大分大学医学・病院事務部管理課作成