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新年のごあいさつ
病院長 中野重行
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〜再び「安心と満足の医療」を求めて〜
明けましておめでとうございます。昨年は、「安心と満足の医療」を求めて、と題して新年のごあいさつをいたしました。本院の基本理念として掲げてきた「患者本位の最良の医療」を患者さんサイドの言葉に置き換えた「安心と満足の医療」を目指していきたい、との思いを語った次第です。今年はさらにもう一歩進めて考えてみたいと思います。「安心と満足の医療」は、実は私共医療者サイドの努力だけでは実現し難いことなのです。より良い豊かな医療は、患者さん方と私共医療者が協働することによって実現するものなのです。これを私共は「住民参加型医療」と称しています。
世の中の諸々の事柄は、最初は点として見えますが、やがて線として見えるようになります。つまり、点と点の間のお互いの関係とこれから動いていく方向が見えてくるようになります。さらに、これを面に展開して見るようにすると、今まで見えなかったことがいろいろと見えるようになってきます。そこで、私共医療者サイドが考える「患者本位の最良の医療」(医療者サイドの評価)を縦軸に、患者サイドで感じる「安心と満足の医療」(患者サイドの評価)を横軸にして図示し、この図の各領域にふさわしい「四文字言葉」を入れてみると図のようになります。
私共の目標とする「成功ゾーン(Success
zone)」は、もちろん右上の第一象限(やすらぎゾーン)です。対角線上にある左下の第三象限は「不成功ゾーン(Dead zone)」になります。その他の第二象限(いらだちゾーン)と第四象限(わがままゾーン)は、私共医療者サイドの分かりやすい説明が不足していたり、医療技術やケアの面で努力が不足していたり、あるいは患者さんサイドが私共の提供する医療に過度の期待を抱いていたり、誤解をしているために生じてくる領域なのです。つまり、患者さんサイドと医療者サイドのコミュニケーション不足とも密接に関連しています。このようなことにならないためには、患者さんサイドからも遠慮せずに医療コミュニケーションの輪の中に入っていただきたいと思います。患者さんの一人ひとりが「やすらぎゾーン」に入るように、皆さんと一緒に協働して、全職員が努力していきたいと思っておりますので、本年もどうぞよろしくお願いします。
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