[発行] 大分大学医学部附属病院広報誌発行委員会

教授に就任して

大豆の栄養について

 

 

 今回は、世間を騒がせた‘納豆!’の原料である大豆についてお話します。
 大豆が日本に伝わったのは、今から約2000年前の弥生時代といわれています。日本で古くから食べられている大豆は加工技術が発達し、豆腐やおから・納豆・きな粉など色々な形で私たちの食卓を楽しませてくれます。
 大豆は植物性タンパク質を豊富に含み、特に人間の体内で作ることの出来ない必須アミノ酸を含んでいます。大豆のアミノ酸は、米に不足するリジンを多く含み、米は大豆に少ないメチオニンというアミノ酸を多く含むため、大豆製品をおかずにした食事(日本食)は互いの不足を補い合うバランスの良い食事といえます。またその他、脂質・炭水化物・食物繊維・カルシウム・鉄分・マグネシウムなどの栄養素も含んでいます。
 中でも最近注目されているのが「イソフラボン」という成分です。大豆イソフラボンは、大豆の胚芽部分に多く含まれ、女性ホルモンの「エストロゲン」と似た構造をしており、植物性エストロゲンとも呼ばれます。そのため大豆イソフラボンを摂取することで、更年期の症状を和らげたり、悪玉コレステロールを減らし血管を広げて詰まりにくくするなど生活習慣病のリスクを軽減する効果があることがわかってきました。
 では一体一日にどれくらい摂れば、その効果があるのでしょうか?さまざまな研究から一日50mgのイソフラボンで上記のような効果が見られるようです。イソフラボンを摂るための大豆製品の含有量を下表に示します。しかし、たくさん摂ればとるほど効果が上がるというものではありません。食事からの大豆イソフラボンの摂取量の上限は約70mg/日とされています。特に特定保健用食品やサプリメントの過剰摂取による大豆イソフラボンの摂り過ぎには注意が必要です(食事以外からのイソフラボンの追加摂取量の上限は30mg/日とされています)。また、妊婦や乳幼児・小児の特定保健用食品やサプリメントの摂取は推奨できません。しばらくの間、納豆を朝・夕食に食べ続けた方も多いかと思いますが、あくまでも毎日の食事の中で他の食材と組み合わせ、味わいながら楽しく食べることが大切です。
 今では、世界中の健康を気づかう人々の間で日本食が注目され、アメリカなどでも豆腐がスーパーで売られるようになりました。しかし残念なことに、日本人の日本食離れは年々進む傾向にあります。日本に古くから伝わる大豆を原料とした食品を、1日に1品程度を目安に摂るよう心がけたいですね。

(文責 栄養管理室 田邉 美保子)

1回使用量の目安
イソフラボン(mg)
納豆
ミニパック1個/(40g)
51
豆 腐(絹ごし)
1/4丁(100g)
51
豆 腐(木 綿)
1/4丁(100g)
51
油あげ
大1枚(30g)
21
きな粉
大さじ1杯(10g)
26
豆乳
コップ1杯(125g)
45

(健康日本21推進フォーラム調べ)

 

最終更新日時: 大分大学医学・病院事務部管理課作成