もくじ
第5号 H 13.4/1
 外来診療時間予約について
 精神科神経科紹介
 眼科紹介
 2階西病棟紹介
食道発声教室紹介
 患者さんの声
かけはしホーム
 

 食道発声教室紹介  食道発声という言葉を知っている方はとても少ないのではないでしょうか。人が声を出すには、のどにある声帯が振動しなくてはなりません。主に喉頭癌や咽頭癌など、のどの病気のために声帯のある喉頭を取らなければならないことがあり、この場合声が出なくなってしまいます。ところが幸いなことに声を再びとり戻せる方法が幾つか考案されており、その一つが食道発声なのです。これは食道に空気を飲み込み、それを意図的に口に逆流させて食道の入口を振動させて発声するもので、いわばゲップを自由自在に操り音を出すものです。器具を使ったりする他の方法と比べ、抑揚があって健常者の声に近く両手も自由で外観も健常者と変わらないため、社会復帰には最も良いと言われています。しかし習得するにはそれなりの時間と努力をかけた練習が必要です。これをお手伝いするのが食道発声教室というわけです。

 さて、大分県にはこのような患者さんの団体として大分豊声会があります。豊の国の豊、声が豊かにという願いからの命名と聞いております。この会が中心となって毎月第2金曜日の午前中、本院の6階東病棟耳鼻咽喉科カンファレンスルームで発声教室が開かれています。その特徴は、食道発声の上手な会員が指導員となっていることにあります。医師は指導員研修会などで食道発声の医学的な理論的背景の話や術後の療養指導は致しますが、食道発声の実際については患者さんが最も知識と経験があるのですから当然と言えます。また、この教室では患者さん相互の親睦がはかられ、社会福祉制度や生活上の知恵などの情報交換もなされ、社会復帰を目指している方にも既に復帰された方にも心の拠り所のように見受けられます。最近は本教室に参加される方が減っているように聞いておりますが、食道発声を身につけお客さんと上手に話をするタクシーの運転手の方もおられ、また電話やカラオケができるのも食道発声ならではと思われます。もちろん、喉頭が残せることが最良ですが、止むを得ず喉頭摘出を受けられた方も万一受けられる方も、この教室に勇気をもって参加し社会復帰を果たしていただきたいと思います。また、一般の方にもこのようなリハビリテーションの存在を知っていただくことで、ともに自然体で社会生活が送れれば素晴らしいことと思います。                            

(文責 耳鼻咽喉科 鈴木 正志)

西病棟写真
練習風景