6月1日より大分医科大学皮膚科学講座を初代教授高安進先生の後任として担当させていただくことになりました。
大学病院における皮膚科学講座として、研究者の眼をもった臨床を目指して行きたいと思っております。大学に紹介されてくる難治性皮膚疾患を、可能な限りスピーディに、かつ適切に治療していくには、新たな視点を持って、診断・治療に携わる必要があると考えています。これはなかなか困難で一朝一夕には成し遂げられないかもしれませんが、既に20年余の間に私達の前を通り過ぎていった重症患者さんのデータをもとに、現在受診される患者さんを一人一人丁寧に診療して、そこから新しい知見や、研究課題を見い出し、地道な努力を積み重ねたいと考えております。
また悪性腫瘍患者さんの診療にあたり、クリティカルパスを導入したいと思っております。皆さんご存知のことと思いますが、クリティカルパスとは、ある疾患を治療する上でのいわゆるマニュアルで、医師、看護婦、作業療法士など医療チーム構成員の日別作業工程マップともいうべきのものです。このマップにより、診断から治療にいたるまでの過程で、できるだけ無駄を省き、しかも患者さんの満足度が高い医療を目指して行きたいと思っております。同一疾患でも、患者さん個々の違いに応じる柔軟性を準備し、常に結果から改良を加えていく努力が必要と思いますが、これは、在院日数の短縮、医療費の節約など、患者さんに利することでもあり、かつ社会的要請にも応える一つの良い方法ではないかと考えております。
最近国立大学としても、附属病院としても多くの「改革」を迫られ、多難な時代を迎えております。しかし、こういう時にこそ大きな理想をもって、国民や大分県民の皆さんの役に立つ大学附属病院であるよう、努力していきたいと考えております。何卒、皆様の一層の御協力、御支援を賜りますようお願い申し上げます。