海外旅行では環境の変化で持病が悪化する例があり、時差ボケや無理なスケジュールで疲れが溜まりがちになるので、調子がおかしいと感じたら無理をしないことが肝要です。また持病のある方は常備薬の携行や、万が一の時に受診する医療機関の情報も出発前に入手しておいた方が良いでしょう。
最近は自然に触れるツアーや農業ボランティアなど旅行の中身も多様化しています。以前から海外旅行の際に注意するように云われていた病気、かなでも食べ物・飲み物を介して感染する可能性のあるコレラ、赤痢、腸・パラチフス、A型肝炎などに対しては、生水を飲まずにミネラルウォーターを利用し、火の通っていないものを避けるなどの注意が必要です。また熱帯・亜熱帯の都市部以外に行かれる方は、マラリア、デング熱、日本脳炎、場所によっては黄熱など蚊から感染する危険性のある病気があります。肌を露出せず、蚊帳や防虫剤、殺虫剤を携行するようにしましょう。なお蚊取り線香はどこでも使用できるので便利ですが、開封後新しいものを利用しましょう。またイヌやネズミなどの野生動物にはむやみに近づかないようにしましょう。狂犬病やハンタウイルス感染症などの恐ろしい病気が感染する可能性もあります。これらの感染症に対しては出発前にワクチンによる予防接種で予防が可能な疾患もあります。一定の間隔で数回の接種が必要なこともあり、複数の感染症の予防には早めの準備が必要です。さらに、これらの病気が感染してから一定期間の後発症するものがあるため、帰国後も身体の変調を覚えたら医療機関を受診するようにし、旅先などを医師に告げることも必要となってきます。
また最近では長時間飛行機の座席に座っていることによって起こる「エコノミークラス症候群」といわれる深部静脈血栓症も話題になっています。機内ではなるべく水分の補給を心がけ、楽な服装と足の運動などに心がけるようにしましょう。
感染症や海外旅行についての主なホームページや電話相談先
(文責 微生物学 西園 晃)