生理機能検査

生理機能検査は、患者さんの身体を直接検査する臨床検査です。 各検査には定められた方法と手順があり、患者さんのご協力なしには正しい結果を得ることが出来ません。 ご協力のほど宜しくお願い致します。

検査を受けられる方へ

  • 予約時間までに中央診療棟2階の検査部受付までおいで下さい。
  • 検査時に担当者が検査の受け方などを説明します。

脳神経機能検査

検査種別検査項目名
脳波検査 1.脳波検査
2.自然睡眠賦活脳波検査
3.薬物睡眠賦活脳波検査
脳誘発電位検査 1.体性感覚誘発電位検査
2.視覚誘発電位検査
3.聴性脳幹反応検査
末梢神経伝導検査 1.運動神経伝導検査
2.感覚神経伝導検査
重心動揺検査 1.重心動揺検査
2.パワーベクトル分析

脳波検査

【1.脳波検査とは】
大脳には左半球と右半球があり、それぞれ前頭葉、頭頂葉、後頭葉、側頭葉に分けられます。 左半球は言語、代数学、理論などを、右半球は音楽、幾何学、発想等を主な役割にしています。 また、前頭葉は運動と行動の制御、頭頂葉は感覚と知覚情報の分析、後頭葉は視覚、そして側頭葉は聴覚、 嗅覚、記憶などの働きをつかさどっています。大脳の表面には約140億個の神経細胞があります。 これらの神経細胞が興奮すると、数十マイクロボルト(およそ十万分の一ボルト)の弱い電位が発生します。 これを頭皮上に付けた十数個の電極から取り出し、それぞれの部分ごとに記録したものが脳波です。 脳波は一秒当りの波の数によって、ベータ(β)波、アルファ(α)波、シータ(θ)波、デルタ(δ)波に分けられます。 電位の強さは正常成人では10~6マイクロボルト程度が一般的です。検査はまず安静閉眼覚醒状態で、 基礎リズムを調べます。健康な成人では、後頭部を中心にアルファ波がリズミカルかつ左右対称に出現しているのが一般的です。


【2.賦活脳波検査とは】
通常の脳波検査は、安静閉眼覚醒状態を記録したものですが、感覚刺激(開閉眼、光刺激等)、過呼吸、 睡眠などの生理的刺激を与えることにより、通常の状態では出現しない誘発される異常脳波を調べ、 安静時の脳波がどのように変化するかなどを観察します。

  • 検査の目的
    脳の機能をとらえるための検査です。てんかんなど発作性疾患の異常波の検出、睡眠・覚醒の変化、 意識の障害によっておこる脳の全般的活動水準の変化、脳梗塞や腫瘍などの病変による脳機能に対する影響などがわかります。
  • 検査の流れ
    ① 十数個の皿電極を頭や耳たぶにペーストやテープで固定・装着します。
    ② ①の状態でベッドに仰向けに休み、20分から30分閉眼状態を保ってもらいます。
    ③ 賦活脳波検査の場合は②の間に開閉眼をしていただいたり、フラッシュのような光を顔に当てたり、 過呼吸を3分間繰り返していただくなどしていただきます。この賦活による脳波の状態を記録します。
    ④ 記録終了後、電極を外します。
    ※電極から刺激が出るようなことはありません。
  • 検査所要時間50~90分
  • 検査の注意点
    ・検査時の覚醒度や心理的状態などによっても変わってきます。リラックスした状態で検査を受けることが、 正確な結果を得る上で重要です。
    ・携帯電話などの電源はお切りください。
    ・電極装着時に使用したペーストを検査後拭き取りますが、その際に髪が多少乱れることがあります。

脳誘発電位検査

【1.体性感覚誘発電位検査とは】
体性感覚誘発電位は、刺激の反対側の大脳皮質感覚野上の頭皮部分に出現します。ここでは上肢の正中神経を電気刺激し、反対側の体性感覚野から40msec 以内に現れる短潜時の反応波を導出し、末梢神経から大脳感覚野に至る体性感覚野機能を評価します。

  • 検査の目的
    視床レベルより上の大脳半球機能の検索に用いられます。  また、内頸動脈や中大脳動脈の血流不全を評価することが可能であり、 内頸動脈瘤、中大脳動脈瘤、頚動脈内膜剥離術(CEA)、頭蓋内外バイパス術(STA-MCA)吻合、 脳腫瘍摘出術などの術中モニタリングに用いられることがあるため、これらの術前検査として行うことがあります。
  • 検査の流れ
    ①皿電極を頭・耳たぶ・鎖骨付近・後ろ首の付け根にペーストやテープで固定・装着します。
    ②ベッドに仰向けに休みます。
    ③手首に電気刺激を与えます。最低500回の刺激が必要です。
    ④片手の検査が終了後、もう片方の手も同様に行います。
  • 検査所要時間 30~60分
  • 検査の注意点
    検査時は手に与える電気刺激により勝手に手が動きますが、無理に力を入れないでください。

【2.視覚誘発電位検査とは】
視覚誘発電位は、網膜受容器に光刺激を与えたときに大脳皮質に生じる反応です。 刺激から500msec以内に反応波が認められ、視神経・視神経交叉部から後頭葉のどの部位の病変かを推定できます。 光刺激(flash VEP)、図形刺激(pattern reversal VEP)があります。

  • 検査の目的
    パターンリバーサル刺激で網膜神経節細胞や視神経の検査、 また視交叉部および交叉後の視覚伝導路の検査を、 フラッシュ刺激で網膜での光受容体の機能検査およびそれによる大脳での視覚機能検査に用います。
  • 検査の流れ
    ①皿電極を頭・耳たぶ・額にペーストやテープで固定・装着します。
    パターンリバーサル刺激の場合
    椅子に座った状態で専用のモニター画面を一定時間(およそ5分程度)凝視していただきます。
    フラッシュ刺激の場合
    ベッドに寝た状態で、専用のライトを顔の上に設置し、フラッシュ刺激を一定時間(およそ5分程度)受けてもらいます。
    ゴーグル刺激の場合 専用のゴーグルを装着し、赤い点滅光を一定時間(およそ5分程度)受けてもらいます。
  • 検査所要時間 30~60分
  • 検査の注意点
    体を動かしたり、力を入れると測定に影響しますのでリラックスして検査を受けて下さい。

【3.聴性脳幹反応検査とは】
聴性誘発電位は、耳へのクリック音刺激により、聴神経、脳幹部聴覚路から誘発される電位です。 主に蝸牛神経から下丘までの聴覚路由来の反応です。他覚的聴力検査、脳神経学的検査の2つの目的に用いられます。

  • 検査の目的
    被験者の意識や心理に左右されない他覚的聴力検査であり、脳幹部の神経学的検査として用います。
  • 検査の流れ
    ①皿電極を頭・耳たぶ・額にペーストやテープで固定・装着します。
    ②ヘッドフォンにて数種類の大きさのクリック音を聞いてもらいます。
  • 検査所要時間 30~60分
  • 検査の注意点
    ・体を動かしたり、力を入れると測定に影響しますのでリラックスして検査を受けて下さい。
    ・乳幼児など、指示が通らず体動がみられたり泣いたりしていると検査ができないことがあります。

神経伝導検査

【1.運動神経電動検査とは】
神経の走行に沿っ皮膚に電極を当て電気刺激をすると直下の末梢神経が興奮します。 その時に誘発されつインパルス伝導を観察し、末梢神経の病変の有無と性質を調べる検査です。 筋活動電位の潜時を指標にするものを運動神経伝導速度と言います。上肢では正中神経・尺骨神経、 下肢では脛骨神経、腓骨神経について測定します。

【2.感覚神経伝導検査とは】
神経活動電位の潜時を指標にするものを知覚神経伝導速度といいます。上肢では正中神経・尺骨神経、下肢では腓腹神経について測定します。

  • 検査の目的
    末梢運動・感覚神経を電気刺激により興奮させることによりその反応を筋肉や神経上から記録し、 末梢神経の機能を評価します。
  • 検査の流れ
    ① 手・または足の検査目的部位に皿電極やリング状の電極をペーストやテープで固定・装着します。
    ② 手・または足の検査目的部位に電気刺激を与えます。
    ③ ②を繰り返し行い、神経の潜時、伝導速度、振幅を計測していきます。
  • 検査所要時間30~60分
  • 検査の注意点
    体を動かしたり、力を入れると測定に影響しますのでリラックスして検査を受けて下さい。また、多少痛みを伴う場合がありますのでご協力下さい。

重心動揺検査・パワーベクトル分析

【重心動揺検査とは】
床に水平に設置された専用の検査台の上に立ち、めまい・平衡障害を体の揺れ方として捉え、 揺れの速さ・方向性・集中度合をコンピューター解析することで、症状の客観評価を行います。

  • 検査の目的
    めまい・平衡障害の把握や病巣診断のための検査です。
    メニエール病・めまいを伴う突発性難聴・前庭神経炎・良性発作性頭位性めまいなどの耳疾患、 脳梗塞・脳出血・慢性脳循環不全などの脳血管障害、高血圧・低血圧・起立性低血圧などの血圧異常、 頸性めまい・心因性めまい・自立神経失調によるめまい等の疾患に有用です。
  • 検査の流れ
    ①床に水平に設置された専用の検査台の上に立ちます。
    ②目を開け、前を向いて指定の目標点を60秒間見つめた状態で直立してもらいます。
    ③今度は目を閉じ、60秒間直立してもらいます。
  • 検査の注意点
    洋服は来たままで身体に電極などはつけませんが、検査台の上に約2分静かに立たなければいけま せん。

循環器機能検査

検査種別検査項目名
心電図検査 1. 標準12誘導心電図
2. トレッドミル負荷心機能検査
3. ホルター型心電図検査
4. 携帯型発作時心電図
5. 心室遅延電位測定
血圧心拍検査 長時間自動血圧心拍
心臓超音波検査 1. 経胸壁心臓超音波検査
2. 経食道心臓超音波検査
血管血流超音波検査 1. 頸部血管超音波検査
2. 下肢動脈超音波検査
3. 下肢静脈超音波検査
血圧脈波検査 1. 脈波伝播速度(ABI/PWV)
2. CAVI心臓足首血管指数
3. 血管伸展性検査(AI)

心電図検査

【1.標準12誘導心電図とは】
心臓が動くと電気的興奮が起こり、活動電位を生じます。この電位の時間的変化を波形として記録したものが心電図です。

  • 検査の目的
    不整脈、虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症など)、心筋症や先天性心疾患、電解質の代謝異常などの診断に重要な検査です。
  • 検査の流れ
    ①上半身の肌が見えるようにして ベッドに仰向けに休みます。
    ②心電図電極を四肢と胸部に装着します。
    ③10秒ほど記録したら検査終了です。※電極から刺激が出るようなことはありません。
  • 検査所要時間5分
  • 検査の注意点
    体に力が入ると筋電図というノイズが心電図記録の妨げになります。四肢の力を抜いてリラックスして検査を受けてください。

【2.トレッドミル負荷心機能検査とは】
運動負荷心電図検査の一つです。安静心電図では得られなかった心電図異常、主に虚血性ST変化を運動によって誘発させる検査です。 この試験は、電動で動くベルトの上を歩行または走行運動する負荷です。ベルトの傾斜と速度を一定時間ごとに上げていくことによって、 被検者の運動能力にあわせた負荷量を加えることができます。負荷前に安静時12誘導心電図・血圧を記録してから、 心電図電極と血圧計マンシェットを装着したまま運動負荷を行います。負荷中も心電図記録を行います。 年齢から算出した目標心拍数に達した時や、負荷終了点(心電図・血圧変化や自覚・他覚症状などがあった時)になった時運動を中止します。 負荷後も、心電図・血圧・症状が負荷前に戻るまで心電図記録を行います。(トレッドミル負荷試験中は、担当医が立ち会います。)

  • 検査の目的
    安静心電図では得られなかった心電図異常を運動負荷により誘発させます。
    虚血性ST変化や不整脈などが主に該当します。
  • 検査の流れ
    ①胸部に心電図電極を装着し、ベルトで固定・携帯します。
    ②血圧カフを片手の上腕につけます。
    ③電動ベルト式負荷装置にて歩行してもらいます。
    ④負荷終了後、椅子に座り心電図や血圧をモニターします。
    ⑤電極等を外します。
  • 検査所要時間30~40分
  • 検査の注意点
    各種サイズ(19~27cm)の上履きを用意していますが、できる限り上履きや履き慣れた運動靴をご用意ください。

【3.ホルター型心電図検査とは】
安静12誘導心電図では捕らえることが難しい、一過性不整脈や狭心症発作による心電図変化を検出するのに有用な検査です。 ICカードを内蔵した携帯型小型心電計を装着して、長時間(24時間)心電図を連続記録します。 その後、専用解析装置を用いて再生された心電図を解析します。

  • 検査の目的
    安静12誘導心電図では捕らえることが難しい、一過性不整脈や狭心症発作による心電図変化を検出するのに有用です。
    発作時やその前後での記録が可能であり、無症候性の不整脈も検出可能です。また、長期間検査ができます。
  • 検査の流れ
    ①心電図電極装着部位(胸部)を拭き、抵抗を落とします。
    ②機械の装着を行い、終了したら専用ケースに入れた記録用機械を首からかけるなどして携帯します。
    ③翌日機械の返却を行って下さい。
  • 検査所要時間 24時間(記録時間) 尚、装置の取り付け自体は5分ほどで終わります。
  • 検査の注意点
    機械の返却は装着翌日となります。必ずご返却をお願いします。

【4.携帯型発作時心電図とは】
胸痛・動悸・息切れ等の発作の頻度が少なく、安静12誘導心電図・ホルター型心電図検査では診断できない場合に有用な検査です。 小型の携帯型心電計を貸し出しますので、発作のあった時に心電計のボタンを押し、後日その心電図を解析します。心電計の貸し出しは1週間です。

  • 検査の目的
    胸痛・動悸・息切れ等の発作の頻度が少なく、標準12誘導心電図・ホルター型心電図検査では診断できない場合の検索に用います。
  • 検査の流れ
    ①胸部にシール電極を貼って、携帯型発作時心電図の機械を携帯します。(技師が電極の付け方のレクチャーをこの時に行います。)
    ②取り付けから24時間は連続記録のため取り外しをせず、装着したままで過ごします。
    ③24時間以降から貸し出し期間の1週間までは入浴などのために一時的に機械を取り外しても構いませんが、できるだけ装着しておいてください。 尚、貸し出し期間中の機械の着脱は患者さんご自身で行っていただきます。
    ④機械の返却後、検査終了です。
  • 検査所要時間1週間(記録時間)尚、装置の装着自体は10分ほどで終わります。

【5. 心室遅延電位測定とは】
加算平均心電図により微小な電位の遅延を検出し、重症心室不整脈(VT/VFなど)・心臓突然死発症の予知、リスク評価として活用します。 また、リスク評価を行うことでICD植え込みの適応判定に活用できます。

  • 検査の目的
    重症心室不整脈(VT/VFなど)・心臓突然死発症の予知、リスク評価
  • 検査の流れ
    ①心電図電極を胸部と背部に装着します。
    ②ベッドに仰向けに休み、計測にかかるおよそ5分程度、安静にしていただきます。
    ③記録完了後、検査終了です。
  • 検査所要時間15分

血圧心拍検査

【長時間自動血圧心拍とは】
長時間(24時間)の血圧、1チャネルの心電図情報、体位、加速度(運動量)、外気温度を測定します。血圧測定では、 聴診法をマイクロホンに置き換え、血管音(コルトコフ音)を自動的に判定して測定するコルトコフ法と、 カフ圧の脈圧による圧変動を分析して測定するオシロメトリック法を組み合わせた方法で検査します。 当院では、一般的に覚醒時間帯は30分間隔、夜間の睡眠時間帯は1時間間隔で血圧を測定します。 携帯型なので、仕事、食事、休息、服薬など個々の自由行動下の血圧を非観血的に24時間連続して(間歇的に)測定できます。

  • 検査の目的
    高血圧の診断に有用な血圧変動の評価に役立ちます。
  • 検査の流れ
    ① 専用の血圧用カフを片手上腕に取り付けます。
    ② 記録用本体を専用のポーチに入れて携帯して頂きます。
    ③ 翌日機械のご返却をもって検査終了です。
  • 検査所要時間24時間(記録時間)尚、装置の装着自体は10分ほどで終わります。
  • 検査の注意点
    ・器械をつけてからはずすまでの行動(食事、散歩、タバコ、睡眠など)や症状(動悸等)があれば記録表に記載して下さい。
    ・血圧の測定エラーを避けるために、血圧測定時には上腕を安静にし、カフのずれやたるみには注意をして下さい。

超音波検査

【超音波検査とは】
超音波とは人間の耳には聞こえない高い振動数をもつ弾性振動波(音波)です。 超音波検査ではプローブから出た超音波が体内の組織などで反射し、 その反射信号によって体の中をモニター画面に映し、さまざまな疾患を診断します。 痛みや苦痛は全くなく、また何回検査を繰り返しても体に悪影響を及ぼすようなことはありません。 当院で行っている超音波検査には以下のものがあります。

【経胸壁心臓超音波検査とは】
経胸壁心臓超音波検査では、体表面から超音波をあてて心臓を観察し、心腔内径の計測、肥大や拡大の有無、 弁膜症の有無および重症度判定、血栓(血の塊)の有無、腫瘍・心嚢液貯溜・短絡の有無、心筋壁の運動、動きなどを評価します。

  • 検査の目的
    術前心機能評価、さまざまな心疾患の精査
  • 検査の流れ
    ① 上半身の服は脱いで頂き、検査着を着用します。
    ② ベッドに身体の左側を下にして横向きになります。
    ③ 胸部に超音波ゲルをつけ、超音波装置で心臓を観察します。
  • 検査所要時間:約20分
  • 検査の注意点
    上半身は着替えをしますので、脱ぎ着がスムーズな服装での来院をおすすめします。

【経食道心臓超音波検査とは】
食道心臓超音波検査では、食道へプローブを挿入し食道から心臓を観察します。 肺や胸壁による超音波の減衰が少なくなるために明瞭な像が得られ、 経胸壁心臓超音波検査では観察困難な肺静脈、下行大動脈、左房、心房中隔などの観察に優れています。また弁の詳細な観察にも有用です。

  • 検査の目的
    左房内血栓の検索、弁膜症における弁性状の評価、先天性心疾患の精査など
  • 検査の流れ
    ① のどにゼリー状、スプレー状の麻酔をかけます。
    ② ベッドに横になります。
    ③ のどからプローブを挿入します。
    ④ 観察終了後、プローブをのどから抜きます。
  • 検査所要時間:約30~40分
  • 検査の注意点
    ・検査前日の22:00以降は絶飲食となります。
    ・プローブを食道内へ挿入しやすくするため、喉の麻酔をします。
     このため、検査後1時間は飲食を避けてください。また、必要に応じて安静剤を点滴します。

【頸部血管超音波検査とは】
動脈壁は高血圧や高脂血症などさまざまな因子により肥厚し、粥腫(プラーク)が形成されます。 この検査では総頚動脈、内頚動脈、外頚動脈、椎骨動脈の壁厚や血流速度を計測したりプラークを観察して、動脈硬化や狭窄の有無を判定します。

  • 検査の目的
    動脈硬化の程度評価、脳梗塞の塞栓源検索など
  • 検査の流れ
    ① ベッドに仰向けに休みます。
    ② 左右の首に超音波ゲルをつけ、超音波装置で血管を観察します。
  • 検査所要時間:約20分

【下肢動脈超音波検査とは】
下肢動脈も頸動脈と同様で、高血圧や高脂血症などさまざまな因子により動脈壁が肥厚し、粥 腫(プラーク)が形成される場合があります。下肢動脈超音波検査では、超音波で下肢動脈を 観察し、血流速度を測定することでプラークによる狭窄や閉塞が生じていないかを調べる検査 です。ABIなどの下肢虚血の客観的診断方法と併用することにより、非侵襲的に病変の有無、狭窄の 程度、血管径の計測、プラーク性状などの診断が可能です。外科的血行再建術や、内科的治療戦略 の決定に役立ちます。

  • 検査の目的
    下肢虚血の精査
  • 検査の流れ
    ① 下半身は下着一枚になり、専用の使い捨てハーフパンツを着用します。
    ② 足の付け根〜足首にかけてゼリーをつけ、超音波装置で観察します。
  • 検査所要時間:約30~60分
  • 検査の注意点
    ・検査が1時間ほどかかる場合がありますので、検査前は御手洗を済ませておいてください。

【下肢静脈超音波検査とは】
下肢静脈超音波検査は、下肢深部静脈、表在静脈を観察し、静脈血栓塞栓症の原因となる深部静脈 血栓の有無や、下肢静脈瘤の原因となる表在静脈と交通枝の逆流の有無を確認します。

  • 検査の目的
    深部静脈血栓の有無、下肢静脈瘤の評価
  • 検査の流れ
    ① 下半身は下着一枚になり、専用の使い捨てハーフパンツを着用します。
    ② 足の付け根〜足首にかけてゼリーをつけ、超音波装置で観察します。
  • 検査所要時間:約30~60分
  • 検査の注意点
    ・検査が1時間ほどかかる場合がありますので、検査前は御手洗を済ませておいてください。

血圧脈波検査

【脈波伝播速度検査(ABI/PWV)とは】
この検査は両腕、両足首の血圧と脈波(心臓から血液が押し出される時に生じる血管内の圧力の波形)を計測する事によって動脈硬化、 下肢血管の狭窄・閉塞の早期発見・診断を行う検査です。ABI値は下肢血管の狭窄・閉塞の指標、baPWV値は動脈硬化の指標となります。

  • 検査の目的
    動脈硬化の評価、下肢血管の狭窄、閉塞の評価
  • 検査所要時間:約10分

【CAVI心臓足首血管指数とは】
この検査は脈波伝播速度検査(ABI/PWV)と同様、両腕、両足首の血圧と脈波を計測する事によって動脈硬化、 下肢血管の狭窄・閉塞の早期発見・診断を行う検査です。 但し心臓足首血管指数検査(CAVI)検査のCAVI値は脈波伝播速度検査のbaPWV値と異なり、 血圧に依存しないとされています。CAVI値は動脈硬化の指標、ABIは下肢血管の狭窄、閉塞の指標となります。

  • 検査の目的
    動脈硬化の評価、下肢血管の狭窄、閉塞の評価
  • 検査所要時間:約10分

【血管伸展性検査(AI)検査とは】
血液を全身へ送り出す為に心臓が収縮すると「駆出波」という波形が発生します。 その駆出波は末梢血管や動脈の分岐部で反射し戻ってきます。この波形を「反射波」といいます。 そして駆出波に対する反射波の割合を求めたものをAI(Augment Index)と言います。動脈が硬くなっていると、 反射波が心臓に戻ってくるまでの時間が短くなり(AI値は高くなる)心臓への負担が増えることになります。 このようにAIは血管壁が硬い、血管内腔が狭い、血管壁が厚いなど動脈硬化に陥った血管で上昇するため、 血管状態を反映した指標となります。また血圧とAI値の両方を確認することで、 心臓などの主要な臓器に直接かかる圧力である中心血圧を推定することができます。 したがってAIは血管状態の把握及び心臓と血管との適合状態の評価に有用であり、 AIを用いたリスクの評価、薬効評価、生活習慣の改善度のチェックなどに用いる目的で幅広く利用されます。

  • 検査の目的
    血管状態の評価、心臓に対する血管系の負荷の評価
  • 検査所要時間:約10分

呼吸機能検査

検査種別検査項目名
呼吸機能検査 1. 肺気量分画測定
2. フローボリューム曲線
3. 機能的残気量測定
4. クロージングボリューム測定
5. 肺拡散能力
6. 気道可逆性試験
7. 呼吸抵抗測定
8. 呼気NOガス分析
基礎代謝検査 基礎代謝率
終夜睡眠ポリグラフィー検査
血液ガス検査

呼吸機能検査

【呼吸機能検査とは】
呼吸の量や呼吸する時の空気の流れ(気流の速さ)などを数値に表し、正常範囲に対して高いか低いかを明らかにする検査です。 呼吸器のはたらきは、外見から見えないため、患者さんに色々な呼吸を実際にやって頂いて評価します。 普段鼻や口で行っている呼吸を、鼻をクリップで挟み筒を通して口だけで吸ったり吐いたりという呼吸をして頂きます。 検査に対する努力の程度、やり方で結果が変わるため、正しい結果を得るために一生懸命がんばって頂く必要があります。 検査は技師が声をかけながら行います。

  • 検査の目的
    呼吸機能障害の有無・程度及び障害部位の判定、呼吸器疾患の経過観察、治療による改善効果及び投薬量の決定、 呼吸器疾患以外の投薬(化学療法等)による肺への影響の把握、 手術前の検査(手術の適応・麻酔方法の選択・術後肺合併症回避等の手術の万全を期すため)などがあります。
  • 検査所要時間
    呼吸機能検査は上記表中1~6の検査項目の組み合わせで行われるため、検査のセット内容により検査時間が異なります。

        呼吸機能検査A:約5分
        呼吸機能検査B:約10分
        呼吸機能検査C:約15~20分
        呼吸機能検査D:約20~30分
        呼吸機能検査E:約15~20分
        呼吸機能検査F:約30分
        呼吸抵抗測定:約10分
        呼気NOガス分析:約5分
  • 検査の注意点
    患者さんの努力の程度により検査結果値が変わってきます。 正確な結果値で医師に正しい診断をして頂くためには検査に一生懸命取り組んで頂くことがとても大切です。

【1.肺気量分画測定とは】
肺活量、一回換気量、予備呼気量、予備吸気量を測定します。安静平静な呼吸を約3~5回繰り返し、ゆっくり最後まで呼出し、 ゆっくり最後まで吸入し、更にゆっくり最後まで呼出していただきます。 最大呼気位から最大吸気位あるいは最大吸気位から最大呼気位までの容積の大きい方を肺活量とします。 性別、年齢、身長から求めた標準予測値と比較した%肺活量が低下すると拘束性という障害となります。 拘束性とは、肺が硬く膨らみにくい状態や、肺が外からの制限を受け膨らみにくい状態のことで、間質性肺炎などの疾患が含まれます。

【2.強制呼出曲線(フローボリューム曲線を含む)とは】
気道の伸縮性を計る検査です。閉塞性換気障害の診断に用います。 安静平静な呼吸をしてゆっくりとした呼吸による最大吸気位から一気に全速力で最大呼気位まで呼出していただきます。 容積と流量(フロー)を測定します。得られた呼気肺活量を努力性肺活量と言います。 一秒間に吐いた量を、吐ききった肺活量で除した百分率を一秒率といい、低下すると閉塞性という障害となります。 閉塞性とは、空気の通り道が狭い状態のことで、気管支喘息や慢性気管支炎や肺気腫などの疾患が含まれます。 また、他にピークフロー、ピークフロータイム、一秒量、一秒率、空気とらえ込み指数、最大呼気中間流量、Ⅴ25等が測定できます。

【3.機能的残気量とは】
残気量、機能的残気量、全肺気量を測定します。息を最後まで吐き出しても肺はペシャンコになっておらず、 まだ空気を含んでいます。これを残気量と呼びます。希薄なヘリウムガス(肺で吸収されず無害)を用い、 約3~4分安静平静な呼吸をした後、ゆっくり最後まで呼出し、ゆっくり最後まで吸入します。 残気量は、息を吐き出す能力が低下した肺気腫などで高くなります。

【4. クロージングボリュームとは】
ゆっくりとした呼吸で空気を全部吐き出し、続けてゆっくりとした呼吸で100%の酸素を肺の中にいっぱい空気を吸い込みます。 それ以上吸えなくなったら、そのまま続けてゆっくりとした呼吸で肺の空気をすべて吐き出す動作を行ないます。 これは、検査を受けられる方の一番深い部分の肺の中にある窒素(N2)の濃度と空気の量を測ることを目的としており、 普通の肺活量の検査では見つかりにくい肺の中の最深部(肺の上尖部)の空気が流れる道 (=末梢気道という)の病気や肺の不均等な喚気の有無を検査します。

【5.肺拡散能力とは】
私達が生きていくためには体内の組織(細胞)が必要とする酸素を吸って、細胞で産生された二酸化炭素を吐き出さなければなりません。 気管支の奥に肺胞という袋状のものがあり、ここで酸素と二酸化炭素のガス交換が血液を介して行われています。 検査では安静平静な呼吸を約3回繰り返し、ゆっくり最後まで呼出し、一気に全速力で最後まで吸い込んでいただき、 約10秒間息を止めたのち、一気に肺の空気を全部吐き出します。 そしてこの吐き出した肺の空気を分析し、約10秒間息止めした間に肺胞で行なわれたガス交換の能力を測定します。 この肺拡散能力は、肺線維症や肺気腫などで低下します。 この検査は動脈血の酸素分圧低下に先駆けて異常を検出することができ年々その必要性が高まっています。

【6.気道可逆性試験とは】
気管支拡張薬の吸入前後に呼吸機能を行なうことによって気道の可逆性を見る検査です。 最初に呼吸機能検査を実施し、その後、気管支拡張薬を吸入し、15~30分後に再度呼吸機能検査を実施します。 気管支拡張薬吸入後、1秒量が12%増加かつ絶対量で200ml以上増加する場合、有意に可逆性があると判定します。 可逆性があるということは喘息の可能性が高いと考えられ、喘息の診断に非常に有用な検査です。

【7. 呼吸抵抗測定とは】
呼吸抵抗、呼吸リアクタンスを測定し、慢性閉塞性肺疾患(COPD)や気管支喘息などの閉塞性肺疾患の病態診断や疾患管理の評価をします。

  • 検査の目的
    慢性閉塞性肺疾患(COPD)や気管支喘息などの閉塞性肺疾患の病態診断や疾患管理の評価に有用です。
  • 検査所要時間:約10分
  • 検査の注意点
    外来の方のみの検査です。

【8. 呼気NOガス分析とは】
呼気に含まれる炎症由来の一酸化窒素を(NO)濃度を測定し、好酸球性炎症に関する疾患の評価を行います。

  • 検査の目的
    喘息、アレルギ―性鼻炎、アトピー、気道感染(ウイルス性)の評価
  • 検査所要時間:約5分
  • 検査の注意点
    ・ 一酸化窒素を(NO)濃度に影響する食物、飲料物があるため、検査1時間前からはできるだけ食事を控えてください。
    ・喫煙も一酸化窒素を(NO)濃度に影響します。このため検査1時間前からの禁煙をお願致します。

基礎代謝検査

【基礎代謝検査とは】
目覚めている状態での生体維持に必要な最小代謝エネルギー量をいいます。 通常、早朝空腹時、安静換気状態で測定し、この時の単位体表面積あたり単位時間に消費されるエネルギー量(基礎代謝量)を測定します。 そして同性、同年齢の健常人の標準値と比較して、増減の割合を基礎代謝率として表し評価します。(入院患者さんのみの検査です)

  • 検査の目的
    基礎代謝量の測定
  • 検査所要時間:約10分
  • 検査の注意点
    ・検査前日の夕食は17時~19時に普通にとり多量の肉食、飲食は避けて下さい(夕食以降の飲食は
     できません)。心身の過労を避け夜10時前には就寝して下さい。 ・服薬は医師の指示に従って下さい。
    ・検査当日の覚醒後は、できる限りベッド上での安静と絶食、禁煙を守って下さい。
    ・病棟から検査室へは車椅子で来てください。

終夜睡眠ポリグラフィー検査

日中の強い眠気や倦怠感、睡眠中のいびきや頻回の中途覚醒等の症状を伴い、 そのための合併症を引き起こす睡眠時無呼吸症候群やの診断のための検査です。 頭部・体に種々のセンサーを装着し、睡眠中の脳波、呼吸運動、呼吸フロー、酸素飽和度、心電図、筋電図等を計測し、 睡眠及び呼吸の状態を判定します。

  • 検査の目的
    睡眠時無呼吸症候群、むずむず脚症候群、その他睡眠障害の診断
  • 検査所要時間:約12時間(夜7時センサー装着、翌朝7時半終了)
  • 検査の注意点
    ・夜7:00頃~翌朝7:00頃まで検査を行なうため、1泊入院が必要となります。
    ・センサー装着後の行動範囲は制限されますが、ポータブルトイレの使用、テレビ観覧は自由です。また、飲み物は飲んで頂いても結構です。
    ・解析の精度を上げるため、睡眠中のビデオ撮影をお願いしています。 ビデオ撮影不可の場合は遠慮なく仰ってください。(なお、ビデオ撮影の可否は同意書で確認させて頂きます)。
    ・解析は業者が行います。結果報告に約7日~10日かかります。

血液ガス検査

【血液ガス検査とは】
呼吸の最終目的は、血液中にO2を摂取しCO2を排除することです。 したがって、血液中特に肺でガス交換を行った後の動脈血のO2、 CO2の量を測定することが呼吸の目的を達しているか否かを知る最も良い指標となります。

  • 測定項目
    当検査部の血液ガス分析装置で直接測定するものは、pH、PO2、PCO2、Hbで1次パラメーターと呼んでいます。 また、測定した値から計算によって求めたものを2次パラメーターと呼び[HCO3-]、BE(Base Excess)、O2CT(酸素含量)、 SaO2(酸素飽和度)などがあります。
  • 検査の目的
    ①ガス交換能力の把握、②ガス交換障害部位の診断、③酸・塩基平衡の診断
  • 検査所要時間:約3分