項目V 教育方法


博士課程
 平成9年から15年度までは,大学院課程を4年以内に修了した者は,4年次在籍者の23.1%〜46.7%であった。これを向上させるため,平成13年度から非公式にではあるが,9月に博士課程3年次の中間発表会を行ない,研究の進捗状況を発表するとともに,指導教員以外の教員のアドバイス,質問などを受ける機会を設けた。これにより自分の研究の進捗状況を自ら客観的に把握しやすくなったが,まだ効果が乏しかったため,平成18年度からは全員義務化とし,5月に発表会を実施することとした。これにより平成16年度38.5%,18年度は63.2%と4年間で修了できたものが著しく増加し,19年度には72.7%と大幅に増加した。
 資料6-2-5 : 大学院医学系研究科(博士課程)修了者の入学年度別員数
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 又,オーバードクターの数も平成17年度から平成20年度にかけて各々30,25,22,20人と次第にその数が減少してきた。
 TA・RAの採用状況は,下記に示す。
 資料6-1-6 : 「TA・RAの内訳」

 教育目的を達成するため,前述したとおり各科目とも講義と実習がバランス良く構成されている。また,シラバスを作成したことにより,授業科目の概要,講義の目的及び講義内容を明確に示した。

修士課程
 医科学専攻では,未熟な実験経歴と午前中の授業のため,学生の実験手技が安定しない,あるいは研究に割く時間が乏しく,指導教員は苦労したようであるが,ラボカンファレンスやジャーナルクラブへの出席を義務付け,また博士課程専攻学生に手技を指導させるなどの工夫を行った。 平成20年度から授業は夜間開講となるため,実験時間の少ない点については大いに改善されると考えられる。
 教育目的を達成するため,医科学専攻では,必修科目では,講義12単位,演習10単位,選択科目では,講義18単位,実習3単位の授業科目から,選択必修8単位以上を取得するものとしている。TAの採用状況は,平成16年度〜19年度にかけて各々2,1,3,4名である。
看護学専攻では,学生のバックグラウンドが多様であり,高度専門職業人に必要な看護現象への感受性,客観的な記述力・分析力,文献批判力等に個人差がある。そのため,授業科目運営においては,履修する学生集団の状況に応じて教育内容・方法を柔軟に設定している。また,学内での講義・演習に臨地実習を組み合わせた授業方法や個人の看護経験をもとに看護の実際と基本的理論を討議するゼミ形式の学習を推進している。社会人特例措置でない学生は,TAとして採用し,教員の指導のもと学士教育にかかわり学びの機会を拡げている。



博士課程
主体的な学習を促すため,平成20年度からは,単位の実質化を図り,1選択必修科目5単位,2選択科目5単位(計10単位),論文作成研究5単位,学位論文10単位,計30単位で修了認定することとした。さらに中間発表会以外にも,他の教員からの指導を受ける機会として,大講座毎にジャーナル・クラブが開かれ論文紹介を大学院生が行なっている。
 資料6-1-7:ジャーナルクラブ開催状況

平成20年度からは,以前のカリキュラムとは異なり,より具体性のある科目名称となったため,学習目標が明確化され,それによって自己の学習レベルを自己診断し易くなることが期待される。

修士課程
医科学専攻では「研究」に初めて接する人達が大半であるため,基本的には「研究は好奇心から始まるもので本来楽しいものだ」と言うことをまず伝え,次いで教員は学生を大事にすることを考え,質問や相談は時間に関係なくいつでも丁寧に応じることを心がけている。看護学専攻では,特別研究を視野に入れ,1年次から文献抄読,研究計画書立案,研究フィールド獲得,倫理審査委員会での審査準備などの個別指導に時間を割いている。主体的学習を支援するために,パソコンや学習室を確保し学習環境の整備を行っている。また,平成19年度より,高等教育開発センターの協力のもとe-learning,スマートボードを活用している(看護倫理,保健医療福祉政策論,健康と病いの社会学,家族看護論で実施)。



 博士課程では,このような目標と取組により,学生のモチベーションが上がり,4年間で修了できたものが平成9年〜15年度の23.1%〜46.7%に比べて,平成16年〜19年度では38.5%〜63.2%〜72.7%へと著しい向上を認め,又,オーバードクターの数も平成17年度から平成20年度にかけて各々30,25,22,20人と徐序に減少してきている。
 修士課程では,教育目的・目標を達成するために学生個々の能力や背景に応じた教育・指導を実施している。
 これらの取組が,医師の診療現場への復帰につながり,医師不足の現場解消に少しでも寄与できると考えられる。


  

  医学系研究科の教育目的と特徴

  現状の点検

  項目T 教育の実施体制
  項目U 教育内容
    項目V 教育方法
  1.授業形態の組合せと学習指導法の工夫
  2.主体的な学習を促す取組
  3.現状の評価
  項目W 学業の成果
  項目X 進路・就職の状況 
  項目Y 質の向上があった取組