項目U  教育内容


博士課程
博士課程では,平成11年度より基礎的な知識と技術を修得するため,入学直後より2週間集中的に全専攻科共通の内容(実験動物学,組織標本作成と免疫染色法,種々の分子生物学研究手法,医学統計学,生命倫理学などに関する内容)の講義や学内設置の実験機器の操作演習を,「実践セミナー」として毎年6月上旬に行っている。その後,「病態制御医学」「生体防御医学」「分子機能制御医学」「環境社会医学」の4専攻から1つを選択し,本格的な研究に着手するカリキュラムを導入した。
平成18年度からは,各教授・准教授による「大学院セミナー」を毎週月または水曜日の夕方に開催しており,自分の専攻以外の研究分野への視野の拡大と理解を深めることを意図している。加えて学外講師を招いての大学院特別講義も行なっている。
 社会人で研究意欲が高い人を大学院学生として受け入れ,生涯教育にも資する目的で,平成13年度から大学院の昼夜開講制をとっている。因みに社会人入学は平成16年度,17年度は各々5,4人であったが,平成19年度は28人となり,著しく増加している。
上述したように平成20年度からは,1医学専攻とし,3研究領域を設けるが,それにともなって,科目数を197科目から「基礎研究領域」19科目,「臨床研究領域」38科目,「がん研究領域」17科目,全領域共通選択必修科目4科目の計78科目に見直しを行い,科目はそれぞれ講義,実習からなり,科目毎にシラバスを作成した。この改革にともなって,ホームページも一新した。
 資料6-2-2 : 博士課程授業科目及び概要   PDFファイル    WORDファイル

修士課程
 医科学専攻の教育課程は,必修11科目,選択13科目の授業科目からなり,研究に早期着手を目的とした授業時間割を組んでいる。
 資料6-2-3:医科学専攻授業科目        PDFファイル    WORDファイル

看護学専攻の旧教育課程は,共通科目6科目と専門科目で構成されていたが,新教育課程は,共通必修科目3科目,共通選択科目12科目,専門コース科目10科目,特別研究から成り,学習選択の幅が広がった。
 資料6-2-4:看護学専攻新旧教育課程     PDFファイル    WORDファイル

 就労と就学の両立を支援するために,看護学専攻は,平成16年度から社会人への特例措置を適用し,昼夜開講制が始まった。さらに平成17年度から2年間の授業料で最長4年まで就学可能な長期履修制度を導入した。
 資料6-1-4 : 看護学専攻の社会人特例措置適用状況

  両制度を学生が上手く活用できるよう,指導教員による履修計画の個別指導,授業科目責任者による時間割調整を細やかに行っている。医科学専攻でも,平成20年度から昼夜開講制と長期履修制度を導入する。



(観点に係る状況)
博士課程
 学生からの要請により,在学中における国内及び国外への留学を認めている。学生からの要請を受けて留学先への依頼,交渉などを行い,研究が円滑に進むよう支援した。
 資料6-1-5:大学院生(博士課程)の派遣特別研究生数

また,地域社会からの要請が強い我が国における死因の第一位であるがん(腫瘍)の克服を目指して,がん医療に携わる専門的な知識及び技術を有する医師その他の医療従事者の養成が急務となっている。従来の大学病院におけるがん医療の教育は各臓器別に専門科領域を中心として断片的になされてきたために,包括的にがん医療を実践できる医療人が育つ環境の整備が十分ではなかった。
  一方,平成19年度から「がん対策基本法」が施行され,国及び地方自治体はがん医療に携わる専門医療人を確保し,より質の高いがん医療の「均てん化」を実現することを求められている。この目的を達成するためには,がんに関する高度専門知識・研究能力と,高度な医療技術を合わせ持ったがん専門医療人の養成が急務であり,この任務を遂行することは医学系研究科に課せられた重要な使命である。このため平成19年度から「がん専門医療人養成部門」,平成20年度から「がん研究領域」が当研究科に設置されることになった。

修士課程
医科学専攻では,大学統合を機に平成15年度から,医工連携を目指して,羽野忠工学部教授(現学長)に「基礎生体科学」の講義の年2回を依頼している。他研究科への開放科目として,平成16年度から,医科学専攻の「生命倫理学」,看護学専攻の「地域看護管理・教育論」が,福祉社会科学研究科に対し開放されている。
また博士課程と同様に,社会からの要請に対応するため,がん診療に特化したがん専門薬剤師,がん専門看護師などの専門職者養成を目指して,医科学専攻授業科目に平成20年度から「臨床がん化学療法学」,平成21年度から「がん化学療法臨床薬理薬剤学」を新たに加える。看護学専攻では平成21年度に「がん専門看護師養成コース」開講を目指し,平成19年度から教員確保や教育課程・内容の再整備などの準備を開始した。
看護学専攻の新教育課程は,大分県内の看護職を対象とするニーズ調査結果
 資料6-2-1 : 大学院進学に対する看護職のニーズ分析(報告)
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をもとに創られている。これにより平成19年度の受験者数は大幅に増加した。また,学生の要望は,毎年実施する学生対象の学習評価調査で把握するほか,就学の相談窓口となる教員を配置し,細かに対応している。



 博士課程では,「大学院セミナー」の定期開催,授業科目の厳選とシラバスの作成,「がん研究領域」の設置など,大学院博士課程の実質化と高度専門職業人養成に向けて,大きな改革を行なった。
 修士課程では,がん対策基本法の施行に伴うがん医療の質向上,社会人の生涯学習の促進など,社会の要請に応える教育内容の改正を行ったため。
 いずれもこれらの取組が,研究成果や考える能力を向上させ,患者さんや医療スタッフのみならず,広く国民の期待に十分に応えている。


  
 

  医学系研究科の教育目的と特徴

  現状の点検

  項目T 教育の実施体制

    項目U 教育内容

  1.教育課程の編成
  2.学生や社会からの要請への対応
  3.現状の評価
  項目V 教育方法
  項目W 学業の成果
  項目X 進路・就職の状況
  項目Y 質の向上があった取組