放射線科における治療は、メスを使わず(開胸・開腹を行わず)に行う“最小侵襲治療法”が主体です。この中にはカテーテル(約1mm径の非常に細い特殊なチューブ)などを用いて治療を行うインターベンショナルラジオロジー(IVR:図1)と、病変部に対してX線や電子線を照射する放射線治療が含まれます。IVRの内容としては、病院開院時(1982年度)より手掛け今なお依頼の最も多い肝細胞癌に対する“肝動脈塞栓術”、足の血管が狭くなり血液の流れが悪くなった場合にバルーンや人工血管(ステント)を用いて血管を広げる“血管形成術”、脳動脈瘤をコイルで血管の中から塞ぐ“脳動脈瘤塞栓術”、胃の静脈瘤の出口をバルーンで塞いで硬化剤にて静脈瘤を潰す“胃静脈瘤塞栓術”、胆管が腫瘍などで閉塞・狭窄した場合に胆汁の通過をよくするために行う“人工胆管留置術(図2-1,2)”の他、数多くあります。その中で現在、高度先進医療として推し進めているものに“膵臓癌に対する選択的制癌剤動注療法”と“低肝機能時の肝細胞癌に対する制癌剤の局注療法”があります。いずれも当教室のみで行っている治療法ですが、今まで治療効果に限界があった膵臓癌や肝細胞癌に対しても、より優れた治療効果が得られています。これらIVRおよび放射線治療は、各診療科の主治医との綿密な連携のもとに、診療放射線技師、看護師とのチーム医療で行っています。これら新しい治療についてご質問のある方は、主治医を通じてお気軽にご相談ください。
(文責 松本 俊郎)
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